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✕「粉」争〇紛争

更新日:2025/12/20

 小論文・作文指導者の〆野が普段の添削・採点指導からよく見かける、中高生の間違えやすい表記を紹介し、世の中高生・受験生に警鐘を鳴らすのが、このシリーズ【間違えやすい表記】。

 作文や小論文で扱われるテーマ(主題)や話題は、今の世相や世界情勢を反映したものが多いです。そういう意味で言うと、今の世界情勢は各所で争いごとが多くあるため、今回の熟語は今後作文や小論文で書く機会が増えると言えるかもしれません。

 本日は「紛争(フンソウ)」です。これを「『粉』争」とする間違えが、中高生の作文や小論文・志望理由書などで多く見受けられます。この熟語について、本日は確認していきます。

ふんそう【紛争】(名・自サ)もつれたあらそい。ごたごた。

三省堂国語辞典 第七版

 この「紛(フン)」は、訓読みで「まぎ‐れる・まぎ‐らす・まぎ‐らわす・まぎ‐らわしい」などと読み、意味は「1 ごたごたと入り乱れる。物事がもつれる。2 入りまじってわからなくなる。」などとなります(デジタル大辞泉より)。ですから、「紛争」は「状況が入り乱れた争いごと」のことを言います。「内紛(ナイフン)」や「紛糾(フンキュウ)」の「紛」も1と同じ意味です。「紛失(フンシツ)」は「まぎれてなくなること」なので、2の意味になりますね。

 対して、「粉」は、訓読みで「こ・こな」と読み、意味は「1 物を細かく砕いたもの。こな。2 砕いてこなごなにする。3 おしろい。」などとなります(デジタル大辞泉より)。したがって、「粉」争というと全く意味が通らなくなります。

 この「紛」も「粉」も共に形声文字であり、へんが意味(形)、つくりが音(声)をあらわします。つくりの分(フン)によって「紛」も「粉」も共に音読みは「フン」と読みます。紛が「糸へん」なのは「もと糸の乱れること(普及版 字通より)」を言うため、「糸がもつれる」ことから、「糸へん」であると言います。ここから「入り乱れる」や「もつれる」という意味になります。一方、粉には前述の通り「おしろい」という意味があり、そのおしろいは「古くは米粉を用い(普及版 字通より)」たと言います。このことから「米へん」が使われています。そして「おしろいのこな」からやがて「こな全般」や「こなごなになる(する)」という意味になったわけです。

 このように、「紛争」の「フン」は「入り乱れる・もつれる」の意味の「紛」です。似たかたちの漢字は間違えがちですが、ことばの意味と漢字の意味を突き合わせれば間違えることはないでしょう。

 なお、「フンソウ」には同音異義語に「扮装(フンソウ」)」があります。これは「紛争」とはまた別で、「ある人物の服装や姿になること」つまり「仮装や変装」のことです。「コスプレ」と言ってもいいかもしれません。この扮装することは「扮する」とも言います。ちなみに、こちらの「扮」は常用漢字外。意味も訓読みも「よそお-う、かざ-る」で、部首は「手へん」です。こちらは「紛」とも「粉」とも異なる字なので、注意しましょう。

(検索と引用では以下のサイトと文献にお世話になりました)

三省堂国語辞典 第七版


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