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『LISTEN 知性豊かで創造力がある人になれる』 読書共有【第18弾】

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はじめに

今回はケイト・マーフィ『LISTEN  知性豊かで創造力がある人になれる』(松丸さとみ訳、日経BP、2021年)からの共有です。

本書は、「耳を傾ける」という意味を持つ“LISTEN”がタイトルとなっているように、私たちの認知や心、職場や家族における人間関係、そしてスマホが生活に深く根づいている現代社会といった観点から「耳を傾ける」ことについて論じた名著です。

最近では特に「話す」ことに特化した本が量産されている傾向にあるように思われますが、本書ではむしろ忘れられがちな、また軽視されがちでもある「耳を傾ける」ことに焦点を当て、まさにこの行為自体が人生を豊かにするものであることを実例に即した形で失敗例・成功例をともに挙げつつ解き明かしています。

より良い人間関係を築きたい人、創造力や発想力を高めたい人、「話す」ことより「耳を傾ける」ことで変化を体験したい人に、特にオススメの一冊となっています。


「聞く」と「聴く」の違い

先述のように“LISTEN”は「耳を傾ける」という意味を持ちますが、実は本書では翻訳の際に「聞く」と「聴く」が適宜使い分けられています。場合によっては分断できず「聞く/聴く」と訳しても良さそうですが、基本的には「聞く」は受動的「聴く」は能動的で共感的な行為として考えることができるでしょう。

【聞く】

・音や言葉をただ耳に入れるだけ
・スマホを見ながら話を「聞く」など注意が分散
・相手の話を待っているだけ、流しているだけ

【聴く】

・相手の話に意識と感情を向けつつ全身で傾聴
・「なぜ相手はこの話を私にしているのか?」と自問
・共感、理解、受容を伴う心のこもった姿勢
・沈黙、声のトーン、非言語的なヒントにも注意
・助言しようとはせず相手の世界観に寄り添う

上記のように、「聞く」は受動的「聴く」は能動的で共感的な行為として区別することができますが、実際のコミュニケーションでは両者は相互に入り組んでいるようにも思えます。

ただ、ここで重要なのは知的に両者を区別して満足することではなく、心から、そして全身で「聴く」ことを私たちが日々実践することにより創造力を養い、人間関係をより良いものにしていくことだと言えるでしょう。

次に、この「聴く」ことにフォーカスしながら本書の主なテーマとポイントを見ていくことにします。


主なテーマとポイント

◇「聴くこと」は知性と創造性の源泉
相手の話に関心を持ち感情を共有することで、深い理解と新しい発想が生まれる。

◇「聴くこと」は孤独を癒す
自分の話を傾聴してもらえた経験が人間関係を豊かにし、信頼を育む。

◇技術より態度が重要
単なる相槌やオウム返しではなく、相手の意図や感情に寄り添う姿勢が大切。相手の話を途中で遮らない。すぐ評価や助言を与えない。

沈黙や違和感にも耳を傾ける
沈黙は相手が考えている証拠で、聴く側からの敬意の表れでもある。またつじつまの合わない会話にも傾聴で対処することで、騙されるリスクを回避できる。

「聴くこと」で自分も変わる
読書や対話を通じて自分の内なる声や認知の癖に気づくことで成長につながる。


「耳を傾ける」ことで人生を面白くする

著者は「耳を傾けることは話すことよりもずっと大切」と力説しつつ、現代では「聴く」ことが忘却され、現代人はきちんと自分の話を「聴いて」もらった経験が少ないとも指摘しています。

しかし、誰の話にも「耳を傾ける」ことができるということは、実は誰とでも話ができるということでもあり、そこから「聴く」こと自体の経験が人生を面白くし、また自分自身をも面白い人物にすると著者は指摘します。

よく、「あの人は面白くないんだよね」といったことが言われますが、本書に照らして見れば、そうした発言者自身が「耳を傾ける」行為を怠って、勝手な決めつけで他者を面白くないと他責的に判断しているということはままあることでしょう。

ということは、実はその発言者自身が「耳を傾ける」ことをしない「面白くない」人物という皮肉な結果になるわけです。私自身も仕事が面白くないと思った時期や、どうしても面白くないと感じてしまう場面も全くなかったわけではありませんでした。

しかしそんな時は、「仕事が面白くないのではなくて、自分自身が面白くないヤツなんだ」と反省するようにしていました。お笑い芸人のように、機転をきかして面白い状況を切り開くのがプロなのかも知れないと思うようにもなりました。

面白いと思える状況を切り開いていくには、まずは「耳を傾ける」ことなしには不可能なのでしょう。面白いツッコミも、「耳を傾ける」ことなしには成立しないようにです。「耳を傾ける」ことが知性豊かで創造力のある人になるために必要であるという本書の観点は、人生を面白く楽しいものにするためにも役立つことでしょう。


「耳を傾ける」ことは「おもてなし」のひとつの形である

ここで特筆すべきなのは、「人が言った言葉を振り返ってじっくり考えるということは、あなたの心の中に、その人の考えや感情の居場所ができるということ」です。この事態は、「聞くことが「おもてなし」のひとつの形であるという考えの延長線上にある」と著者は述べています。

「耳を傾ける」とは、「あなたの意識をすべてそこに向けるという贈り物を差しだす」ことだと言われるように、「聴く」ことは一つのプレゼントであるというように私も思います。

私はよくお客様に大小問わず手紙を書く習慣があり、これは全国スタッフ向けの研修で取り上げられたり、また自分自身で研修をさせていただいたり、さらに一部TV放送で紹介されたりしたこともありますが、この手紙の本質は実は「傾聴」以外の何物でもないと私は考えています。

というのも、「傾聴」なくして心のこもった手紙は書けないと思われるからです。別の表現をすれば、手紙は「耳を傾ける」ことが形として現れ(表れ)たものであるとも言えるでしょう。

著者が言うように、「よく「聴く」とは、相手の頭と心の中で何が起きているのかを分かろうとすること。そして「あなたを気にかけているよ」と行動で示すこと」であり、私にとってはそれを具現化したものが手紙ということです。

もちろん私の書く手紙も一つの手段に過ぎず、手紙それ自体に大きな意味があるわけではないと思っています。ただ、「分かろうとすること」「行動で示すこと」が何よりも大切だというように日々の実践や経験から思うようになりました。

最後に、本書は「耳を傾ける」ためのテクニックの羅列ではなく、むしろ「耳を傾ける」経験の雰囲気を掴み、実践で訓練を積んでいくことを促すという点でどこまでも実践の書であるということです。

なお本書の内容は、近年流行りのEQ(心の知能指数)の議論とも触れ合うところがあります。EQとは自分自身と他者の心の動きに気づき理解する能力であり、またそれによって自分自身や人間関係を上手く管理する能力のことを指しますが、これは社会的に成功を収めている人に備わっていることが多いとされる能力です。

EQについては、またいつか共有できたらと思っております。


おわりに

今回も最後までお読みいただきまして誠にありがとうございます。
日々少しずつ閲覧数やリアクション数、フォロワー数も増えてきて嬉しい限りです。今後も最低週1回の更新を目指して頑張ってまいります。

あえて本の要約といったことはメインとせず、私なりの観点から面白いと思った箇所の共有という限定的な内容にしております。それが少しでも皆様の記憶に残り、日々の読書体験の深まりや具体的な行動・実践に繋がるのであれば幸いでございます。

それでは今後とも宜しくお願い申し上げます。

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