【HYP】「改革Visionを1週間で作ってくれ!」と言われたら?💡 0021
トップから突然、
「現状を打破し、当社が目指すべき姿、Visionを1週間で作ってくれ」
と頼まれたら、どうしますか?
Visionなんて作ったことがない。
何から始めればいいのか分からない。
Googleや生成AIで調べると、いろいろな作り方が出てくる。
しかし、それを自分の会社の改革Visionにするには、どうしたらいいのか?
この記事では、私が「プロジェクト推進力育成セミナー」で12年間使ってきた、Visionを作った経験がない人でも、実際にVision案を作れる方法をご紹介します。
私のセミナーでは、初めて経験する受講者がチームを組み、約1時間で企業改革のVision案を作ります。
ポイントは、難しい理論ではありません。
「キーワード抽出」+「メタプランニング」
です。
💡この記事はこんな方に向けて書いています
会社・事業・部門の改革を任された方
DX・業務改革プロジェクトのリーダーになった方
「まずVisionを作れ」と言われ、何から始めればよいか困っている方
仮説検証技法を使って、改革案を作る方法を学びたい方
💡そもそも、なぜ改革にVisionが必要なのか?
私が定義するVisionとは、
「組織が達成したい中長期的な姿と、その価値を示すもの」
です。
そして、Visionには重要な役割があります。
「私たちは、どこへ向かっているのか?」
をプロジェクト関係者全員に示すことです。
業務改革では、例えば、
営業
製造
仕入れ
物流
IT
経営
など、立場の違う人たちが参加します。
それぞれが違うゴールを見ていたら、プロジェクトは進みません。
Visionは、全員が目指すべき姿を確認し、同じ価値観を持つためのものです。
さらに、
望む姿になるために取るべき行動と道筋を、関係従業員に示す
お客様やパートナー企業とも価値観を共有する
ためにも使えます。
だから私は、仮説検証技法を使って企業改革を考えるとき、最初にVisionを置きます。
💡私が一番好きなVision
私が一番好きなVisionがあります。
1961年、米国のJ.F.Kennedy大統領が示した、
「1960年代が終わるまでに、人間を月面に送り、安全に地球へ帰還させる」
という目標です。

なぜ私が好きなのか。
何をするのかが明確
期限がある
誰でも理解できる
夢がある
そして実際に1969年に実現した
からです。
Visionの力をよく表す、こんな逸話もあります。
Kennedy大統領がNASAを訪問し、ほうきを持った清掃員に、
「何をしているのですか?」
と尋ねました。
すると清掃員は、
「私は、人類を月に送る手伝いをしています」
と答えた、という話です。
私は、この話が好きです。
なぜなら、清掃員まで、
「私も、人間を月へ送る仕事に参加している」
と、Visionを理解しているからです。
Visionが組織の隅々まで共有されるとは、こういう状態だと思います。
【参考】 Facebook創設者でMeta CEOのMark Zuckerbergさんは、Harvard大学卒業生へのスピーチでVisionの大切さを、こう説いています。 出典: 2017.6.5 日経朝刊 池上彰の大岡山通信
💡では、自社の改革Visionをどう作るのか?
ここからが、この記事で最もお伝えしたい部分です。
GoogleやChatGPTに、
「業務改革Visionはどう作ればいいですか?」
と聞けば、いろいろな方法を教えてくれます。
しかし私は、セミナーで12年間、もっとシンプルな方法を使っています。
それが、
🎈キーワード抽出 + 🎈メタプランニング
です。
私の「プロジェクト推進力育成セミナー」では、企業改革のVisionを作った経験がない受講者にも、この方法で実際にVisionを作ってもらっています。
では、どう進めるのかをご紹介します。
💡① Visionを考える材料を集める
いきなり、
「さあ、Visionを書いてください」
とは言いません。
まず、改革を考えるための材料を集めます。
例えば、
自社の現状
お客様が求めていること
自社の強み・弱み
競合企業
目指したい他社事例
市場や技術の変化
などです。
そして関係メンバーを集め、司会役・記録係などの役割を決めます。
情報が多すぎる場合は、Visionを考えるうえで重要なものに絞ります。
💡② 重要なキーワードを全員で書く
例えば、
「競合に勝ち、最高の価値を市場に届ける」
ためには、何が重要でしょうか?
参加者全員に問いかけ、それぞれが重要だと思うキーワードをポストイットに書きます。
例えば、
「お客様」
「安全」
「スピード」
「品質」
「社員」
「デジタル」
「新しいサービス」 などなど
ここでは、いきなりきれいなVision文章を作ろうとしません。
まず、メンバーの頭の中にある重要な言葉を出す。
これがキーワード抽出です。
💡③ ポストイットを貼りながらグループ化する
次に、書いたポストイットを1枚ずつ壁に貼っていきます。
似たものがあれば、その近くに貼ります。
例えば、
「顧客満足」
「お客様第一」
「お客様に選ばれる」
というキーワードは似ていますよね。 したがって近くに置きます。
別の場所には、
「スピード」
「短納期」
「迅速な回答」
が集まるかもしれません。
このように、
貼りながら似たものをグループ化する
のが、メタプランニングです。

