「ジョージ」:【風まかせ文芸部】昼下がり
昼下がりの公園に、毎日のように現れる猫がいた。白と黒のまだら模様で、住民たちから「ジョージ」と呼ばれ可愛がられていた。ジョージは決して鳴かない猫としても知られていた。
ある日、彼の首に奇妙な首輪がついているのを近所の少年が見つけた。首輪には小さなディスプレイがあり、「00:23:48」とカウントダウンが進んでいた。
警察が駆けつけ、爆発物の可能性が高いと判断。爆発物処理班が出動するも、その装置はこれまでのどの爆弾とも一致せず、解除は難航した。
時間は刻一刻と減っていく。ついに警察は、人里離れた山中にジョージを移し、爆発させる決断を下す。だが住民たちは猛反発。「殺させない!」と暴動寸前の騒ぎとなった。
それでもタイムリミットは容赦ない。ついにジョージは山奥へと運ばれた。そして、カウントが「00:00:01」を示したその瞬間。
「に“ゃぁあああ”」
誰も聞いたことのないような、しゃがれたダミ声が山中に響いた。
ディスプレイは「STOP」と表示され、爆弾は沈黙した。後の解析で、それがジョージの声に反応する“音声認証式解除システム”だったことが判明した。
以後、ジョージは「しゃがれ声の英雄」として、なお一層愛されることになった。
