毎朝の入金確認を自動化した話
朝一番に、入金予定や入金遅れの案件を確認する。
経理、営業管理、管理部門では、こうした確認作業が日常的に発生します。
ただ、毎日同じようにシステムを開き、データを出力し、Excelを更新し、対象案件を確認して、関係者へ共有する作業は、意外と時間を取られます。
今回作ったのは、入金予定リストを自動で作成し、毎朝メールで配信する仕組みです。
社内システムからデータを出力し、ExcelのPower Queryで当月入金予定や入金遅れ案件を整理し、HTMLメールとPDFを作成してOutlookで送信するところまでを自動化しました。
使ったものは、主に次の4つです。
社内システムから出力したCSV/Excelデータ
Excel / Power Query
Power Automate Desktop
Outlook
この記事では、具体的な社内情報は伏せながら、「人が見に行く確認」から「必要な情報が朝届く仕組み」へ変えた考え方を紹介します。
もともとの課題
入金確認は、単に数字を見るだけの作業ではありません。
たとえば、次のような確認が必要になります。
当日入金予定の案件は何か
当月入金予定の案件はどれくらいあるか
入金予定日を過ぎている案件はないか
契約金額と入金予定額に差異はないか
担当者や関係部署へ共有すべき案件はどれか
これらを確認するために、毎回システムを開いて、必要なデータを出力し、Excelで加工し、対象案件を抽出する流れになっていました。
作業自体は難しくありません。
しかし、毎日発生するとなると、次のような負担があります。
データ出力に時間がかかる
Excelの更新漏れが起こる
確認する人によって見る観点が変わる
メール作成に手間がかかる
朝の動き出しが遅れる
特に大きいのは、「確認してから動く」状態になっていたことです。
朝になってからデータを取りに行き、一覧を作り、内容を確認して、そこから関係者が動き始める。
この流れだと、確認作業そのものが朝のスタートを遅らせてしまいます。
目指した状態
目指したのは、次の状態です。
朝、担当者がメールを開く
↓
当日入金予定と入金遅れ案件が一覧で届いている
↓
必要な案件をクリックして社内システムで確認できる
↓
朝から対応・確認・連絡に入れるつまり、「人が見に行く」のではなく、「必要な情報が届く」状態です。
この違いは、単なる工数削減以上に大きいです。
データを探す時間を減らすだけでなく、朝の業務開始時点で、すでに見るべき案件が整理されているからです。
確認作業を自動化することで、人は精査の後の判断や対応から始められます。
全体の流れ
今回の仕組みは、大きく分けると次の流れです。
1. 社内システムからデータを出力
2. 指定フォルダーへファイルを移動
3. ExcelのPower Queryを更新
4. 当月入金予定・入金遅れ案件を作成
5. HTMLメール本文を生成
6. PDFを出力
7. Outlookで関係者へ送信
8. Power Automate Desktopで深夜に自動実行ポイントは、Excelだけで完結させていないことです。
データ整理はExcelとPower Query、実行の自動化はPower Automate Desktop、配信はOutlookというように、役割を分けています。
1. 社内システムから必要なデータを出力する
最初に必要なのは、社内の施工管理システムからのデータ出力です。
今回使うデータは、大きく2種類あります。
案件情報・契約金額のデータ
入金状況・入金予定のデータ案件情報側には、案件番号、顧客名、担当者、契約金額などが含まれます。
入金状況側には、入金予定日、入金予定額、入金済額、入金状態などが含まれます。
この2つを組み合わせることで、「どの案件で、いつ、いくら入金予定があり、現在どういう状態か」を確認できます。
データ出力後は、Power Queryが参照する特定のフォルダーへファイルを移動します。
ここで大事なのは、ファイルの保存場所と名前のルールを決めておくことです。
Power Queryは、決められた場所にあるファイルを参照して更新するため、ファイル名や列名が大きく変わるとエラーになります。
2. Power Queryで入金予定リストを作る
次に、Excel側でPower Queryを組みます。
Power Queryでは、出力されたデータを読み込み、必要な列を整えます。
たとえば、次のような処理を行います。
不要な列を削除する
案件番号をキーにデータを結合する
日付や金額の形式を整える
当月入金予定だけに絞る
入金予定日を過ぎた案件を抽出する
担当者や拠点など、確認に必要な項目を付与する
作成するリストは、主に2種類です。
当月入金予定リスト
入金遅れ案件リスト当月入金予定リストでは、今月予定されている入金を一覧化します。
入金遅れ案件リストでは、入金予定日を過ぎているのに未入金、または確認が必要な案件を抽出します。
