20代の設計士さん。
家づくりの打ち合わせで、
少しだけ心がざわついたことがありました。
営業さんは文句なしのベテラン。
大工さんも自社の専属職人さん。
ここまでは完璧な安心感に包まれていました。
そして、満を持して
設計士さんが部屋に入ってきました。
20代中頃。二級建築士。
「……あ、大丈夫かな(汗)」と思いました。
人生で一番高い、何千万円もする買い物です。
営業も、大工も、設計士も、
できるだけ経験豊富な人にお願いしたい。
そう思ってしまうのは、自然だと思います。
家のイメージは、
InstagramやPinterestを見せれば伝えられます。
でも、僕らが本当にプロに期待しているのは
そこじゃありません。
「木の温もりを感じる、
居心地のいい暮らしがしたい」
みたいな、フワッとした曖昧な理想を、
プロの知識でバシッと形にしてほしい。
時には
「あ、それ絶対に住みにくくなるんで
やめた方がいいですよ」
「それよりこっちの間取りの方が、
10年後に絶対感謝します」
という、愛のある逆提案が欲しいんです。
そのアイデアの引き出しの数は、やっぱり
「修羅場をくぐってきた経験年数」に
比例するんじゃないのか。
正直、そう思っていました。
……でも、打ち合わせが終わって帰り道、
ふと考えました。
「これ完全に僕の浅はかな偏見じゃないか?」
僕は普段、製造業で仕事をしています。
もし誰かに、
「若いからちょっと不安ですね。」
と言われたら、きっと少し悲しい。
年齢じゃなく、僕がこれまで準備した時間や、
現場で泥臭くどれだけ考えてきたかを
見てくれよ、と叫びたくなるはずです。
目の前の若い設計士さんも、
全く同じかもしれない。
もちろん、経験は大切です。
それは間違いありません。
でも、経験年数だけで最高の家が建つなら、
ベテランは全員「名匠」になっているはず。
若くても、何百件と図面を引き、
厳しい先輩に揉まれ、誰よりも
最新のトレンドを勉強している人だって
間違いなくいます。
僕が見るべきだったのは、
資格の級数でも、年齢でもありませんでした。
僕らの漠然とした質問に
どう向き合ってくれるか。
僕らの生活動線をどれだけリアルに
想像してくれるか。
「僕たちが本当にやりたいこと」を、
一緒に言葉にしてくれる人かどうか。
見るべき本質は、そこだったんです。
……そうは言いつつ、まだ頭の片隅で
少しだけビビっている自分もいます(笑)。
でも、次の打ち合わせでは、
提示された「提案」をまっすぐ見ようと思います。
家づくりを通して、一番試されていたのは
設計士さんの実力ではなく、僕自身の
ちっぽけな固定観念だったのかもしれません。
「人を見かけで判断しちゃダメ。」
私が娘に伝えてる言葉が
ブーメランで私に突き刺さった日でした。
