恐怖体験 こたつの向こうにいると思っていた家族
夏がやってきましたね。
ということで今日は、普段とは少し趣旨を変えて、私が過去に体験した恐怖体験について書いてみたいと思います。
あれは、私が高校生だった頃のことです。
季節は冬の終わり頃、こたつを片づけるには、まだ少し肌寒い日もあるくらいの時期でした。
その日は休日で、私は夕方から居間のこたつで横になっていました。
電源を入れるほど寒くはなかったので、こたつの電源は入れていませんでした。
眠るつもりもなかったのですが、少し疲れていたのか、次第にうつらうつらしてきました。
私が横になっている部屋では、母と弟二人がテレビを見ていました。
テレビの音が聞こえ、家族が近くにいる気配がありました。
日常の雰囲気の中で、今にも眠りに落ちそうになっていました。
そのとき、ふと、頭の中に疑問が浮かびました。
「あれ?」
「そういえば、さっき母と弟たちは車で買い物に出かけていかなかったっけ?」
そう気づいた瞬間、明るく感じていたはずの部屋は、急に薄暗くなりました。
聞こえていたと思っていたテレビの音も、いつの間にか消えていました。
そして、私は身体が動かないことに気づきました。
この頃の私は、ときどき金縛りになることがありました。
そのため、「あ、また金縛りだ」と思いました。
金縛りの状態になると、意識ははっきりあるのですが、身体がまったく動かなくなります。
当然、声も出せませんし、目を開けようとしても、まぶたがうまく持ち上がりません。
意識のある状態で目を瞑っているので、部屋が薄暗いことだけは分かりました。
そして、先ほどまで家族がいたと思っていた場所には、今も人の気配が残っています。
こたつを挟んで、すぐ向こう側です。
過去に金縛りになったときには、かすかに開けた目から黒い影のようなぼんやりしたものが近づいてくるのが見えました。
金縛りになると現実のものに夢が重なっているような感覚になります。
このときも、同じ感覚がありました。
向こう側に何かがいる気配を感じました。嫌だな、こちらに気付くなよと思いながら、私は必死になって身体を動かそうとします。
ここから離れたい。
目よ開け。誰もいないことを確かめさせてくれ。
などと思いながら、どれだけ力を入れても、指一本動きません。
もし母と弟たちなら、薄暗い部屋で三人とも黙ったまま座っているのは不自然です。
テレビも消えていて、会話もありません。
ただ、気配だけがある感じです。
それが普通の人ではないと、わかります。
そんな中、気配が近づいてくる感じがしました。
このままだと、もうすぐ、こたつの向こうからこちら側へ来る。
気配はどんどん近くなり、「もうダメだ」
そう思った瞬間、突然、身体が動きました。
目も開きました。
私は勢いよく起き上がりました。
もちろん、部屋には誰もいません。
テレビもついていません。
夕方の薄暗い部屋に、私が一人でいるだけでした。
寒い時期だったはずなのに、全身にぐっしょり汗をかいていました。
しばらく放心したまま座っていると、家の外から車が入ってくる音が聞こえました。
母と弟たちが、買い物から帰ってきたようです。
その音を聞いて、安心するはずが、なぜかソワソワした感覚が消えませんでした。
なにか、今帰ってきたのは、本当に母と弟たちなのだろうかと思えて、落ち着かなかったのです。
社会人になったくらいからは全く金縛りにならなくなったので、成長期特有の現象だったのかも知れません。
不思議と金縛りになるときは、夢なのか錯覚なのか動けない恐怖から何かみてしまうことがよくありました。
そんな体験の中でも、このときが一番怖かったので今でもよく覚えています。
