年内入試のみならず大学入試全体で面接試験が求められる状況で高まる「面接試験対策の必要性」【大学受験】
更新日:2026/06/23
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「年内入試の面接必須化」からわかること
(文科省、学校推薦型選抜など「年内入試」の面接必須化へ…学力試験中心の合否判定に歯止め)
「大学入試の実施ルールを検討する文部科学省の実務者協議会が、入学の前年秋から始まる「年内入試」で面接を必須とする方針を固めたことがわかった。」
これは、年内入試(総合型・推薦型選抜)の著しい学力偏重化に対して文科省が俵の際で押し返したかたちであり、一読すると「入学志願者の能力・適性や学習に対する意欲、目的意識等を総合的に評価・判定する入試方法」といった本来の想定していた総合型選抜のあり方に回帰する流れのように見えます。しかし、結論から言うと、これによってこの学力評価の重要性の高まりがすぐに収まりその流れが変わるものだとは、私には思えません。
(以前からお話ししているように、年内入試は近年学力評価を重視するものになっています。)
それにはいくつかの理由があるのですが、最も本質にかかわる理由は、「2026年度(令和8年度)大学入学者選抜実施要項」で、前年度(25年度)まであった「入学志願者の能力・適性や学習に対する意欲、目的意識等を総合的に評価・判定する入試方法」という総合型選抜の定義に関する記述を削除し、代わりに「詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接等を組み合わせた入試方法」と再定義したことです。たしかに書類審査や面接を行うとありますが、それらは何を評価するためのどういう目的のためのものかが不明確です。そのため、それまでに想定されていた総合型選抜の意義がなくなり「かたちだけのもの」になってしまっています。意地悪な見方をすれば「面接をする」とはありますが、その面接で「入学志願者の能力・適性や学習に対する意欲、目的意識等を総合的に評価・判定する」かどうかは保証の限りではないのです。
(2026年度(令和8年度)大学入学者選抜実施要項 ※該当箇所は4ページ)
選抜実施要項においてこのような記述になった理由、それは上の読売新聞の記事にもあるように、「文科省は昨年、書類審査に加え、小論文や面接など複数の評価方法を組み合わせることを条件に、学力試験実施の容認に転じた」ことにあると推測されます。つまり、これは「年内入試での学力試験実施を容認しますから、書類審査や小論文・面接も合わせて行ってくださいよ」という、文科省と大学の間でのいわば「取引」なのです。別の言い方をすれば、「いっしょに書類審査や小論文・面接をやりさえすれば、年内入試での学力試験は認めます」ということです。したがって、今回の面接必須化は学力試験重視の流れを大きく変えるものとは言えません。今回の面接必須化は、前年度(2025年度)の東洋大学の総合型選抜のように「面接試験をやらない」などのルール違反をした大学に対して警告しただけのことです。「それでは取引した条件や約束と違う。面接試験もしっかりやれ」という文科省からの警告メッセージです。記事の見出しには「学力試験中心の合否判定に歯止め」とありますが、学力試験の配点を書類審査や面接などのそれよりも高めるなどして、「年内入試の学力重視の流れ」や「年内入試が、学力試験で合否判断する一般選抜の事実上の前倒しとなること」は今後も続いていくと予想されます。
とはいえ、このような状況において、面接試験を課されることが機会として多くなるということは受験生とその保護者はしっかり認識しておく必要があります。特に総合型・推薦型選抜での受験を考えている人は「今後の入試対策において面接試験対策は不可欠である」という意識でいた方がよいようです。なお、「これまで面接を課さない年内入試を行ってきた大学に限り2年間の猶予を設け、2028年度実施の入試からの適用とする」とのこと。今年度(2026年度)の入試で全ての大学の年内入試で面接が必須化されるわけではないということに注意が必要です。
「一般選抜で面接導入」の動きも
しかしこれとは別に、「基本学力による合否判定を行う」一般選抜にも面接試験を導入しようという流れももう一方にはあります。筑波大学では一般選抜において、2028年度入試からは多くの学類で、2次試験(1次の共通テストの後にある試験)の科目試験を論述試験に改め、面接・口述試験を課すことにしたと言います。
(筑波大学に聞いた:28年度入試から一般選抜で面接 「正解より、考え方を見たい」)
