天使たち
はい。
夜の歌舞伎町には物語が溢れている……で、お馴染みの砂印です。
歌舞伎町のイメージっていろいろありますよね。
ゴジラタワーだったり、ホストだったり、なんか列んで立ってる人だったりw
単館系の映画館、ラーメン、ゲームセンター、外国人が多い、ぼったくり、トー横、喧嘩、ガールズバー、風俗……龍が如く、シティーハンター。
いっぱいある。新宿を舞台にした映画も大好きです。
『いぬやしき』『深夜食堂』『東京ゴッドファーザーズ』『ホムンクルス』『ミッドナイトスワン』『ミドリムシの夢』
今回は新宿・歌舞伎町を舞台にした映画『天使たち』の話です。
◆あらすじ
物語の主人公は、高校卒業後、実家を出るためにガールズバーで働きはじめた19歳の『なる』と、奨学金返済のため大学に通いながらガールズバーで働いてきた21歳の『マリア』。
『なる』は特別な存在になりたいと願い、『マリア』は普通の大学生になりたいと願う。
若さを売り、求められる姿を演じ続けることで、次第に自分が本当に望むことがわからなくなっていく日々。
上手く立ち回れている先輩との比較。
そんな中『なる』は歌舞伎町の路上であるホストと出会い、『マリア』は常連客からデートを持ちかけられる。
違う年齢だけど同じ場所で働く2人の視点で展開する物語……その先にある結末は如何に!?

◆クラファンで170名に支援
本作は短編映画『ファースト・ピアス』で初監督を務め西湘映画祭でグランプリを受賞した監督、木村ナイマ初長編作品。
23年12月にクラファンは終了しましたが、170名、200万を集めた企画。
水商売経験のある監督が「夜の街に生きる少女たち」の物語を作り上げるということも含めて注目されていました。
◆夜の街に生きる
『ガールズバー』を舞台に展開する物語は開幕から、じんわりと闇があり、本作ってハッピーエンドってあるのか?って思うほどダーク。
ネオンがこんなに輝いているのに、女子たちの笑顔もキラキラしてんのに、そこに漂うの確かな闇を確実に感じる映画。
当然ながら、主人公たちはまだ若く、ガールズバー以外の場所での姿を描くトコも忘れていない。
自宅での親とのやり取り、大学での友達がいない感じ。……どっちもシンドイ感じしか出てないのですが、この辺もダークな感じが漂う。
なんともリアルに感じる部分としては、ガールズバーという同じ職場で働く同僚との関係値が面白い。
別にプライベートを知るわけではないが、確かに先輩後輩や同僚みたいな仲間意識があり、カウンターを挟んで客と対峙する姿は、総力戦にも見える。だけど、その関係値は薄いというか不安定というか、そんな歪なものが作中から感じ取れる。
キラキラした世界のすぐ隣にある闇がある映画。
◆先輩の存在
売上が圧倒的な先輩『みあ』の存在が、分かりやすく2人の対比になってるのが良い。
『自分ではなく客が求める人間を演じる』というプロ的な言葉が、この虚構の世界を言語化しているようで体現している。
刹那的な瞬間に、夢、愛、お金、承認欲求、傷つきながらも前に進むが、その方法はそれぞれで、作中で最も上手くやってる姿に、やはり闇を感じた。

◆男は金を払う
本作の大切な要素としてガールズバーの刹那的な楽しさに溺れる男の姿も描かれている。どっぷり浸かる人や、自分の話をする人、ガチ恋勢、謎の仕事している人……それでも男たちは金を払うのだ。
そんな男たちに夢と癒しを与えている。
キャバクラと違い、比較的良心的な値段になりやすいらしいが……それでも、どっぷりと浸かる人もいるみたいだ。
ガールズバーの楽しみ方を聞くと……極端な話、店の全員と仲良くなるくらいの勢いが必要らしい。
それはそれでお金かかりそうだけど……。
まぁ、それでも男は金を払うわけだ。
◆ボロボロのホスト
初登場時、ボロボロの状態で登場するホスト『一ノ瀬京也』。
何があったのか、明確な事は作中では語られず、何となく想像はできますが……ロクでもねぇ男なわけです。
ただ、この男に『なる』は沼っていくんだわ。
絶対にアカン雰囲気なんですが、危険なとこに……ついつい惹かれちゃうのが闇の世界で、闇の魅力。
最後の最後まで、よろしくない方向になるのですが、賢者的になる京也は必見です——って言ったら怒られるか。
いや、でもあれは賢者です。
ロトの紋章なら合体魔法出します。
メゾラゴン出します!(出しませんけど)
◆常連客の悪意
『マリア』の常連客は典型的な仕事で来てる系のハラスメント男。
後輩のことをボロクソに言って、電話でも暴言ばかり。
だけど『マリア』には笑顔だし、紳士っぽいとこ見せます……でも、デートシーンでは共同トイレの居酒屋だし、センスがゴミカスであることが笑える。
最終的には『マリア』にもブチギレるんですが。
ちゃんとダサいので逆に素敵です。
◆好き嫌いの分かれ道
本作は『なる』『マリア』の視点でシナリオ展開するのですが、シーンの繋ぎが微妙に時間軸が異なり、ここを気にするとシナリオが入ってこない感じになる人が出てくるかと思います。
また、大きい部分だと『マリア』が前作の『ファースト・ピアス』という作品からの継続なので、彼女の設定がありきでの構成になっている、この要素を感じ取れるかどうかが、シナリオ理解にも影響が出るので、ある程度の予備知識が必要。
オチも好き嫌いはあると思う。
ここまでの闇が漂うが、自分の居場所を見つける系なので——これも想像したものとは異なるって感じる人が出てきそう。
◆最後に
本作は「夜の街に生きる少女たち」がリアルに描かれていて、その点は間違いない作品。
2人の主人公の芝居、目線、所作、どれも魅力的で映画を通して知らない世界を見られるのは素晴らしいです。
また、音楽の使い方が絶妙にカッコいい。
主題歌は「雑魚ドール」の「琲世ねんね」

