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編集者の毎日の仕事と、書籍編集の今 

編集者って毎日どんな仕事をしているの? と聞かれることがあります。

編集の仕事はデスクワークが多い?


「原稿を読んだりするんでしょ? デスクワークが多そう」と言われることが多いので、「いやいや、それだけじゃないんですよ」と答えます。

たとえば、昨日の仕事を振り返ると、
朝はメールの返信から始まり、午前中は社内会議
午後は編集部内での打ち合わせから、著者との打ち合わせで外出し、
帰ってきてデザイナーとの修正のやりとり。
営業との打ち合わせが合間合間に入り、
それらが落ち着いた夕方から、原稿と初校ゲラのチェック

実際、原稿を読むのは仕事の中の一部分(業務記録を見返すと、原稿やゲラチェックは2〜3割くらい)ですし、ずっと机に座っている日は稀です。著者さんやデザイナーさんとの打ち合わせや、取材や撮影で外に出ることの方が多いです。

私も、編集者になってみて驚きましたが、人と会って話すことが多い仕事なんです。

ある人からは「編集者って、ずっとパソコンに向き合って、本を作っている人って印象」と言われましたが、私の仕事は、どちらかというと、「本を作るために、様々な人(社内、社外含め)に仕事を依頼する」という感じです。

本のテーマや集まるスタッフによって、
全然やり方が違う


でも、毎日を何やっているかというと、やっぱり答えにくかったりします。その理由は、本のテーマごとに仕事の進め方が全然違ってくるからです。難しいことでもありますが、本づくりの面白さのひとつだと思っています。

毎回、新しい環境で仕事をするようなイメージです。
たとえば、昨年は麻雀の本と、サッカーの本と、手みやげの本、自己啓発書などを担当していましたが、麻雀の本をつくるときには雀荘で卓に座って打ち合わせを行い、サッカーの本ではグラウンドで撮影し、手みやげの本ではお菓子を撮影して、試食を行っていました。

それぞれ、関わる人も、本の内容も違います。
ほとんどの仕事が白紙の状態から、どういう本を作るのか決めるので、面と向かって打ち合わせをしたほうがよいと考えています。手探りのワクワク感を共有したり、スタッフの感じている不安を直に感じたいという理由もあります。

今、最も大事だと感じる
編集者の仕事

そして、最近、増えたし、大事だなと感じるのは、担当している書籍の内容や、魅力を伝えるという仕事です。

今は、完成間近となった本の制作過程を伝えています。

著者の原稿ができあがるまでにどれだけの苦労があったのか、著者だけではなく、デザイナーやイラストレーター、編集者など、本に関わる人たちのどんな気持ちで制作にかかわり、どんなページになったのか。
完成した紙面を読んだ人たちの反応が予想以上で、応援してくれる人たちが日に日に増えていること。

本の特徴も、もちろん伝えるのですが、これまでの制作過程をストーリーにして伝えるほうが、興味をもってもらいやすいと実感しています。聴いている人の目の色が違うというか。

書籍編集の「今」を伝える意味

実は、編集者が本の魅力を伝えたいのは、同じ出版社の営業だったりします。とにかく、自分が担当している本が「期待できる」「乗っている」と感じてほしい。興味をもって営業してほしい。

たとえば、営業部のフロアに行き、今日あった出来事を話します。憧れの著者と打ち合わせをしたらこんなことを言ってくれたとか、いただいた原稿がめちゃくちゃよかったとか。

「まだ、形が見えてない」「いつできるかわからない」「どれくらい売れるかわからない」そんな不確定要素もありますから、伝えたものが途中で変わることもある。でも、もう最近は気にならなくなりました。自分が面白いと感じたなら、書籍編集の今を伝えるようにしています。

すると、営業も編集部の自分の机に来てくれるようになります。「この本、このお店に、こんな提案したいんだけどできる?」と。

これまでは作って、書店さんに置いてもらえれば、本は売れました。
でも、今は簡単には置いてもらえないし、ただ作るだけでは自社の営業に火をつけることもできない

最近は、編集担当者が新刊を作りながら、発売前からSNSなどを駆使してAmazonの予約数を伸ばし、その予約数を元に、営業部が部数や売り方を考える時代になってきました。

編集者の仕事は、本づくりに関わる人たちの気持ちに火をつけること。その人たちが大きくしてくれた火を、編み上げて炎にすること。炎ができるまでのストーリーを、じわじわと伝えること

編集の仕事は「アイディアを形にする仕事」と言われることが多いですが、「その背景を伝える仕事」も大事になってきました。

出来上がった本が、読者の手に届き、また読者から広がっていくことを考えたら、ちょっとワクワクしませんか? 

就活を考える若い方から、出版業界ってなくならないの?と心配される世界ですが、私は少しでも編集って面白いと思ってもらいたいです。

それにはまず、良い本を作り、
そのストーリーをしっかり伝えたいと思います。

文 高橋ピクト
生活実用書の編集者。『コリと痛みの地図帳』『新しい腸の教科書』『みそ味じゃないみそレシピ』『お菓子の手みやげ帖』など健康書、スポーツや囲碁、麻雀、競馬、アウトドア、料理など、趣味実用書を担当することが多いです。
今回の記事は、弟の一言から生まれた記事です。自分の仕事と今を客観視できましたし、久しぶりにゆっくり話せて楽しかったです。感謝!

X @rytk84
X シュッパン前夜

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