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推薦系選抜(学校推薦型選抜・総合型選抜)での評定平均値についての適切な考え方とは?【高1・2生対象】

更新日:2026/07/17

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(〆野の自己紹介はこちらから見られます。)


「評定平均値」についての正しい理解を持とう

 大学受験の推薦系選抜では、ほとんどの場合において、出願条件の一つとして「基準とする評定平均値を超えていること」が提示されます。この「評定平均値」についての正しい理解を促すのが本日の記事の内容です。

 私は学習塾運営会社にいたとき、「推薦・AO入試担当」としてその会社が運営する多くの校舎を回り生徒指導をしていた経験があります。もちろんこうした経験が今の小論文や志望理由書の添削指導の仕事につながっているわけですが、このときによく生徒から寄せられた質問として「評定平均値は高ければ高い方が受験に有利なのか」という質問でした。これに対して、私は「低いより高い方がいいに越したことはないが、逆に言えばその程度のものであって、他の受験生より高いから受かるというものではない」と返していました。これは20年以上前の話になりますが、今もこれは変わっていないと思います。

 現に、下の記事の評定平均値に対する記述内容は、私が当時から考えていたこととほぼ変わっていません。これに関しては、指定校制推薦・公募制推薦が学校推薦型選抜に、AO入試が総合型入試に変わった令和の時代も変わっていないと感じています。

(ダイヤモンドオンラインの杉浦由美子氏の記事)

 「評定平均値が高ければ受かるというわけではない」ということは、推薦型選抜について論理的に考えればわかることです。もし仮に、「評定平均値が高い方が受かる」のであれば、「小論文試験」や「面接試験」を課す必要などないからです。評定平均値の高さで合格が決まるというのなら、極論、他の試験を課さず評定平均値のみで合否を決めればいいとなります。でも、そうはなっていません。ということは、評定平均値は合否を決定する一要素には違いないが、それだけで合否が決まるというものではないということがわかるはずです。

 推薦系選抜を受ける際には、「評定平均値」に対して「正しい理解」を持つことが必要です。

「評定平均値」は「基礎学力の有無の証明」ではあるが、過大な評価は禁物

 そもそも「評定平均値」とは何かというところからお話ししましょう。

 「全体の評定平均値」と言った場合は、「高1から高3の出願するまでの間に履修していた全科目の評定(5段階)を平均したもの」を指します。また、たとえば「英語は評定平均値4.3以上」といった場合は、「高1から高3の出願するまでの間に履修していた英語の評定を平均したもの」を指します。出願条件として提示される場合は、「全体として」の場合と「教科別として」の場合と2タイプあります。

 高3の成績は基本1学期までのものです。というのは、多くの推薦系選抜の出願期日は高3の2学期中ですから、まだこのとき2学期の成績は出ていませんし、また3学期はそもそも到来していません。したがって、推薦系選抜での「評定平均値」の都合を考えた場合には、学校での勉強は「高3の1学期までが勝負」と言えます。ただし、現実的には多くの推薦型選抜受験者は「来年の1月以降の一般選抜にも備える必要がある」ため、「1学期まで勉強をしてその後勉強しなくていい」ということではありません(推薦がダメだった場合は当然一般での勝負となるため、「推薦のための勉強」と「一般のための勉強」は並行して進める必要があります)。

 評定は定期考査(定期試験)の得点で主に決まりますが、普段の授業に向かう姿勢や生活態度も反映されます。したがって、現実的な話をすると「先生との仲が悪かったり、先生から悪印象を持たれていたりする」と評定値に影響します。と言っても、先生に過剰にこびへつらう必要はありません。日々の学習や取り組みに対して、真摯に積極的に、かつ主体的に取り組んでいれば全く問題はありません。新学習指導要領によると、高校での成績をつける観点は、「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」となっています。ですから、これを意識して日頃の学習に取り組めば問題ないでしょう。

 大学側が、調査書の提出を出願時に求めるのは、「その受験生の『高校での生活や学習』も評価や合否判定の対象としたい」という考えによります。そのうち、評定平均値(調査書にある評定値)は「その受験生の基礎学力の有無を評価するもの」として見られます。

 評定平均値が合否にどれだけ影響するかについて言うと、「学校推薦型選抜(指定校制)>学校推薦型選抜(公募制)>総合型選抜」と言えます。一般選抜では全く影響しません(100%ペーパーテスト勝負)。指定校制推薦は、大学側がその高校に「指定校推薦枠」を設けている時点で、「その生徒を高校が優秀な生徒として推薦してくる」ことに対して大学側が信頼しているわけであり(信頼していなかったら指定校枠は取り消されます)、「その生徒に対する高校の成績評価」を大学が信頼しているため、他の選抜よりも「評定平均値の合否に対する影響力は強い」と言えます。ただし、これは「相対的に強い」ということであり、前述した通り「これだけで合否が決まる」というわけではありません(これだけで決まるなら他の試験を課す意味がありません)。したがって、評定平均値に過大な評価をしてはいけません。

