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国家なき決済革命ーー みずほ・楽天・PayPayも参加する149社連合の全貌

世界的な決済網の再編が、大規模に進もうとしています。VISAやマスターカードのような競合企業同士が手を組み、共通のステーブルコインを支持する取り組みが動き出しました。参加企業の顔ぶれを見ると、単なる実験ではなく、既存の国際決済インフラを置き換える意図がうかがえます。

あまり大きな関心を呼んでいないようで、現時点でYahoo!ニュースのコメントもゼロですが、参加企業の規模と組み合わせを見ると、決済の主導権が国家から民間企業へと移りつつある構造転換が進行していることが分かります。

本記事では、この共同プロジェクトの実態と、企業が主導する新しい決済システムの構築についてみていきたいと思います。

私たちが普段使っている、PayPayなどが、ステーブルコインに対応する時代が近づいているようです。

第1章 共同ステーブルコイン「Open USD」の合意と参入企業

VISAやマスターカードを含む149社が、共通のステーブルコイン「Open USD」を支持することで合意しました。

競合関係にある企業の異例の提携

VISAとマスターカードは、クレジットカード決済市場で長年シェアを争ってきた競合関係にありますが、今回のステーブルコイン支持の合意では共通の枠組みの中で協力することになりました。通常であれば激しく競合する企業群が、利害を一致させて共同のインフラを推進する形となっています。

さらに、Google、世界最大の資産運用会社であるブラックロック、暗号資産取引所のコインベース、決済サービスのストライプといった主要企業も同時に参入しており、従来の競争関係を超えてデジタル通貨の分野で足並みを揃えています。

参加企業が目指す決済インフラの共有

これほど多くの有力企業が短期間で合意した理由は、デジタル通貨を用いた決済インフラの標準化が急速に進んでいるためです。各企業は個別にデジタル通貨を開発するリスクを避けるため、共通の規格を採用する道を選びました。

この共同ステーブルコインは「Open USD(OUSD)」と命名され、新設の独立企業Open Standardが受け皿となって運営します。6月30日時点で支援企業は149社に上り、

決済・フィンテック系企業36社
銀行・金融系企業58社
テックプラットフォーム系企業11社
暗号資産・インフラ系企業44社

という内訳になっています。
日本企業ではPayPayみずほフィナンシャルグループ三井住友フィナンシャルグループ楽天グループが参加しています。

錚々たる顔ぶれ

従来の決済手数料モデルからの脱却

従来の国際決済や送金では複数の仲介銀行を経由するため、高い手数料と数日間の処理時間が必要でしたが、OUSDを利用した決済システムではブロックチェーン技術によって仲介者を排除した即時決済が実現します。

これにより参入企業は自社の決済コストを大幅に削減し、顧客により安価なサービスを提供できるようになります。企業がこのプロジェクトに注力している背景には、従来の決済モデルを維持するよりデジタル通貨へ移行するほうが有利だという計算があります。


第2章 既存のステーブルコイン市場における利益構造

テザー社やサークル社といった既存の発行体は、顧客の預入資産から得られる金利収入を独占してきました。

既存の主要発行体による市場独占

米ドルと連動する暗号資産であるステーブルコインの市場は、現在テザー社(USDT)とサークル社(USDC)の2社が大部分のシェアを占めています。両社はユーザーから預かった米ドルと同額のデジタルドルを発行する事業を展開しています。

ユーザーが日常的な取引や暗号資産の売買にこれらのデジタルドルを使用することで、市場規模は数千億ドルにまで拡大しましたが、この仕組みは特定の数社に資金と利益が集中する構造を生み出していました。
※テザー社については、こちらのnoteに書きましたので、ぜひご参照ください。

米国債の金利収入を原資とするビジネスモデル

テザー社やサークル社は、ユーザーがステーブルコインを購入する際に支払った米ドルを準備資産として保有していますが、それを現金のまま保管しているわけではなくその資金で米国債などを購入し、そこから発生する利息収入を自社の利益として受け取っています。

現在の高金利環境では、この金利収入は年間数十億ドルに達し、発行体の主要な収益源となっています。ユーザーはデジタルドルの発行体から直接利息を受け取ることはありません。コインベースのように発行体と収益分配契約を結ぶ取引所は、その分配の一部を独自のリワードとしてユーザーに還元していますが、これは発行体が利用者に直接支払う利息ではなく、取引所の裁量による上乗せです。

BybitやBinanceなどが提供する高利回りの預入商品は、発行体の準備資産の利息とは無関係で、預けたステーブルコインを他の利用者への貸付や取引所自身の運用に回すことで生まれる利息が原資になっています。
私も利息を受け取っていました。

149社の連合による利益分配型の新組織

参入した149社は、特定の企業だけが利益を独占する構造を変えるために動き出しました。OUSDの仕組みでは、いかなる規模の取引であっても発行や償還に手数料を課さず、準備資産から得られる収入のほぼ全額が発行体ではなく流通を担う企業に還元される設計になっています。

運営についても、最初に動いた企業が主導権を握るのではなく、参加企業による集団的なガバナンスに委ねられており、特定の企業に依存しない共同インフラへの転換によって、参加企業全体が運用益を享受できる体制が確立されました。


第3章 サークル社が直面した限界とOpen USDの立ち位置

サークル社は規制を重視する市場で先行者としての好機を生かせず、オフショアの巨大なドル化市場でテザー社に有効に対抗できませんでした。

既存の二大発行体が参加リストに含まれていない事実

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