ポータルサイト「さんぽう進学ネット」の新機能「志望校マッチングAI・ミチカル」を作文・小論文指導者が使ってみた!【使用レポート】
更新日:2026/07/02
新サービスの「AIによる『志望校選び』」、その使用感とは?
先に言っておきますが、私はこちらのサービスを普及させるための「回し者」ではありません(笑)。こちらのサービス提供のリリースを報じる記事を見て、ちょっと興味を持ったので使ってみたよというお話です。実際使ってみての感想をこの記事ではまとめていきます。日ごろ高校生の志望理由書を添削指導している私〆野が、こちらのサービスを実際に使った感じをレポートします。全国の高校生や大学受験生の参考になれば幸いです。
(私はこういう者です)
(「ポータルサイト『さんぽう進学ネット』、新機能『志望校マッチングAI・ミチカル』を搭載」リリース記事)
遅かれ早かれ、こういうAIサービスが出てくるとは思っていました。しかし、既存のAIで「大学受験に際した志望校決め」をやるとなるといくつかの懸念点があったため、ダイレクトにチャットgptなどに聞くというのは少し危険だなと思っていました。一つはハルシネーションです。以前「生成AIに志望理由書を作らせる」という実験をやってみたわけですが、その際に「たしかに同じ志望学部のことに関する記述ではあるが全く違う大学の情報を引っ張ってきて志望理由書を作る」というのをAIがしてきました。こうしたハルシネーション(誤情報生成)への懸念がありました。
(生成AIに志望理由書を作らせた模様はこちらで少しお話ししています)
もう一つは「個人情報の流出」に対する懸念です。AIにチャットで相談するということはそこに書いた内容や情報がAIに再学習された後にネット上に流出することを意味します。そのため、大人ならある程度それを意識し注意して書き込んだりチャットをしたりしますが、高校生が使うとなるとそうした「個人情報の流出」を意識せずに無防備に書き込んでしまう可能性があると考えました。
こうした懸念点について、上掲のリリース記事ではこのように説明しています。
「文科省が策定した「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン」に準拠した安全なシステム設計で、回答の根拠を特定のデータベースに限定する「RAG」(検索拡張生成)技術で、不適切な回答やAI特有の「もっともらしい嘘」(ハルシネーション:誤情報生成)を最小限に抑制。」
「生徒が入力した対話内容は、AI(LLM)の再学習に利用されない「ゼロデータ保持」(Zero Data Retention)環境で処理。開発ベンダーを通じて、OpenAI社との間で利用データを学習に利用しない契約が締結されたAPI基盤を採用しており、生徒の個人的な相談内容が高い機密性を持って保護される、安全なAI相談環境。」
つまり、そうした懸念点に対する配慮をしっかりと行っていると上の記事では報じています。
たしかに、それらの点においては一先ず安心しました。しかし、「実際使えるサービスなのかどうか」が気になりました。そこで、今回実際に活用してみました。以下でそのレポートをまとめていきます。
「志望校マッチングAI・ミチカル」使用レポート
まず、使用に当たりざっくりと「このサービスを使用する受験生」のキャラクターを想定してみました。今回は、その「設定」に基づいてこちらのサービスを使っていきます。
①公立高校に通う3年生で男性。
②東京郊外在住。今住んでいるところは気に入っている。将来も今住んでいるところで生活したいと思うくらいには地域愛がある。
③得意なことはスポーツで、サッカー部在籍。でも、サッカーは正直そんなにうまくない。
④サッカーのプロ選手になる気はない(なれるとは思っていない)が、これからもサッカーには何らかのかたちでかかわっていきたい(サッカーは好きだから)
⑤将来目標はほとんど決まっていないが、大学への進学を希望している。
これは、私が今まで多くの高校生の志望理由書を見てきた中から想定しうる「最大公約数的な高校生像」です。志望理由書を書く前の高校生ということで考えるとおおよそこんな感じの子が多いと思われます。「好きなことは何か」と聞かれれば今好きなことを話す程度には自分をわかっていますが、それが将来にどうつながっていくかの具体的な想定はできていません。また「地元好き」で何となく「大学に進学したい」ということだけは希望としてあります。あと、東京と言っても都心から離れているので将来は地元の活性化に貢献したいとは考えています(地元が好きだから)。しかし、どのようなかたちで貢献したいのかまでは具体的に考えていません。……私が志望理由書を見ていて「よく見かける高校生」です。……まあ、こういう子でないとこのサービスを使いませんよね。早々に自分のやりたいことや学びたいことを確定させて志望先を具体的に決めている「意識が高い」子なら、こういったサービスは必要ないでしょうから(笑)。ともかく、このキャラクター設定でこのAIサービスを使ってみます。では、ポータルサイトの「さんぽう進学ネット」にアクセスし、左下にある「志望校マッチングAI・ミチカル」をクリックします。
こんにちは ミチカルです
進学先探しのお手伝いをします
聞きたいことを入力するか、
下のボタンから選んでね
◎ミチカル(β版)は学校データを学習中です。不正確な回答をすることがあります。公式情報も併せて確認してください。また。各学校の入試内容は学習していません。
◎AIの回答のみに頼らず、そこから自分で考えたり、相談しながら、希望進路を実現しよう!
