見出し画像

ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展(国立西洋美術館)

会期早々に見に行った。時間指定なのに思いの外混んでた。想定外。でもその後観客動員数伸び悩んでるとかいう話もあったような。

ほんと、見たことないピカソばっかり。
「へ?これもピカソ??」と思わされる作品が山ほどある。しかもどれも興味深い。我々が見ていたピカソはまだ一部のものだったんだな。コアな美術ファンはこれを嗅ぎつけて待っていたんだろうか。その分メジャーなピカソ作品を期待するライトな層にはウケなかったとか?

ほとんどの作品が撮影可能というのも驚いた。ピカソはディズニー並みに著作権厳しいとよく聞くのに。太っ腹。

裸婦(《アヴィニョンの娘たち》のための習作)1907年

まず目に付くのはこの作品だろう。ひと目でわかるアヴィニョン臭。かの「アヴィニョンの娘たち」は娼婦のおねえさまたちを描いてるらしいんだが、それがなんでアフリカのお面にされているんだ? 近代絵画に革命を起こしたとされる記念碑的作品だが私はもうひとつ凄さも良さもわからない。ほんもの見ればまた変わるのだろうか。かなりでかい作品だそうだし。

これはほとんどセザンヌのパクりじゃん

パブロ・ピカソ《洋梨とリンゴのある果物鉢》1908年

このへんほとんどマンガだよ。いやマンガ家がピカソに影響されているのか?


これなんかかなりマチスっぽい。亡くなったことへのオマージュではないみたい。晩年近くの作。

パブロ・ピカソ《本を読む女》1953年


パブロ・ピカソ《青いギターのある静物》1924年(部分拡大)

まあいつも思うがピカソは塗りが雑なこと。ペンキ塗り職人の方がお上手なんじゃないか。

いっしょに展示されているブラックとかの作品が撮影禁止というのもこうなるとちょっと不思議。しかも日本の美術館所蔵じゃないか。どういう理屈なんだろう。

で、今回メインでポスターにも使われている作品。

パブロ・ピカソ 《緑色のマニキュアをつけたドラ・マール》1936年

おでこは奇っ怪だけど、口元から鼻の穴にかけてはかなり写実的に掛かれている。昔の少女マンガのようなキラキラ瞳。薄紫のアイシャドウ、緑色のネイル、口元にやった手の爪先が反射しているのか緑の頬に緑の上唇。これじゃ緑べにじゃん。適当に塗っているように見えて色の選択や配置はかなり慎重に行っているのが現物を間近に見るとよくわかる。


ピカその他、クレーにマティスにジャコメッティも愉しめるお得な企画展。ベルクグリューンさんありがとう。

特にジャコメッティにはよくわからないながらなにかしら強く惹かれる。

アルベルト・ジャコメッティ《広場Ⅱ》1948-49年

ジャコメッティはここで事実上初めて触れてかなり考えさせられたっけ。


アルベルト・ジャコメッティ《ヤナイハラ Ⅰ》1960-61年

ヤナイハラ? 柳原? 何語?と思ったら矢内原さんという日本の方がモデルで大阪の国立国際美術館所蔵らしい。

アルベルト・ジャコメッティ 《ヴェネツィアの女 Ⅳ》 1956年

会場ではピカソ晩年の2作品を護衛するかのように配置されている「ヴェネツィアの女」。


もっと前からそんな問はあったんだろうが、近代になり写真ができて以来、「絵画っていったい何だったんだろう?」を芸術家は考え続けてきたわけで、その系譜は現在のゲルハルト・リヒターまで続いている。

これは絵画だけではなく小説なんかでも何を書くかではなくどう書くかばかりに作家の興味や世間の評価が向かうようになってしまった批判はある。

方法論も大事だがそれならそのマニュアル本でも書けよという話だ。

ピカソも方法論が先にたった一人に位置付けられるだろうが、その思想自体だけでなく実際にそれが体現され、なおかつ現在まで鑑賞に値し続けている。二十世紀のあまたの実験的芸術で後の世に残るのはやはりピカソくらいではなかろうかと思う。

会期は2023年1月22日(日)まで! まだ間に合う急げ!(ようやく更新が追いついてきた)

ヤナイハラさん本来の居場所である大阪の国立国際美術館にこの企画展は巡回される。私も3月に関西に行く予定なのでまた見てこよう。


いいなと思ったら応援しよう!