【空想教室】アオイノイロ➂友情
第1章 名もなき色
第3話 影の語り部
アオイは、ほんのり青みがかったアオイのガラス玉を眺めていた。
シキのアトリエを後にしてから、だいぶ歩いてきたので、大きな木の陰で一休みをしていたのだ。
「ほんのり…青い…」
青は好きな色だ。名前も、ほら、アオイだし。
このままの色でいいような気がするけどなぁ。
『光と影の色を知る者』…それが次に会う人物だと、シキは言っていた。
光はともかく、影って。紺ならまだしも、黒に近い色になるのは悪魔になったみたいでイヤだな。と、ぼんやり考えていた。
「日が暮れる前に次の人物に会わなくっちゃ。」アオイは再び歩き始めた。
『光と影の色を知る者』……
アオイちゃんが次に会うべきは【影絵師】だ。
名前はレイ。気のいいヤツだから緊張しなくていい。
レイは、隣町の外れにある劇場にいるはずだ。
できるなら、日中に到着するといい。
一ステージくらいなら見学できるだろう。
シキはそう言っていたが、そもそも影絵師って、なに?
一ステージってどうゆうこと?
いろいろな疑問を抱えたまま、アオイは町外れの劇場の前に立った。
「考えても仕方ない。とりあえず中に入って様子を見てみよう。」
そうつぶやくと、アオイは吸い込まれるように劇場に入っていった。
劇場に足を踏み入れると、まさに今、薄暗い舞台の幕が上がろうとしていた。ゆっくり、少しずつ露わになっていくスクリーンの向こうに、一人の人物の影が浮かび上がる。
幕が上がり切ってほんの少しの間の後に、人物の影はゆらゆらと揺れ始める。そして次の瞬間、一瞬で空中を舞い始める。
思いがけない幻想的な世界観にアオイは息をのむ。
今、演じているのが影絵師のレイだ。彼の影はまるで、人間とは全く異なる生き物のように自在に変化し、物語を紡いでいく。
一つの幕が閉じたあと、アオイはしばらくその場を動けずにいた。
思いもよらず、あまりに幻想的なステージを見学し、感動していたのだ。
我に返ると、アオイは思い切って楽屋を訪ねてみた。
***
楽屋には、二人の青年がいた。
一人はアオイと同じくらいで、もう一人はもう少し年上に見える。
「あ、あの。。」
『え。ファンの人?ここは入ってきちゃダメだよ~』
年上のお兄さんに止められたアオイが、レイに会いに来たと言うと、アオイと同じくらいの青年が近寄ってくる。マジマジとかなり近い距離でアオイを観察した後、少しためらいがちに『オレ、全然覚えてないんだけど…知り合い?』と聞いてきた。
アオイはブンブンと首を横に振った。
アオイを引き留めていた年上のお兄さんがアオイの手を離す。
『手荒なことしてごめんねぇ。最近、レイのストーカーが多くて困ってたんだよ。オレはリュウ。レイのアシスタントをしてる。で?キミは誰?』
リュウに言われて、アオイは名乗っていないことを思いだす。
「あの、、わたし、アオイと言います。シキさんに教えてもらって。光と影の色を知る者と会うようにって。」
レイは『ああ、シキから聞いてきたのか。』と笑った。
『大切なファンの顔、忘れちゃったのかと思って焦った。』
アオイはレイのステージを見て感動したことを伝えた。
影があんなにも自在に操られるなんて想像したこともなかったから。
だって、影って太陽と反対側に、まっすぐに伸びる黒いヤツだもの。
その言葉を聞いたレイは、アオイを劇場の裏手へと連れ出した。
『影には影の色があるんだぜ』
「影の?色?まっ黒じゃないの?」
アオイは驚いて聞き返す。
「影なんて生(せい)の裏側でしかない存在じゃない。意思を持たず、色濃く黒々と生(せい)についてくるだけ。黒さゆえ、いろいろな迷いや不安を覆い隠して心を蝕んでいくんじゃないの?」
夕暮れの光が、建物の壁に長く伸びる影を作り出している。
レイは、アオイにその影を見せながら話す。
『影ができるのは、光があるから。でも、影だけしか見ていないと、そこにある色には気づけないんだ。』
アオイは自分の影を見つめた。迷いや不安を覆い隠すための影は漆黒に違いないと思っていた。しかし、その色は黒いけれど少し透明感があり、ほんのりと紫がかっているような気がした。
レイは微笑んで続ける。
『影はただの暗闇じゃない。そこにはたくさんの物語が生まれるんだ。』
アオイはハッとした。
今まで感じていた心の中の迷いや不安はただの闇じゃないのかも知れない。
「それなら…レイ、あなたの影は何色?」
そう尋ねると、レイは少し考えて、こう答えた。
『藤色…かな』
暖かく、そして寂し気なその色に、アオイの心は静かに震えた。
アオイは、レイと一晩中、光と影について語り合った。
アオイ自身、今までずっと感じていた迷いや不安を打ち明けた。そしてレイにも似たような気持ちがあることを知った。
人間は一人じゃ生きていけない。そりゃ、一人でいろいろ頑張らなきゃなんだけど…それでも心を支え合える相手が必要なんだ。時には光になり、影になり、お互いを照らし合えれば一緒に成長していけるんだよね。
アオイは、レイと話すうちにたくさんのことをレイから学んだ。レイもまた、アオイという存在に深い信頼を寄せはじめていた。
***
別れ際、レイははにかみながら言った。
『アオイ、、オレたち、ずっと友達だよな?』
その瞬間、アオイの顔がパッと笑顔になり、同時に再びポケットのガラス玉がおびただしい光を放った。二人は驚いてポケットを見る。光が落ちつくと、アオイがポケットから取り出したガラス玉は、元々のほんのり青に、ほんのり紫が混じっていた。友情の藤色がほのかに灯る。
アオイとレイは藤色に変わったガラス玉を見つめていた。レイはアオイに視線を移すと、
『いや。オレたち、ずっと親友だよな?』レイが言い直すと、アオイはニッコリ笑いながら「……うん!」と力強く頷いた。
遠くにいても思い合える親友。
わたしに親友ができるなんて!
アオイの心は喜びに震えていた。
こんにちは😊
ごきげんいかがですか?
第三話です。お届けします。
レイくん、わたしの脳内設定では
かなりのイケメンです。
アオイちゃんも結構な可愛い系なので
カップルでもいいくらいなんですが
恋愛要素は皆無で進めたかったので
恋愛を期待してるかたには
大変申し訳ない(^^ゞ
彼女たちは一生離れない
究極の関係性である
《親友》として結ばれました。
まぁ、遠く離れてますけどね。
楽しいですね。
楽しくないですか?
んー。
作者と読者との意見の相違
勃 発
なんつて。
本日も最後までお読みいただき
ありがとうございます💖
第四話でお会いできるといいですね😊
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