王維『鹿柴』
山に籠もって6日目です。
王維の『鹿柴』を、隷書、行書、篆書、3つの書体で書いてみました。



空山不見人
但聞人語響
返景入深林
復照青苔上
空山(くうざん)人を見(み)ず
但(た)だ人語(じんご)の響(ひびき)を聞(き)く
返景(へんけい)深林(しんりん)に入(い)り
復(ま)た青苔(せいたい)の上(うえ)を照(て)らす
<訳>
ひっそりと静まり返った山には、人影もない
と思ったら、だれかの話し声が響いてくる
夕陽が深い林に射し込んできて
青い苔の上をまた照らしている

鑑賞
話をしているのは木こりだと推測される。
山が静かなために、遠くからでもこだまして響いてくる。
もう日が暮れようというときに、青々とした苔を夕日が照らす。
彼の詠む詩は、成立する瞬間に、絵として美しい画が切り取られる。
蘇軾は王維の詩画を「詩中に画有り、画中に詩有り」と評した。
王維
李白や杜甫とほぼ同じく盛唐時代に活躍した詩人。
名門出身で、21歳のとき科挙に受かって官職に就く。
李白の「詩仙」、杜甫の「詩聖」に対して「詩仏」と呼ばれる。
40代で、輞川に隠棲し、詩・書・画・楽に専念する生活を送った。南宋山水画の祖としても知られる。
輞川は川あり山あり谷ありの風光明媚なところで、中でも美しい場所を20選んで「輞川二十景」とした。そのうちの一か所が「鹿柴」である。「鹿柴」のもとの意味は鹿の侵入を防ぐために畑のまわりに張り巡らせた柵のこと。
<参考資料>
宇野直人/江原正士『漢詩を読む②』平凡社 2010年
