X Money発、新型金融危機の脅威——SNSの情報拡散が、そのまま取り付け騒ぎになる時代

金融システムの安全性は、情報が伝わる速さと資金が動く速さの「差」によって守られてきました。情報が先に広がっても、資金の移動には手続きと時間がかかるため、その間に規制当局や中央銀行が対応する余地が生まれていました。
Xが展開するX Moneyは、この時間差をなくす設計を持っています。情報を発信する場と資金を移動させる場が同一のアプリ内に統合されることで、金融システムがこれまで前提としてきた安全弁が働かなくなる可能性があります。以下では、2023年のシリコンバレー銀行破綻とX Moneyの仕組みを比較しながら、この変化の中身を具体的に見ていきます。

第1章 シリコンバレー銀行破綻に見る情報拡散のデータ
2023年3月の預金流出データ
2023年3月9日、アメリカのシリコンバレー銀行では、1日のうちに420億ドルに達する預金の引き出し請求が集中しました。この資金移動によって同行の現金残高は、一営業日の終了時点でマイナス9億5800万ドルへ転落しました。翌3月10日、規制当局であるカリフォルニア州金融保護革新局が同行に業務停止措置を執りました。
店頭に利用者が押し寄せる従来型の取り付け騒ぎとは異なり、顧客はスマートフォンの金融アプリを使って他行の口座へ即座に送金を完了させました。
翌日にはさらに540億ドルの引き出しが予定されていたため、シリコンバレー銀行は自力での資金繰りを継続できなくなりました。

SNSを通じた情報伝達と資金移動の相関
この事象は、SNS上の評判拡散が直接の引き金となった最初の銀行流動性危機として位置づけられています。学術機関のデータ分析によると、X上で同行への懸念を示す投稿が増加した時期と、実際の預金流出が速まった時期には明確な相関が見られました。特定のベンチャーキャピタルや投資家グループがリスク情報を共有した結果、多数の預金者が同じ時間帯に資金を引き揚げました。
2023年のシリコンバレー銀行破綻では、情報の拡散速度に対して資金決済の手続きが別のシステムを経由していたため、一定の時間差が存在しました。
情報層と決済層が分離していた構造
当時、Xが担っていた役割はリスク情報の共有と意見交換の場に限られていました。預金者が資産を移すには、別の金融機関が提供する決済アプリを起動し、既存の銀行間送金ネットワークを経由する必要がありました。情報を得るプラットフォームと資金を動かすプラットフォームが分かれていたため、送金の実行までに一定の操作手順が挟まれていました。

第2章 X Moneyの金利設定と事業構造
X Moneyの金融機能と利用条件
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