Cross-Botanical Native|2025/06/25
LINNÉ公式ニュースレター“Letter from LINNÉ”より。記念すべき初回エッセイです。
醸造家の今井です。
Inspirationという言葉は捉えどころがなく、これをテーマにちゃんとした文章を書くのは大変なのですが、現時点でLetter購読されている皆様は非常に熱量が高い奇特な方々と思いますので、感謝を込めて、つれづれなるままに今考えていることを少しずつ綴っていきます。
「◯◯ネイティブ」という言葉。
デジタルネイティブとかスマホネイティブという言葉で聞いたことがあるかもしれません。新しい技術や文化が生まれた時から当たり前な世代は、あとから適応した世代に比べ、根本から発想の違いが生まれます。(参考「ダグラス・アダムスの法則」)
《ダグラス・アダムスの法則》
人は、自分が生まれた時に既に存在したテクノロジーを、自然な世界の一部と感じる。
15歳から35歳の間に発明されたテクノロジーは、新しくエキサイティングなものと感じられる。
35歳以降になって発明されたテクノロジーは、自然に反するものと感じられる。
醸造酒SAKEにおいて、この十数年で新技術が導入開発されました。
たとえば白麹。もともと焼酎の技術ですが、その壁を超えた偉大な杜氏たちのおかげで、いま私は「白麹ネイティブ」として技術を扱っています。秋田で学んだ技術を基礎として、日仏米を横断させました。
その途中、2018年に創立した東京の三軒茶屋醸造所では、ボタニカル(植物素材)を発酵に取り入れました。その誕生に立ち会った蔵人たちは「ボタニカルネイティブ」な造り手世代です。
さて今、LINNÉを手伝ってくれている見習い蔵人は、人生初の麹が「栗」、次が「蕎麦」。
米という“型”をまず学ぶべきと思う気持ちもなくはないですが、彼はきっと「クロスボタニカルネイティブ」。多元的な価値観の中で、次の世代がどんなものづくりを見せてくれるのか。
私自身が一番ワクワクしているこのものづくりが、未来にどんなバトンを繋ぐのか。でも、あらゆる素材たちは人類と一緒に歩んできた歴史があるので、人類全員クロスボタニカルネイティブという見方もあります。そうした新しさと懐かしさを皆様に届けられたらいいなと思っています。
LINNÉの世界へようこそ。
※LINNÉ公式ニュースレター“Letter from LINNÉ”からの不定期転載です。最新作ご希望の方は、以下よりご登録いただけるととても嬉しいです。
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