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【創作大賞2026ビジネス部門】アラフィフ 家計簿だけでは人生変わらない~FP相談以前の話をしよう~

【創作大賞2026 ビジネス部門】応募作品

2015年から、『お金のリビング ~お金を入口に「自分らしさ」と出会う場所~』という活動を続けています。

この活動を通して見えてきたのは、「FP相談以前」の人たちの存在と、人生後半戦にはお金との向き合い方が大きく変わるということでした。必要なのは、正解を教えてもらうことではなく、お金を入口に自分の考えや価値観を整理し、自分の言葉を育てていくこと。そのプロセスこそが、これからの人生を自分らしく選び取る力につながるのだと実感しています。

その経験をもとに、アラフィフが人生後半戦を再設計するための「FP相談以前」のお金との向き合い方を一冊の本にまとめたいと考え、応募します。

本の骨格をお伝えするため、本応募では「はじめに」「目次」「おわりに」「参考資料」を掲載します。


はじめに

アラフィフになると、お金の悩みは人生の問いになる件


 突然ですが、お金の漠然とした不安を、誰かに相談したいと思ったことはありませんか? でも、誰に、どうやって相談すればいいのかわからない……。そんな人たちと、たくさん出会ってきました。

 私は2000年にFP(ファイナンシャル・プランナー)の資格を取得し、これまでお金と暮らしの文筆家として活動してきました。資格取得時の講義で、今でも忘れられない言葉があります。

「FPは、お金の町医者です。」

 体の調子が悪くなったら町医者へ行くように、お金のことで困った時はFPに相談する。これからは、そんな社会になっていく――そう教わりました。けれども、あれから四半世紀以上が過ぎた今、FPは本当に町医者のような存在になったのでしょうか。少なくとも私には、FPはまだ多くの人にとって、そこまで身近な存在にはなっていないように感じます。

 なぜでしょうか。それは、多くの人がFPに相談する前の段階で立ち止まってしまうからです。家計簿をつけようと思っても続かない。数字を見るだけで気持ちが重くなる。何から整理すればいいのかわからない。「こんな状態でFPに相談してもいいのだろうか。」専門家が必要なのに、その手前で足が止まってしまう…。

 そこで私は、「お金のリビング」という場を作ることにしました。お金の漠然とした不安を一旦受け止め、そこから家計情報を読むポイントをお伝えし、お金のことを自分の言葉で語れるようになるお手伝いをします。そして、必要に応じてFPなどの専門家へつないでいます。

 「お金のリビング」を続ける中で、お金と真剣に向き合う時期は、人生に二度あるのだと気づきました。一度目は、結婚や出産、住宅購入など、人生の大きな節目です。そして二度目が、アラフィフ。仕事や子育てに一区切りがつく頃、それまで家族のために考えてきたお金は、「これから私はどう生きたいのか」という問いへと変わります。

実際、「お金のリビング」に来られる方の多くが、アラフィフです。

 お金のことを自分の言葉で語れるようになると、「お金の不安」という霧が少しずつ晴れていきます。すると、その奥から、「こんな自分でありたい」「本当は、こんな暮らしがしたい」という、その人らしい願いが見えてくるのです。

 お金の悩みだと思っていたことが、実は「この生き方でいいのだろうか」という人生への問いだった――。そのことに本人が気づく瞬間に立ち会えることが、「お金のリビング」を続ける原動力になっています。

 「お金のリビング」の来訪者は、自分の悩みを「お金の問題」だと受け止めています。だから、これまで最初に手に取ってきたのが家計簿です。そして、家計簿と仲良くなれないと、「やっぱり私はお金が苦手なんだ」と思い込み、自分を責めてしまいます。

 家計簿は、お金を整理するための道具の一つです。もちろん役に立つ道具ですが、続かないからといって、お金が苦手だということにはなりません。大切なのは、家計簿をつけることではなく、自分のお金の現状を理解し、それを自分の言葉で語れるようになることです。

 そのためには何が必要なのか。

 本書では、家計簿を使わずに家計情報を整理するワークを紹介するとともに、そのワークを通して自分自身を理解し、お金との付き合い方が変わっていった方々の姿をお伝えします。そして、その実践を通して私自身が考え続けてきたことを、まとめました。

 アラフィフが、お金を入口に、自分の価値観やこれからの暮らし、生き方を見つめ直す。そして、「私はこれから、どう生きたいのか」。その問いに向き合うための一冊として、この本をお届けします。

