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《ネクロマンシー》――一瞬だけ死者を呼び戻す、器用なリアニメイト呪文


ネクロマンシー

《ネクロマンシー / Necromancy》は、黒のリアニメイト系カードの中でもかなり独特な一枚である。初出は『ビジョンズ』、レアリティはアンコモン。マナ・コストは{2}{B}のエンチャントで、墓地のクリーチャー・カードを戦場に戻し、それに《ネクロマンシー》自身がオーラとしてつく。基本的な役割は《動く死体》や《Dance of the Dead》に近いが、このカードには大きな特徴がある。インスタントを唱えられるタイミングでも唱えられるのである。

この「瞬速のように唱えられる」性質が、《ネクロマンシー》をただのリアニメイト呪文ではないカードにしている。通常のリアニメイトは、自分のメインフェイズに巨大クリーチャーを釣り上げる使い方が中心である。しかし《ネクロマンシー》は、相手の攻撃に合わせて墓地からブロッカーを呼び戻したり、除去に対応して別の脅威を用意したり、コンボの途中で必要なクリーチャーを引き上げたりできる。3マナと少し重い代わりに、使える場面が広い。


死体のダンスはインスタント・カードなので使い方が異なる

ただし、ここには重要な制限がある。ソーサリーを唱えられないタイミングで《ネクロマンシー》を唱えた場合、それによって戻したクリーチャーは次のクリンナップ・ステップに生け贄に捧げられる。つまり、相手の終了ステップに唱えて「次の自分のターンまで残す」という使い方は基本的にできない。インスタント的に使う場合は、一時的な奇襲、ブロック、コンボ、死亡誘発の利用など、「そのターン中に役割を終える」使い方が中心になる。

一方、自分のメインフェイズに普通に唱えれば、戻したクリーチャーはそのまま戦場に残る。《ネクロマンシー》が戦場を離れると、そのクリーチャーのコントローラーはそれを生け贄に捧げるため、エンチャント破壊には弱い。だが、墓地から巨大クリーチャーを3マナで釣り上げられるだけで十分に強力である。リアニメイトデッキなら、序盤に《納墓》や手札を捨てる手段で大型クリーチャーを墓地に送り、《ネクロマンシー》で戦場へ戻す動きが自然になる。

このカードの面白さは、単なる踏み倒しだけではない。オーラ型リアニメイトであるため、エンチャントを利用するカードとも絡む。エンチャントを再利用したり、戦場に出たときの誘発を利用したり、墓地のクリーチャーを何度も出し入れするような構成では、かなり器用に働く。特に統率者戦では、リアニメイト、コンボ、サクリファイス、エンチャントシナジーの中継点として使われることがある。

代表的なコンボとしては、《世界喰らいのドラゴン / Worldgorger Dragon》との組み合わせがある。《ネクロマンシー》で《世界喰らいのドラゴン》を戻すと、ドラゴンの能力で自分の他のパーマネントが追放される。その中に《ネクロマンシー》も含まれるため、ドラゴンが生け贄になり、追放されていたパーマネントが戻る。これを繰り返すことで、土地などを何度もアンタップして大量のマナを生み出すコンボにつながる。

ただし、扱いには注意も必要である。《ネクロマンシー》は黒のオーラとしてクリーチャーにつくため、プロテクション黒を持つクリーチャーとは相性が悪い。たとえば以前記事にも書いた《夜のスピリット》のようなプロテクション黒持ちを釣ろうとすると、戦場に戻ったあと《ネクロマンシー》が適正についた状態を維持できず、結果的にクリーチャーも失うことになる。この点は《動く死体》系と同じく、リアニメイト先を選ぶうえでかなり大事である。

また、墓地対策には当然弱い。《トーモッドの墓所》《外科的摘出》《虚空の力線》のようなカードを置かれると、そもそも釣る対象がなくなる。さらに《ネクロマンシー》自体がエンチャントなので、戻した後にエンチャント除去を受けるとクリーチャーも道連れになる。軽さでは《再活性》、爆発力では《死体発掘》に劣る場面もあり、純粋な速度だけで見れば最速のリアニメイト呪文ではない。

それでも、《ネクロマンシー》には他にはない強みがある。普通に唱えれば恒久的なリアニメイト。インスタント的に唱えれば一時的な奇襲。コンボに使えばループの一部。状況に応じて役割を変えられる柔軟性が、このカード最大の魅力である。

《ネクロマンシー》は、派手な大型クリーチャーそのものではない。だが、墓地に眠る怪物を呼び戻し、必要なら一瞬だけ戦場に立たせ、役目を終えれば再び闇へ沈める。その動きは、まさにカード名どおりの死霊術である。扱いは少し複雑だが、使いこなせば非常に味わい深いカードなのである。


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