縦? 横? どっちの【漫画】でSHOW
ちょっと目に止まった記事。
なんだろ……この記事を読んだ後に湧き上がる【強烈な違和感】は。
この記事を発信した佐渡島庸平さんと言えば、ご存知…『バガボンド』『ドラゴン桜』『働きマン』『宇宙兄弟』『モダンタイムス』といった人気作品を手掛けてきた超敏腕編集者。
出版社から独立し自らの会社を立ち上げ、最近では裏方としてだけでなくタレント(文化人)として表に出る機会も増えている人物だ。
職歴や学歴、ポートフォリオなどを比較すると、自分とは「天と地」「月とスッポン」な社会的地位ではあるが、漫画愛好家という立場からすれば「それはないんじゃない?」と物申したい。
「日本の漫画」は韓国・中国に惨敗?
だって?
俺にはそれが……
「葛飾北斎の浮世絵とか超ダセエ!NFTアートのが数百倍儲かるっしょ!」
「日本伝統の着物を着ろ? ユニクロの方が着心地いいし売れてるからそっち着るよね?」
と言っているように聞こえた。
確かに、日本は頑なに自国発の文化を守ろうとして世界から遅れをとった例がいくつかある。
「ガラケー」は最たるもので、NTTのi-modeなど独自のプラットフォームにこだわりすぎたがゆえ改革の波に乗れず、iPhone勢に大惨敗を喫した過去も。
自分も…【公】と仕事をしていた時、「国産事業を応援しよう!」という大号令の元で、提出する台本はアメリカ産のWordではなく日本産の一太郎でやり取りするという事態に巻き込まれたことがあった。
日本企業をバックアップしたい公官庁の気持ちも分からなくはないが、WinPCでしか使えないマニアックな一太郎を購入しインストールする手間といったら…。
普段はMacを使っているが、この仕事だけはWindows(Vista)パソコンを立ち上げなければならないという…実に【非効率】だと思ったのは否めない。
(近年、これにようやく気付いたのかWordがフォーマットになった)
そんな風に「世界基準にしなかったから日本は遅れをとった」とは言っても、ジャパニーズポップカルチャー(=日本独特の芸術文化)という観点で考えると、世界で読まれているフォーマットが縦読みだからと、日本の漫画をあえて縦読みにしていくのは個人的に遺憾…というか反対だ。
もちろん俺は漫画家ではないが「作品が売れなければ生活が出来ない」というのは、放送作家における「レギュラーが無ければ金に困る」というのと一緒なので、世界展開への気持ちは分かる。
安定収入が無いと生活不安に陥り、安心して”作品作り”に集中出来ない。
『GANTZ』を生み出した奥浩哉先生も…
7年前に終わって絶版になってるのにGANTZがまだ売れてくれてるおかげで、売りを考え過ぎず自由に漫画が描けている。有難うGANTZ。
— 奥 浩哉 (@hiroya_oku) December 15, 2020
『GANTZ』のおかげで自分が好きな作品を創作出来ているとつぶやいているし。
なので、日本だけではなく「世界で売れる」というのは【収入(売り上げ)】の面から考えると正しい戦略だよね。
1億人そこらへ普及するより、世界の何十億人に売れた方が生活の安定具合が半端じゃなくなるから。
あと、世界規模で展開する漫画のプラットフォームを握られてしまうと中韓に売上の何%かを献上しなくてはいけない、というジレンマも発生する。
ただ…編集者の「日本の漫画界の未来」への考え方はあれど、俺にしてみればあの縦スクロールの読み方がどうも性に合わない。
以前に縦スクロールだと知らずにレコメンドされた漫画を読んだことがある。
『シャーリー 私を守る君を、守りたいから。』という作品。
感想としては「悪くはない」だった。
むしろ「物語としてはわりと面白かった」かも。
異能者バトルが、アメリカドラマの『ダーク・エンジェル』を彷彿とさせて。
が…無料分を読み終えた後、何か物足りなかった覚えがあったし、お金を出してまで続きを読みたいとは思わなかったし、単行本(電子書籍)が出ても買おうという気にはなれない作品ではあった。
やっぱり「スマホ時代に片手スクロールで読みやすいから」という理由からじゃなく
「人間の目の動き方を考えたコマ割り」
「迫力のある見開き」
のがワクワクするし、「分業制で個人の負担が楽になる」とかじゃなく…
「好きな漫画家が、作品に対して込めた思想をゴリゴリに感じる物語(ストーリー)」
の日本式漫画が大好きだわ。
日本主流の横読み漫画は「雑誌・単行本の形式(=紙)での出版」が最終着地点なので、確かにスマホのアスペクト比では読みにくい。
でも、漫画好きは美術品コレクターみたいなところがあると思っていて、本の装丁だったり、並べた時の背表紙の”遊び”とか…そういうのが好きな人が多いと思うんだけどなぁ。
一方の佐渡島さんが推す縦スクロール漫画(=タテコミ)だが、これまでに
『六本木クラス』
『俺だけがレベルアップな件』
『女神降臨』
『チーズ・イン・ザ・トラップ』
『外見至上主義』
『偽装不倫』
『ReLIFE』
といった作品が売れている(らしい)。
確かに、『六本木クラス』は日本でも話題になったドラマ『梨泰院クラス(イテウォンクラス)』の元になった作品とだけあって「人気あるんだな」というのはデータや流行として実感できる。
この『ReLIFE』は…単行本のやつを読んだことがあるが、設定としては良かったものの何か絵とかがイマイチで手元に置きたい作品とは思わなかった。
あれの元が「タテコミ」だと知って、触手が動かなかった理由が分かった気がする。
全体的に、縦スクロール漫画って「サバサバ」してる気がしている。
文字を読めない読者のために、物語をわかりやすくかつ進めやすくするための絵でしかないから、『AKIRA』の大友克洋さんみたいに細かい線を書き込む必要も無い。
必要最低限の線しか描かれていないところに、流れ作業感を覚えるんだよね…。
漫画もそうだけど、YouTubeやテレビなどで延々と消費され続けるエンタメコンテンツ。
その人々の興味の移り変わりの早さについていくために分業制を取り、大量生産・大量消費を目的にし、100作品の中から1つでも当たればラッキーな感覚で次々とネットへと送り込まれる縦スクロールの漫画。
もちろん、良い面もあるとは思う。
大量生産のコンベアーの「ライン」に乗りやすいと思うので、デビューのハードルが低くなるからプロ漫画家デビューはしやすくなるし、上手くいけば『梨泰院クラス』のようにドラマ化されることだってある。
それをデジタルで創作するため、漫画家必携のソフト『CLIP STUDIO PAINT』でも、すでに縦スクロールのキャンパスに対応しているから、やろうと思えばいつでも始められる環境にはあるし。
が! 昭和ノスタルジーというか…手塚治虫先生や藤子不二雄先生をはじめ、日本が育ててきた漫画の文化ってある種の芸術に昇華していると思うので、経済の観点で韓国や中国に勝っただの負けただの言うのは…やっぱり違和感がありまくり。
漫画で飯を食っている人たちはどう考えているんだろうな…。
今度じっくり、酒でも飲みながら話してみたい気がする。
最後に…日本の漫画の海外評価について、ちょっと難しめの記事だけど「へぇ〜」というのがあったので、リンクを貼っておきます。
お時間ある方は読んでみてはどうでしょう。
ふぅ…乱文になってもーた。