こうすると、最初はバラバラだった参加者の考えが、
「私たちが大切にしたいことは、このあたりだ」
と目に見えるようになります。
💡④ Visionに使いたいキーワードを選び、文章にする
次に、できたグループの中から、
「この言葉は、私たちのVisionにぜひ入れたい」
というキーワードを全員で選びます。
そして、選んだキーワードを並べながら文章にします。
最初から名文を作る必要はありません。
まず、
Vision案1
を作ってみます。
ここは仮説検証技法の考え方ともつながっています。
最初から100点を狙うのではなく、
まず案を作り、それを評価し、改善する。
Visionも同じです。
💡⑤ できたVision案を全員で評価する
文章ができたら、それで完成ではありません。
私は、次のような視点で全員に評価してもらいます。
☑️ 何をどう変えるのか、分かるか?
☑️ どうなれば成功なのか、分かるか?
☑️ 目標値は必要ないか?
☑️ お客様が競合他社ではなく、自社に来てくれるか?
☑️ 従業員や関係者が奮い立ち、勇気づけられるか?
☑️ 従業員が何をすればいいのか、イメージできるか?
弱ければ直します。
必要なら複数のVision案を作って比較してもよいでしょう。
そして最後に、当該役員・Topへ説明し、承認を得ます。
💡実際に、私のセミナーでやってみると?
私は、この方法を「プロジェクト推進力育成セミナー」で12年間使ってきました。
異なる会社から参加したメンバーがチームを作ります。
当然、同じ会社の社員ではありません。
そこで、
「JALの再生」
をテーマにして、全員にJAL社員になり切ってもらいます。
そして、
情報を確認する
↓
キーワードを出す
↓
ポストイットをグループ化する
↓
使いたいキーワードを選ぶ
↓
Vision案を文章にする
↓
全員で評価する
という手順で進めます。

そして、実際に受講者が作ったものがこちらです。


下段は、選んだキーワードで使わなかったもの
上図から、全員でVisionに使いたいキーワードを選び、それを文章表現に直していきます。
わずか50分の演習でも、Vision案がここまで形になります。
もちろん、50分で作ったVisionを、そのまま企業の正式Visionにするという意味ではありません。
私がこの演習で経験してほしいのは、
Visionを作った経験がない人でも、材料を集め、キーワードを出し、整理し、文章化することで、Visionのたたき台を自分たちで作れる
ということです。
💡Visionは、作った文章より「作る過程」にも価値がある
私は、Visionづくりにはもう一つ重要な価値があると思って
「お客様に、どんな価値を提供したいのか?」
「5年後、私たちの会社をどうしたいのか?」
「何を変えなければならないのか?」います。
関係者が集まり、
を一緒に考えることです。
トップやコンサルタントが一人で作ったVisionを、
「これが今日から当社のVisionです」
と渡すのとは違います。
自分でキーワードを書き、
他のメンバーの意見を見て、
「なるほど、それも重要だ」
と考え、
全員で言葉を選ぶ。
その過程を経験することで、
「会社が決めたVision」から「私たちが目指すVision」へ変わっていく。
私は、ここにもキーワード抽出+メタプランニングを使う大きな価値があると考えています。
💡しかし、Visionを作っただけでは改革は始まらない
ここが、HYP(仮説検証技法)の重要なところです。
Visionは、
「私たちは、ここへ行きたい」
という目指す姿です。
では、
現在の会社と、目指すVisionの間には何があるのでしょうか?
そこにあるのが、
解決しなければならない課題
です。
だから、私の仮説検証技法では、
Visionを作る
↓
現状を調べる
↓
VisionとのGapを考える
↓
課題を展開する
↓
解決策の仮説を作る
↓
事実を集めて検証する
と進めていきます。
つまり、
Vision作成は、仮説検証のゴールではなく、スタート地点です。
ここまで理解すると、
「では、Visionの次に何をするのか?」
「解決策の仮説はどう作るのか?」
「その仮説が正しいか、どう検証するのか?」
という次の疑問が出てくると思います。
そこからが、HYP=仮説検証技法の本番です。
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この記事は、Project Leading Skill(PLS)の5つのプロジェクト推進力のうち、
HYP|仮説検証技法
のCore記事です。
まずこの記事で、
「改革の出発点となるVisionをどう作るか」
を理解していただきました。
次は、
👉 Practice:Visionから課題をどう展開するのか
👉 Practice:解決策仮説をどう作るのか
👉 Case:実際の企業改革で仮説検証をどう使ったのか
へ進んでください。
【ここに該当するHYP Practice/Caseの記事番号・最新タイトル・URLを挿入】
💡まとめ――改革Visionは、自分たちで作れる
トップから、
「改革Visionを1週間で作ってくれ」
と言われても、白紙を前に一人で悩む必要はありません。
私が12年間セミナーで使ってきた方法はシンプルです。

① Visionを考える材料を集める
② 全員でキーワードを出す
③ メタプランニングでグループ化する
④ 重要なキーワードを選ぶ
⑤ Vision案を文章にする
⑥ 全員で評価・改善する
⑦ Topへ説明し、承認を得る
そして、私が大切だと思っているのは、
関係者自身がVisionづくりに参加することです。
自分たちで考えたVisionだから、
「経営者から与えられたVision」ではなく、「私たちが目指す姿」になる。
そしてVisionができたら、次の問いです。
「では、このVisionを実現するために、何を変えなければならないのか?」
ここから、HYP=仮説検証技法が本格的に始まります。
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