【デニムの経年変化実験室】洗濯しないでジーンズを1年間穿き続けると、ホントに良い色落ちになるのか? 半ば無謀にもリアルに「やってみた」企画の11カ月編
ジーンズは洗濯をしないで穿き込んだ方が良い色落ちになるという都市伝説を、ほぼ毎日1年間穿くことでリアルに実録してみようと思い立ったこの企画。正直、毎日同じジーンズを穿くのは「修行」にも近い「決意」がないとできないなと。夏は薄手のパンツを穿きたいし、冬だってボトムスのコーディネイトをいろいろ楽しみたい。でも、そんな気持ちをぐっとこらえて、せっかくなんだからやってみようといよいよ11カ月目の報告ができることに。ゴールまでもう少し。さてジーンズはどうなった?
かなり雰囲気良く経年変化してくれて、有終の美を飾れそう。
1年間、洗濯しないでほぼ毎日同じジーンズを穿き続けてみるというこの企画。もはや自身3本目の実験にして、もうこれで最後にしようと思ってピックアップしたのはジェラードの301XX。「伝家の宝刀」というキャッチフレーズの元、ヴィンテージジーンズを解体して糸から分析して導き出したレシピでオリジナルのデニムを作ったという意欲作なのである。
そんなふれこみだったら、まさにこの企画にはうってつけ。
というわけで、手に入れて裾上げ後に一度洗濯をしたこのモデルを洗濯しないでひたすら穿き続けることに。そのペースはほぼ毎日、平均週6日というヘビーローテーションを崩すことなく、11カ月になりました。
ちなみに、たまにファブリックミストは使用しとります。
この苦行(笑)のおかげで、穿き込むことで生まれる生地のクセやシワは、洗濯をしないことでリセットされることもなく、ひたすらこすれる部分や負荷のかかる部分が同じ場所なので、色落ちはけっこうなスピードで進行。
見事にヒゲやアタリといったジーンズ特有の色落ちが顕著に出てきたなということを実感するのであった。
さらに洗濯をしていないので、生地の青みが濃い部分と色落ちして薄くなる部分のメリハリがはっきりと生まれることも結果として明らかに。いわゆるヴィンテージジーンズでよく見かけるメリハリ強めの色落ちに近い雰囲気になっているではないか。
つまり昔の人もあまり洗濯してなかったのではないか、もしくは洗濯洗剤や洗濯機の性能が低かったのではないかと思うほど。
確かに洗濯を極力しない方が、色落ちする部分とそうでない部分の差がはっきりとしてくるんだなということが判明した。
そこに、ブランドが叡智を結集して織り上げた生地のスペックがあいまって、雰囲気のあるタテ落ちが加わることによって、かなりイイ雰囲気に仕上がってきたのではないかと。
つまり「洗濯しない方が良い色落ちになる」というのは少々乱暴な表現で、正確には「メリハリのある色落ちを楽しみたいなら、洗濯を極力しないほうがいいよ」というのが正しい表現なのではないかと。
もちろん、洗濯をしないと生地の汚れがリセットされないため、生地が弱くなるなどのネガティブな結果も想像できるので、ほどほどがいいのではないかと。良い子はマネしないように、である。
ちなみに私は1年間は洗濯しないで穿き込んで、その後は普通に洗濯しながら穿き続けようと思っております(笑)。
まずはあと1カ月穿き込んで有終の美といきましょう。ゴールが見えてきた。
タテ落ち、ヒゲ、アタリなどがさらに際立ってきた11カ月目なのです。
デニムの色落ちで言われる生地のタテ落ち、可動部分に現れるヒゲ、それに縫製部分のパッカリングなど、いわゆるデニムの経年変化の特徴的な色落ちは11カ月も穿き込むとかなり顕著にわかるように。もはや日々摩擦している部分なんかは、白っぽい色へと変化している。
それでいて洗濯していないおかげで、摩擦が普段から少ない部分は濃紺をキープしているので、かなりメリハリのある色落ちになったというのことを実感。

腿部分やヒップなど、常に摩擦が生まれる部分はかなり白っぽく変化した。これは表面だけがインディゴに染まっているタテ糸がこすれ、中心部分の白い部分が見えてきたから。私の場合はフロントポケット周りにヒゲがかなり出ることもわかる。
ゆったりしたシルエットなので、腿や膝部分のヒゲ落ちは少なめ。
それではディテールを見てみよう。

右膝部分。撮影時や作業時によく膝を地面に着いているせいか、膝の生地は前方に膨らみ、色落ちもかなり進行。そこにうっすらとヒゲ落ちも加わってかなり良い雰囲気に。

右側のフロントポケット部分はかなり深みのあるヒゲ落ちと、ポケット口はかなり白くなった。コインポケットは糸切れが始まっております。

バックポケット部分は飾りステッチが糸切れが多数。ポケット周りの縫製部分は生地のパッカリングに沿って色落ちがさらに進行した。白とブルーのコントラストがはっきりと出ております。

バックヨークもパッカリングに沿った色落ちがはっきり。ヒップは普段から自転車によく乗っているせいか、かなり色落ちが進行した。

フロント部分はボタンフライの跡が色落ちとしてかなりはっきりと表現され、左右のヒゲと相まってかなり雰囲気のある見た目に変化。なんだかここだけみるとかなりの色落ちに見えてヴィンテージっぽくも見える。

洗濯をしていないので、アウトシームのセルビッジのアタリ感や裾のパッカリングはおとなしめ。普段あまり摩擦が無いのか、色もワンウォッシュ程度の濃紺。それでもサイド部分は縫製カ所に合わせてプツプツと白い点落ちが連なって雰囲気を作ってくれている。
【基本データ】
トータル穿き込み期間:約11カ月
穿き込み頻度:週6日程度
トータル洗濯回数:裾上げ後に1回(製品ワンウォッシュ時を含めず)のみ