クリックするとまずこういったメッセージと共にメニューがボタンとして示されています。AIが不正確な回答をすることもあるため公式情報を確認することやAIの回答のみに頼らずに進路を決めることを前もって促しているのはよいですね!そして、その下には以下のメニューがボタンとして表示されています。
学びたいことから学校を探す
将来の目標や職業から学校を探す
あまり決まっていない
ミチカルと相談する
ミチカルって
ここは「あまり決まっていない」をクリックしましょう。将来のことをまだほとんど考えていないという設定だからです。
分かりました!一緒に考えよ?
以下のメニューから選んでみてください
好きなことからAI相談
得意なことからAI相談
簡易適性検査を受けてみる
「一緒に考えよ?」、やさしいなぁ(笑)。しかし、おっとここは迷いますね。スポーツは「得意」でサッカーは「好き」……という設定ですが……とりあえず「得意」のボタンを押してみますかね。でも、将来進路が「あまり決まっていない」ところから、このAIサービスがまずその子の興味や関心の対象を糸口にして将来進路を考えさせようとしているということがこのメニューのラインナップからわかります。そして、おそらくそうした好きなことや得意なこともわからないという子のために「簡易適性検査」を用意しているのでしょう。
あなたの得意なことを教えて
勉強でも、勉強以外でも。ちょっとでも自信があることでいいよ
こう聞かれました。ここから入力が必要になりますね。「ちょっとでも自信があることでいい」とのことなのでそのお言葉に甘えて、こう入力しました。
「運動が得意です。サッカーが得意です。」
するとこういう返答が……。
サッカー得意なの最高!その強みを活かせる進路、いくつか方向があるよ
(後略)
……との返答と共にずらっと「志望先候補」が並びました(長いので省略)。プロを目指すならここがいいよとか、トレーナーとかになるならここがいいよとか、多くの専門学校や大学の名前が並びました。たぶん、この子ならここで少したじろぐと思うんですよね、「いやープロ目指せるほどじゃないんだよなー。ずっと補欠だしなー。」って。ちょっとこの「志望先候補」のラインナップは違うんだよなってなるはずです(笑)。そこで、こう入力しました。
「プロになれるほどの技術はないけど、サッカーで地域を盛り上げたい。」
こう入力したのは最初にあったのが「プロを目指すならここ」という某専門学校だからでした。この子は「そんなつもりはない」ので「プロは目指していないよ」とまず書き込みました。でも、「サッカーは好き」だからなんかそれを活かして地域で今後も生活していきたいなくらいの将来像はあるのでその旨を書き込みました。すると……
その想い、とても素敵です!地域を盛り上げるなら、指導・運営・企画で関わる道が合いそうだよ。
(中略)
気になる方向があれば、学校名リンクから詳細チェックして、資料請求やオープンキャンパス申込みも進めてみてね。どの地域で活動したいか(地元/首都圏/関西など)も教えてくれたら、さらに絞って提案するよ
こういう返答がきました。「それは素敵」と褒めつつも「地域を盛り上げるなら、指導・運営・企画で関わる道が合いそうだよ。」とアドバイスをしてくれました。これで大分将来像の具体性が高まりましたね。「あーそういう道もあるのか」とこの子なら思うでしょう。サッカーをプレイするだけが選択肢じゃないよな……って気づくはずです。なお、実際こうした運動部系の子でこの気づきを最初に得られない子はある程度います。それは、今まで部活動でサッカーにプレイヤーでしかかかわっていないからです。
さて、ここでもずらっと「志望先候補」が並びました(長いので省略しています)が……。あれ?専門学校がすごく多いなと、ここで気づきます。この子なら「オレ。大学行きたいんだよな……」ってここで思うはずです。あと、「新潟県の専門学校を薦められてもなー……」とも思うでしょう。本人は東京都下在住なのでね(笑)。で、できれば地元から離れたくないと考えています。「どの地域で活動したいか(地元/首都圏/関西など)も教えてくれたら、さらに絞って提案するよ」と言っていますので、こう入力しました。
「東京の国立に住んでいるので近くの大学がいいです。」
適当に東京の国立市在住にしました。もうちょっと多摩地域の奥の方がよかったかな(笑)。まあいいや(笑)。さらに「大学がいい」と付け加えました。すると……。
国立市なら通学しやすい都内・近郊で、サッカーで地域を盛り上げる学びに近い候補を共有しますね
・地域スポーツ×指導・企画で幅広く学ぶ
駿河台大学 スポーツ科学部 スポーツ科学科(私立大学|埼玉県飯能市阿須|最寄り:元加治)
「スポーツと地域・社会」コースなどで地域スポーツ実習やイベント運営を経験。教員免許や健康運動系資格も目指せます。入試難度:緩やか
・教員・コーチ志向で実技と理論を強化
日本大学 文理学部 体育学科(私立大学|東京都世田谷区桜上水|最寄り:下高井戸)