実は、上記の「学力試験重視の年内入試」を行うという問題があるのは、どちらというと偏差値で言うと中位から下位の大学です。どの大学でも学力的に高いレベルの生徒は大歓迎なのですが、中位から下位の大学はとりわけそうした成績上位層の生徒をなかなか獲得できません。当然のことですが、成績上位層の生徒はほとんどが上位の大学を目指すからです。加えて深刻な少子化の波により大学受験者の母数はどんどん減っています。そこで「成績優秀者を早い段階で確保する」というのがほとんどの中位から下位の大学の至上命題となってきています(上位の大学は放っておいても生徒が集まってきます……)。そうした経緯から「学力試験重視の年内入試」が設けられたのです。これが「なるべく早い時期に合格を決めて大学受験の大変さから解放されたい」といった普遍的にある大学受験者の心理とうまくマッチしました。そのため、2025年度入試において、東洋大学は年内に学力テストを行う「学校推薦入試 基礎学力テスト型」を実施することで約2万人の志願者を集めることができたわけです。こうした「学力試験重視の年内入試」は、この少子化の中で、中位から下位の大学側からすれば、時間と手間をかけず(面接試験は一人ひとり対応するため手間も時間もかかりますが、ペーパーテストだけならそうした手間もありません)に多くの収入を確保すること(試験料も大事な収入源です)と成績優秀な生徒を早く確保できることを可能にするものでした。
しかし、上位の大学は成績優秀な生徒を確保するという点だけで言えば、中位から下位の大学に比べてそんなに難しいことではありません。ただし、上位の大学にとって、「基礎学力が十分に備わっていること」は必要条件ではありますが十分条件ではありません。ただの勉強の成績がいい「受験エリート」なら、掃いて捨てるほど受験生の中には多くいるからです。ですから、学力での選抜は共通テストや科目試験で十分にできるから、次にかける「ふるい」として「その生徒の主体性を見る試験が必要」となるのです。そうしたことで、筑波大学は一般選抜でも面接試験を課すという決定をしたのだと思われます。
「これまでの筆記試験では基礎学力を問うことはできましたが、学びへの姿勢や態度を確かめることは難しいと感じていました。持てる学力や知識をどのように活用できるか、どうやって独自の表現ができるか。それらを見極め、能力を多面的に判断するには、一人ひとりと話をすることが一番だと考えました。」
現に、筑波大学の竹中佳彦教育担当副学長は、上の朝日新聞の記事の中でこのように言っています。「基礎学力を問うことはできている」以上、受験生の学びの姿勢や態度、またはそれ以外の能力を問いたいということなのでしょう。また、こうした流れは他の上位の大学にも波及する可能性はあります。
おそらく、文科省が総合型選抜を設けた当初の意図もこのようなものだったはずです。しかし、中位から下位の大学ではこれが年内入試でうまくその意図通りにならず、また少子化もあいまって、「基礎学力を十分に備えた生徒」がしっかりとした数集まらなかったのかもしれません。そのため、中位から下位の大学では「基礎学力を問うことが必要だ」となり「学力テスト型の年内入試」が誕生したとも言えるかと思います。
「学力を見たい年内入試」と「主体性も見たい一般選抜」~改めて必要とされる面接試験の必要性~
「学力を見たい年内入試」に「面接の必須化」が課される一方で、「主体性も見たい」と考えて「面接試験を課す一般選抜」。こうした両方のトピックで共通して言えることは、「面接試験の必要性」です。違った状況の違った立場での判断ですが、文科省も一部の上位大学も選抜において面接試験が必要であるという結論に立ったと言えます。ここから、これからの大学入試では、大学のレベルの上下関係なく、面接試験が課されることが多くなる、という予想ができます。
そしてこうした予想の下、多くの大学受験生にとって「面接試験の対策が必要になってくる」のは言うまでもありません。もちろん、受ける大学や選抜方式によってその重要度は違ってくるとは思います。また、医学部や歯学部・看護学部などの医系学部の入試などはこうした近年の動向と関係なく今までと変わらず面接・小論文の対策は欠かせません。しかし、現在、中学生や高校1・2年生のみなさんはこうした認識を持って、来る大学受験に備えていった方がよいでしょう。くしくも、「年内入試の面接必須化」も「筑波大学の一般選抜での面接試験導入」も(主に)2028年度以降の動きなので、2年後の大学入試の流れとして理解しておくとよいです。
〈引用資料〉
読売新聞オンライン
朝日新聞Thinkキャンパス
(こういう面接対策本は、一冊は持っておくといいです)
(大学受験での面接試験対策関連の拙記事は、こちらのマガジンに収録しています。ご興味がありましたらお読みください。)
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