美文字の公式7|横画の間隔ー等間隔のその先へー
横画の間隔は、基本的には同じくらいにそろえます。
書道やペン字では、まず「等間隔に書きましょう」と習います。
これは、美しい文字を書くための大切な基本です。
ですが、これは文字を図形として書きなさいという意味ではありません。
でも、文字を図形として考えると、形やバランスを理解しやすくなります。
これらの言葉は基準となる型を指しています。
まずは基準となる型「横画は等間隔」を知る。
その型が共通認識となり、誰でも同じ考え方で練習できるようになります。そして、再現性も高まります。
1.空間を分ける
「等間隔」といっても、横画同士の縦の距離だけを見るのではなく、文字の縦方向の空間をどのように分けるかを考えます。
縦画や、文字の中心との関係を見ながら横画を配置すると、文字全体のバランスが整います。
空間を見ることを意識します。
2.もう一歩進む---実際は、正確な等間隔ではありません
基本は「等間隔」です。
そこから、定規で測った数値ではなく、人の目に自然に見えるよう整えていきます。
人の目は、数値どおりには見ていません。
線の長さや太さ、周囲の余白によって、同じ距離でも広く見えたり狭く見えたりします。
例えば、「日」の中を上下ぴったり等分にしても、人の目には均等に見えないことがあります。
これは「上方過大視」と呼ばれる視覚の特性(人は上側を実際より大きく感じやすい傾向)の一つです。
文字は数値ではなく、人の目の見え方を基準に調整していきます。
3.さらに一歩---フォントと手書き文字
この考え方は、書だけではありません。
フォントやロゴのデザインでも、数学的な正確さより、「人の目にどう見えるか」を大切にしています。
文字の中心や余白、線の位置などは、見た目が自然になるよう細かく調整されています。
等間隔という”基本の型”のその先で、フォントも書も、人の目に自然に見えるような微調整をしています。
そして、”微調整”のその先に目指すものは、フォントと書では少し違っていきます。
フォントは、どの文字と並んでも自然に読みやすく見えるよう、一定のルールに基づいて設計されています。
一方、書では、一文字だけでなく、前後の文字との関係や線の動き、その場で生まれる表情や呼吸、そして書き手の心まで含めて表現します。
見え方を整えるところまでは同じです。
その先に目指すものが、それぞれ違っていきます。
4.戻って---間隔の広さは文字ごとに違う
具体例に戻ります。
横画は等間隔が基本ですが、その空間の分け方(広さ)は文字の構造によって変わります。
・縦画と交差する横画
例えば、「王」のような文字では、縦画を等分するように横画を配置します。
・囲みのある文字
「日」のような囲みのある文字では、囲みの内側の空間が整うように横画を書きます。
・横画が多い文字
また、「書」や「重」のように横画が多い文字では、間隔を少し詰めることで、文字全体の形を整えます。
全体の形と、その文字に合った空間の分け方を考えます。
5.おわりに---等間隔はゴールではありません
等間隔という型は、とても大切です。
でも、基本の型はゴールではありません。
まずは型を身につける。
その上で、人の目に自然に見えるよう微調整していく。
そうすることで、整った文字になり、少しずつその人らしさも表れてきます。
型を知っているから微調整ができます。
そして、微調整ができるから、その人らしい文字になっていくのだと思います。
人との関わり方や日々の暮らしにも、どこか通じているように感じます。
