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リニューアルした三省堂書店の神保町本店、行ってみた。

世界一クールな街、神保町のシンボル復活

昨年、英国の『タイムアウト』誌が選ぶ「世界で最もクールな街」に選ばれたことで話題になった神保町。そのシンボルとも言えた三省堂書店の本店が4年ぶりにリニューアルオープンしたので内覧会に行ってきました。

リニューアル前は神保町を訪れたら必ず立ち寄る書店でした。
サッカーの本は新旧さまざま、売れた本もあんまり売れてない本も揃えられていて、ここに行けばだいたい見つかりました。
三省堂書店本店とプロレスだけじゃなくサッカーにも熱い書泉グランデを回るのがサッカー狂お決まりのコースでしたね。

リニューアルしたお店は1階の解放感にまず驚きます。
「知の渓谷」と名付けられたらしいのですが、高低差があって、上からの眺めは圧巻です。

三省堂書店本店の1階。確かに渓谷っぽい。

人文系の書籍を中心とした2階は書棚が45度で振って配置され、他の棚も眺められるようになっていました。
「発見のさざ波」と命名されているそうです。

出会いのときめきを大切にした棚づくりが2階のコンセプト
次々と押し寄せる「発見のさざ波」は新たな本店名物に!?

「探求の洞窟」と呼ばれる新書コーナーでは、棚が壁面ではなくひだ状に配置され没入感を演出していました(写真がなくてすみません)。

3階は書棚が中央の平台から放射状に配置されていて「みちびきの渦」と名付けられているそうです。

「楽しく、ぐるぐる回る」が3階のコンセプト。回遊魚になった気分に。

4階はジャンプショップらしいのですが内覧会ではまだ見ることができませんでした。3階には喫茶もありました。

同じような売場レイアウトではなく、いろいろなコンセプトを感じさせる並べ方で飽きないですね。

平台が少ないですが、棚の本はいわゆる棚差しばかりにするのではなく、平で見せるよう工夫しているようです。

平台が少ない分、棚で表紙を見せる並べ方に。下にストックがないのも珍しい。
ドリブル解剖図鑑も!ありがとうございます。
選書企画ってみんな違う本になるから面白いですよね。企画コーナーもいくつかありました。
こんな企画も。楽しい神保町マップ。

神保町本店は「歩けば、世界がひろがる書店。」をコンセプトにしているようです。確かに神保町の入り口に立つ本店はまさに世界への入り口にふさわしいです。

19日(木)から本店はリニューアルオープン。イベントも続々開催されるようです。

神保町はなぜ心が落ち着くのか?

神保町と言えば本の街、カレーの街(カレーはボンディ派、うどんは丸香一択です)、喫茶の街ですが、特別、本好きじゃなくても神保町に行くと落ち着くという人が結構いるようです。

130ともいわれる書店が並び、出版社も多い。
都心のど真ん中にありながら、どこかゆったりした時間が流れているような気がします。
書店も古書店含め、個性があって、本屋に行けば必ず自分に向けて書かれた本が見つかります。

そんな多様性も居心地の良さかもしれません。

昨日、Media Innovation Conference 2026というイベントに登壇したKADOKAWAの菊地悟さんがとても面白いことを言っていました。

「『本を読めなくなった人たち』を読んで考える出版とマーケティング」(稲田豊史氏×菊地悟氏×鷹野凌氏)をお題にした鼎談で、これからどういう本づくりが求められるかという話になったときのことです。

菊地さんは出版業界のマーケティングスキルが低い弊害として「読者」と「消費者」を同じものとして語る人が多いことを指摘します。そして、今までベストセラーを狙う出版社は本を読まない「消費者」的な読者に本を売ろうとしてきた。これからは本を読まない「読者」的な人をターゲットにした本づくりが市場をシュリンク(縮小)させないためには求められるというような話をされていました(この辺の話は『本を読めなくなった人たち』に記載されているはずです)。

この話自体も大変興味深いのですが、私が面白いと思ったのはそのあとで、『本を読めなくなった人たち』著者の稲田さんが「じゃあ、これからの出版社はどこも本を読まない読者的な人に向けた本を作っていく?」と聞いたときの菊地さんの返答でした。

「いや、編集は多様性の宝庫で、編集者1人が年間5~8点ぐらいのコンテンツ(書籍)を生み出すなかで、会社がこれからはこっちに行くぞ、こういう本を作ろうと言ったところでそうはならない」(メモし忘れたので記憶の中での再現です。発言内容が違っていたらすみません)

これは出版社で管理職を務める菊地さんの実感のこもったコメントだと感じ、とても共感しました。周りを見渡しても、多少、会社の方針に寄せたり時流に合わせたりはするけれど、各々、許される範囲で自分の好きなジャンルの本を好きに作っている人が多いような気がします。好き=得意な分野であることが多いのもあると思います。

私が知っている限り、出版は「編集の独立」がある程度確保されていて、全体的に自由な本づくりが許されているように思います。

編集も多様性の宝庫、出版社も多様性の宝庫、書店も多様性の宝庫ということで、神保町が多様性の街に見えるのは必然でしょうか。

とはいえ、市場を開拓していかないと自由な本づくりも厳しくなるので、ちゃんと売れる本を作れるよう頑張らないといけません(遠い目)。

文/アワジマン
迷える書籍編集者。淡路島生まれ、淡路島育ち、漁師の奴はだいたい友達、漁師の船はだいたい同じ。陸(おか)サーファー歴25年のベテラン。先天性の五月病の完治を目指して逃病中。

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