耳が2つある理由
今回は、耳はどうして2つあるのかという話。眼でもいいのだが。
耳はどうして2つある?バカバカしい問いだと思うだろうか。たしかに、そうかもしれない。知らなくても耳は2つあるのだし、知ったところで耳は3つになったりしない。
それでも気になった人は、続きをどうぞ。
生物のさまざまな特徴は、それぞれの進化の結果なのだが。大前提、進化とは何なのか。
遺伝子(物質ではない)
・生物の体の設計を決める
・そのための情報をもっている
・DNAでできている
核酸
・DNAやRNA
・ヌクレオチドが連結した化合物
DNA(物質)
・デオキシリボ核酸 (Deoxyribonucleic Acid)
・アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)、グアニン(G)の4種類の塩基物質の連なり
・アミノ酸を合成してタンパク質として生物の体を作るもの
文字と言葉で言い表すなら。AとPとLとEが並んで、Appleという意味のあるものになるように。
余談だが。
私の大好きな映画『Gattaca』(ガタカ)のタイトルは、GとAとTとCを並べたもの。
遺伝子の壁を努力で越えていく青年の、限界突破ストーリーだ。
作品内で重要な出来事に、男性2人が遠泳をしてその距離を競うというのがある。
第二の主人公である(また別の)男性は、訳あって自死を選ぶのだが。その時にも、「泳ぎを競う男性2人」というモチーフが登場する。元水泳選手だった彼が獲得したメダルだ。
メダルの色は銀だった。世界2位でも世間からガッカリされた人。そこは遺伝子操作が当たり前の世界で。その中でも、彼は最高傑作だった。1位をとって当然に生んでやったのにーーという理屈だ。
おそらくは長年悲しみの象徴だったものを、大事そうに胸に抱えながら、彼は逝った。
それでいい。まわりがどれだけ自分に失望しようが、自分で自分を誇りに思えるならいい。誰に迷惑をかけるでもなし。ほっとけ。
この作品は、ビジュアルもサウンドも日本人の感性にとてもマッチするものがあると思う。
話を続ける。
① デオキシリボ核酸(DNA)という物質は、自分のコピーも作る。たくさん作ると、たまに、エラーを起こす。
② エラー = 物質の違いは、情報の違い = 違う情報をもつ遺伝子を作り出す。
③ 遺伝子は、生物の設計を決めるのだから、全く同じ存在ではないものが生まれていく。
変化を進化と呼んでいい。
生物がコピーを作るためには(エラーがコピーではないものも作るが)、「活動」をする必要がある。
エネルギーを得たり、安全な場所を探したりする必要がある。
それらの活動をするのに、より効率のよい存在とそうではない存在が出てくる。前述したように、みんなが同じ存在ではないから。
ある遺伝子をもつ個体は、よりうまく空を飛ぶことができ、生き残る。またある遺伝子をもつ個体は、よりうまく水の中を泳ぐことができ、生き残る。

彼ら彼女らは、飛べないのではなく泳げるのだ。

これは、「自然淘汰理論」(ダーウィンのグランド・セオリー)の遺伝子着目バージョンだ。
ここで耳の話。
なぜ耳は2つあるのか。耳だけではない。目も手足も2つだ。1つしかない鼻にも穴が2つある。
答えは、私たちの体が左右対称にできているから。
左右対称とは、とてつもなく長く流行っているトレンドのようなものなのである。
左右対称性の流行はいつからあるのか。
化石で確認できる最初の動物はペンディア紀(約6億2000万年前~5億5000万年前)の動物で、これがすでに左右対称のつくりをもっていた。
ありとあらゆる生物でいつもコピーされ、まれに変化した「左右対称でないもの」は淘汰され。残り続けてきたこの特徴。左右対称は、生きるのに大変よいものなのだろう。

左右対称性は何に利用されるのか。
拍子ぬけするほどシンプルだが。動物の「動き」に使うのだ。
エネルギーを得るために、食べる必要がある。
↓
食べるためには、今いる位置から違う位置へ(いつかは絶対に)行く必要がある。
↓
進む方向は一方向にまとめた方が効率がよい。
↓
進行方向が前となる。残った方向が後ろとなる。
↓
口は、進行方向(前と呼ぶ)にあると良かろう。目や耳のような周囲の情報をとり入れる器官も、進行方向(前)にあると良かろう。
↓
こうして体に前後が生まれた。
↓
前後の体軸を中心に、左右も生まれた。
↓
左右には対称の形がとられた。※筋肉の収縮などしやすいため。
全てが、動くのに効率よくあるためなのだ。
ちなみに。筋肉を収縮するためにセンターに棒が要り。そうしてできたのが脊椎である。

2つあること(対であること)は、多くの生物にとって、とても大切なことなのである。
道具がそろっているだけでは、ダメなのだけれどね。学習していけばよい。やる気さえあれば。
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参考文献 (Works Cited)
George Christopher Williams. “The Pony Fish's Glow: And Other Clues to Plan and Purpose in Nature.” 1997.
Simon Conway Morris. “The Cambrian "Explosion" of Metazoans.” 2003.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasj/58/3/58_KJ00001457888/_article/-char/ja/
