ピアスを開けたい
大学生になったら開けようと思っていました。
しかし、人体に穴を開けるという恐怖が僕を包み、ついぞ4年が過ぎてしまいました。
開けた人たちは痛くないなどと言いますが、耳たぶを指でつねってみて下さい。痛いですよね? じゃあどうして穴をあけて痛くないなんてことがあるでしょうか。
僕は大人になり、一生イヤリングをつけては片方どこかに落とす人生を送ることになるのだと落胆していました。
しかし幸いなことに、時代は個人のスタイルに寛容になり、所属することになった会社もピアスに寛容でした。周りの人たちも結構ピアスをつけている人が多く、正直いって羨ましい。
しかし人間、年を取ると勇気がなくなるものです。もう二十も中盤に差し掛かった大人がピアスをあけるなんて、と常識人を象った自分が出現しますし、結局痛みの問題は解決していません。人体に針を突き刺す恐怖。年をとればとる程、無駄に人生経験が増えたせいで、まだ訪れていない痛みに対する恐怖が強くなっている気がします。
僕はじりじりとピアスをあけないまま日々を過ごしていました。
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25歳になりました。
僕にとって25歳という数字はかなり重く、四捨五入したら30歳です。若さを失う年です。青春を失う年です。
けれども僕は、どこか運命に逆らいたい反逆精神のようなものが時々押し寄せることがあり、25になった瞬間、何か決意が宿った気がしました。
あともう少しだけ若さを保持してやりたい。そんな気持ちでしょうか。
僕は冷静な自分が体内から出現する前に、衝動的に病院を予約しました(流石に友達に開けてもらうなんて判断は25歳ではできません)。
ピアスをあけるぞ! 恐ろしく些細なことであるはずなのに、僕は非常に興奮していました。運命を自分で切り開いている錯覚に酔っていました。
ただし問題は、予約が一週間先しかとれなかったことです。
一晩が過ぎると、底に眠っていた痛みへの恐怖が湧き上がってきました。
続く