保健体育教員や地域クラブ指導者を目指しやすいカリキュラム。サッカー関連の研究や資格も。入試難度:やや高~高い
・スポーツ×健康×まちづくりの視点を磨く
法政大学 スポーツ健康学部 スポーツ健康学科(私立大学|東京都町田市相原町|最寄り:めじろ台)
スポーツビジネスやコーチング、健康づくりを横断。地域と連携した実習が豊富。入試難度:高い~最高
まずは通学時間の上限(例:片道60分/90分)や、教員免許・イベント運営・コーチングなど優先したい軸を教えてください。希望に合わせてさらに絞り込みます!資料請求やオープンキャンパスは各学校名リンクから進めてみてね
こういう返答がきました。うーんなるほど。ぐっと将来像と志望先候補がしぼりこまれてきましたね。そして、その上で、国立市に近い(国立から通える)大学を志望先候補として挙げてきました。ラインナップとしてはいいんじゃないでしょうか。また「ここの大学ではこういうことが学べますよ」というようにおおまかではありますがその大学の学びの内容がわかるのがいいですよね。さらに指導者や地域イベント運営、スポーツビジネスなどある程度「幅を持って」将来像を複数想定しているのがいいですね。この子が保健体育教員や地域クラブ指導者などの「教える仕事」に就きたいと思うかどうかはこの子次第ですが、この子の「好き」や「得意」を考えると、「可能性」としてこうした将来進路を考えることができますしこの出力された内容としてはおかしいものではありません。
ただ私が進路指導をするなら、この志望先候補のラインナップに加えて他の将来進路として「自身のスポーツ経験を活かしてスポーツ用品メーカーへ就職する道」として経済・経営学部系を薦めたり、あるいは「地域の経済をスポーツで活性化させる道として」として最近増えてきた地域創成学部系を薦めたりしますが……。でも、それはこの子が「スポーツにかかわる仕事」をしたいのか「地域の社会や経済の活性化にかかわる仕事」をしたいのかどちらに軸足を置くかにもよりますから、この子の今の段階で考えているであろう「将来像」としては「ここまで」ですかね。あとは「周りの大人と相談してみたり自分でもう一度考えてみたりする」ことが必要になってくるでしょう。
「ありがとう。ちょっとこの中から考えてみます。」
この子ならここでこう入力して終わるでしょう。なお、このあとこう返答がありました。
こちらこそ、見てくれてありがとう!ゆっくり考えて大丈夫ですよ
もし志望理由書を書く時期になったら、次のポイントだけ意識してみてください。
・自分の経験から何を学び、どう成長したかを具体的に書く
・学びたい内容(学部・分野)を具体化し、学校の特徴と結びつける
・オープンキャンパスで聞いた話や体験も根拠として盛り込む
・将来、地域でどう役立ちたいかまでつなげて書く
気になる学校が固まったら、オープンキャンパス検索から申込みもできるよ。実際に行くと志望動機が一気に書きやすくなるよ
他にも迷ったら、通学時間の上限や重視したい学び(教員免許、スポーツ企画、コーチングなど)を教えてね。一緒に絞り込もう!
ワンポイントアドバイスがうれしいですね。志望理由書を書くポイントを、簡潔ではありますが提示してくれました。また、「他にも迷ったら、通学時間の上限や重視したい学び(教員免許、スポーツ企画、コーチングなど)を教えてね。一緒に絞り込もう!」というように、他にも志望先候補の選択肢を絞り込む余地があることを示してくれています。
「志望校マッチングAI・ミチカル」を使用してみた感想
なかなかよくできたAIシステムだと思います。さすがは、進路・受験指導にかかわる情報を長年にわたって学校や生徒に提供しているさんぽうさんのシステムですね。出力される情報も適切ですし、「親身になっていっしょに進路を考える姿勢」で生徒に寄り添ってくれるところもよいですね。
ここまでのことを一人の指導者(先生)が一人の生徒につきっきりで指導するには、実際はなかなか手間と時間がかかります。また、ご家庭で親御さんがここまで自分の子に進路指導を行うというのも難しいものがあるでしょう。これをうまく使えば教育現場やご家庭の負担が大分減るのではないかと思いました。
また、「生徒個人が自分の将来進路を考えるツール」としてもよいシステムだと思います。生徒が一人でネットや各種の大学情報誌などを複数参照してここまで将来像を具体化するのはかなり時間がかかるはずですし、生徒によっては今回のシステムで出したところまで自力で到達できないこともあるでしょう。そうした「志望理由書を書く前の自学自習ツール」としてもよいと思います。
これから志望理由書を作成する予定のある高校生や大学受験生は、是非利用してみてくださいね。
(この「志望校マッチングAI・ミチカル」は、下の「さんぽう進学ネット」にアクセスして無料で利用することができます)
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