 ここまでが評定平均値に対する一般的な説明です。出願条件として、たとえば「全体の評定平均値が4.2以上」と入試要項にあった場合、当然それをクリアしていなければ出願はできません。ですから、推薦系選抜での受験を考える人は学校での日々の勉強に勤しむ必要があります。しかし、「評定平均値が高ければ高い程合格に近づく」というのは幻想です。自分の評定平均値がいくら高くても、小論文や面接、その他課される別の試験の内容によって、他の生徒に「逆転」されてしまうことは十分に考えられます。これについては、別の例を用いて、次でより「深掘り」します。

偏差値48の高校の評定値「4.9」vs偏差値63の高校の評定値「4.2」

 これもよく質問されるのですが、たとえば「偏差値48の高校の評定値『4.9』と偏差値63の高校の評定値『4.2』ではどちらが合格するのか」というような疑問を投げかける人がいます。しかし、これは質問内容自体適切ではありません。

 先ほどからも言っているように、他の試験の成績評価も合否にかかわるため、これをもって「こっちが合格」とは言えません。あえて、答えるならば「どちらが合格してもおかしくはない」と言えます。前述の通り、評定平均値だけで合否が決まるわけではないからです。

 なお、「大学が高校のレベル差を考慮しているか」という質問に対しては、「ある程度考慮している」と言えます。選抜にかかわる教員や大学職員は「その高校がどの程度のレベルか」ということは大体わかっています(だからこそ選抜にかかわっています)。特に全国的に有名な進学校は大体把握しているはずです。したがって、評定平均値がどちらが高いかを単純に見るということはまずしていません。ですから、中堅校の評定平均値が高い子が落ちて、トップレベルの進学校の評定平均値が基準ギリギリの子が受かるという事例は往々にしてあります。しかし、この事例をもって、これは「トップの進学校出身だから受かった」とは断言できません。むしろ、この場合は「総合的に見てその子の評価が高かった」から受かったと考えるべきでしょう。

 また、難関大の推薦系選抜では、評定平均値で大きな差がつくということはほとんどありません。なぜなら、難関大受験には全国の高校のトップレベルの受験生が集中するからです。そのため、評定平均値だけの話で言えば、規定が「4.2以上」となっていても「4.5以上」の子が集まっているのが実際の状況であり、「評定平均値による大きな差が生まれる」状況がないのです。ですから、先の質問のような状況自体実際にありえない、とも言えます。

まとめ ~規定の評定平均値を超えているというのは「受験資格がある」程度の意味~

 このように、「評定平均値の高さ自体で合否が決まるものではないが、出願要件として『規定の評定平均値を超えること』が求められている限り、その規定以上の評定平均値は必要である」というのが、評定平均値に対する正しい理解です。ですから、高校の勉強を頑張るのはもちろん大切ですが、「評定平均値を上げる」だけで合格できるというわけではありません。

 先ほど、評定平均値についての考え方は昔も今も変わっていないと言いましたが、変わっているところがなくはありません。それは「大学の評定平均値に対する信頼度」です。昔に比べ、今の大学は「評定平均値の高さ=基礎学力の充実度」とは考えていないところがあります。そのため、多くの大学が推薦型選抜で「個別の基礎学力試験」を課して(あるいは検討して)います。つまり、昔ほど「高校の成績評価=評定平均値」を大学側が鵜呑みにしていないのです。これは、「今までの推薦系選抜に対する大学側の反省」によるものです。これまでも、しばしば「推薦で入ってきた生徒は一般で入ってきた生徒に比べて学力面で劣る」という指摘がなされてきました。そしてこれは、文科省も大学側も問題として認識しています。そのため、文科省も大学側に「推薦で受験する生徒に基礎学力が備わっているかどうか、大学側は適切に審査するべきだ」と通達しています。

 こうした背景も加味して考えると「規定の評定平均値を超えているというのは『出願や受験のエントリー資格がある』程度の意味」として考えるのが適切と言えるでしょう。

(記事内で挙げたダイヤモンドオンラインの記事を書いた杉浦由美子氏の著書。ジャーナリストの方だけあって、多くの取材に裏打ちされた圧倒的な情報量です。私も購入しました。)


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