目次

第1章 家計簿だけでは人生は変わらない

1 「お金のリビング」が生まれた理由
2 家計簿だけでは人生は変わらない
3 「我が家の歩幅」を知る
4 未来年表を書いてみよう

第2章 漫画『美男と金子』から学んだこと

1 漫画『美男と金子』の監修を引き受けた
2 美容の世界は「外国語」だった件
3 言葉がないと、人は考えられない
4 「お金が不安」では、何も始まらない

第3章 日本はすでにゲームチェンジしている

1 なぜ、ゲームチェンジに気がついたか
2 キーワードは、「主体的」
3 NISAとiDeCoが教えてくれること
4 老後資金は自分で考える時代へ

第4章 老後2000万円問題を卒業しよう

1 老後2000万円問題を解剖する
2 2000万円必要な人、必要でない人
3 老後資金は「金額」より「暮らし方」
4 年金・資産・働く。三本柱で考える

第5章 人生後半戦は、「ちょうどいい」が強い

1 節約アスリートにも、投資マニアにもならない
2 voicy芳麗さんの木朝ライブで「ちょうどいいお金の話」を届ける
3 お金の悩みは、暮らしの悩み
4 何のために、お金を育てるのか
5 「ちょうどいい」が強い

第6章 お金のリビングから始まる人生

1 お金の相談をすると、人生の話になる
2 答えは、あなたの中にある
3 自分が安心して考えられる場を持とう
4 人生は、何度でも設計し直せる

 

おわりに 


子育てが一段落したら、人生の目標を見失っていた件

 2023年4月。毎年恒例の新宿御苑でのお花見会でのことです。久しぶりに会った文筆家でVoicyパーソナリティもしている芳麗さんに、「どうした? 何だかやつれている」と、声をかけられました。

 その前月、3人いる息子のうち、下の双子の大学進学が決まりました。長男の誕生から数えると二十三年間、子育ては私の生活の中心でした。仕事柄、教育費は大学入学までに準備を終える計画だったため、入学を機に「ここから先の学費の支払い手続きは自分でやってね」と、学費を積み立ててきた銀行口座の通帳を本人たちへ手渡しました。息子たちは自宅から大学へ通っていますが、そのとき私の中では、「子育てが一段落した」という実感がありました。そう、私は空の巣症候群になっていたのだと思います。

 思えば、結婚してからというもの、常に超えるべき「お金のハードル」がありました。人生の三大資金といわれるのは、住宅・教育・老後資金です。

 まずは住宅購入のための頭金を貯め、住宅ローンを組みました。そして、教育費が本格化する前に住まいの負担に一区切りをつけると、息つく間もなく、次は「三人分の大学受験費用と大学の学費を用意する」という教育費の最大の山場がやってきました。

 三人とも私立の中高一貫校に通い、大学受験では予備校にも通ったので、教育費としては、ほぼフルコースだったと思います。

 長らく、「お金の不安がなくなれば、人は幸せになれる」と思っていました。子どもたちに教育費の通帳を手渡した時点で老後資金も試算してみましたが、今のままの生活を続けていれば、数字の上では大きな問題はありませんでした。

 でも、そのとき初めて気づいたのです。仕事や子育てが一段落した後の長い時間をどう生きるのか。その問いに、お金だけでは答えを出せないということに。

 人生100年時代とは、人生そのものが長くなったというより、いわゆる「老後」が長くなったということです。たとえば、「老後破産をしない」とか、「FIREを目指す」といった目標だけでは、その先にある長い時間を持て余してしまいます。

 これまでのように、目の前のお金のハードルを一つひとつ越えていくという考え方とは別軸で人生を考える必要がある。その事実に、この時ようやく気づいたのです。

私は、人生について何も考えていなかったんだ! 

 そう気がついた時の衝撃は、山を登り続け、ようやく頂上にたどり着いたと思ったら、先にはスコーン! と、何もなかった。そんな感覚でした。

 そこから私は、自分がこれから何をしたいのかを改めて考え始めました。教育の取材を通して、「その子らしく育つこと」をサポートする人たちに共鳴してきました。そうであるなら、自分は、大人が自分らしく生きることをサポートできないだろうか。

 お金のリビングにいらっしゃる多くの方は、自分のモヤモヤを「お金の悩み」だと思って来られます。でも、お金の情報や現状を整理していくうちに、最後に残るのは、「私はこれから、どう生きたいのだろう」という問いです。私は、その問いと向き合う時間を何よりも大切にしています。

 もちろん、私自身もまだ発展途上です。人生後半戦を生きるのは初めてですし、親の介護も、自分自身の老いも、これから本番を迎えます。そのたびに迷い、そのたびに考えながら、一歩ずつ進んでいくことでしょう。

 この本は、2026年時点での私の経過報告書です。

 もし、この本が、あなた自身のこれからを考えるきっかけになれたなら、これほど嬉しいことはありません。私も「お金のリビング」を続けながら、何度でも人生を設計し直し、その時々の自分らしい生き方を更新していきたいと思っています。

参考資料

お金のリビング卒業生の声

楢戸ひかるHP「主婦er(シュファー)」

楢戸ひかるプロフィール

関わった書籍

漫画「美男と金子」第1話 監修:楢戸ひかる

Voicy 芳麗 さん・木朝ライブ

「すべて見る」を押して頂くと過去の楢戸ひかるとのアーカイブが視聴できます。



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