この2つを分けることで、「今月の予定を見る」と「すぐ確認すべき遅れを見る」を切り分けられます。
3. Excelで確認しやすい表に整える
Power Queryで整えたデータは、Excel上で確認用の表として出力します。
ここで意識したのは、メールで見ても分かる形にすることです。
たとえば、メール本文に載せる表では、次のような項目に絞ります。
入金予定日
案件番号
案件名
担当者
入金予定額
入金状況
確認リンクExcel上では多くの項目を持っていても、メールに載せる情報は多すぎない方が見やすくなります。
朝のメールで大事なのは、すべての情報を詰め込むことではありません。
「今日見るべき案件がどれか」がすぐ分かることです。
詳細確認が必要な場合は、社内システムの該当案件へ移動できるリンクを付けます。
4. HTMLメールで一覧を配信する
今回のメールは、OutlookでHTML形式として送信します。
理由は、表形式で見やすくしたかったことと、案件ごとのリンクを付けたかったからです。
テキストメールでも送信はできますが、一覧表として読むにはHTMLの方が向いています。
イメージとしては、次のような表をメール本文に埋め込みます。
<table>
<tr>
<th>入金予定日</th>
<th>案件番号</th>
<th>担当者</th>
<th>入金予定額</th>
<th>状態</th>
<th>確認</th>
</tr>
<tr>
<td>2026/06/30</td>
<td>12345</td>
<td>山田</td>
<td>1,000,000</td>
<td>確認要</td>
<td><a href="システムURL">開く</a></td>
</tr>
</table>実際には、案件名や顧客情報などの扱いには注意が必要です。
メール本文にどこまで情報を載せるかは、社内ルールや情報管理の方針に合わせて決めます。
個人情報や機密情報が含まれる場合は、メール本文には最小限の情報だけ載せ、詳細は社内システムへのリンクで確認する方が安全です。
5. PDFも出力する
メール本文だけでなく、必要に応じてPDFも出力します。
PDFにしておくと、次のような使い方ができます。
一覧を添付資料として残せる
関係者が同じ表示形式で確認できる
会議や朝礼で共有しやすい
後から送信時点の状態を確認しやすい
ExcelのシートをそのままPDF出力する場合は、印刷範囲やページ設定を整えておく必要があります。
自動化する前に、手動でPDF出力したときに見やすいレイアウトになっているか確認しておくと、後の運用が安定します。
6. Power Automate Desktopで一連の流れを自動化する
最後に、ここまでの流れをPower Automate Desktopでつなぎます。
自動化する処理は、次のような流れです。
社内システムを開く
↓
必要なデータをダウンロードする
↓
指定フォルダーへ移動する
↓
Excelファイルを開く
↓
Power Queryを更新する
↓
PDFを出力する
↓
HTMLメール本文を作成する
↓
Outlookでメールを送信するこれを深夜に実行することで、前日締めのデータをもとにした入金予定メールを、翌朝には確認できる状態にします。
人が朝一番にやるのは、データを取りに行くことではありません。
届いた一覧を見て、確認や対応を始めることです。
精査までは自動化し、実行から人が始める
この仕組みで大きかったのは、単に作業時間が減ったことだけではありません。
業務の始まり方が変わったことです。
以前は、朝にデータを確認し、対象案件を探し、一覧を作ってから動き出していました。
自動化後は、朝の時点で確認対象が整理されています。
つまり、人は「探す」「集める」「整える」からではなく、「判断する」「確認する」「連絡する」から始められます。
ここが、業務改善として大きいポイントです。
Before:人がデータを見に行く
After :必要な情報が人に届く同じ入金確認でも、この違いで朝のスピード感が変わります。
作るときに注意したこと
このような自動配信の仕組みを作るときは、便利さだけでなく安全性も考える必要があります。
特に注意したいのは、次の点です。
データの出力元が正しいか
更新日時が分かるようになっているか
メール送信先が正しいか
送信前に異常値を検知できるか
リンク先が社内権限で保護されているか
個人情報や機密情報をメール本文に載せすぎていないか
自動実行が失敗したときに気づけるか
自動化は、うまく動いているときはとても便利です。
一方で、間違ったデータを自動で配信してしまうと、影響も大きくなります。
そのため、最初から完全自動で送るのではなく、まずは手動実行やテスト配信で確認することが大切です。
いきなり全自動にしない
このような仕組みは、段階的に作る方が安全です。
おすすめは、次の順番です。
1. Excelで入金予定リストを作る
2. Power Queryで更新できるようにする
3. HTMLメール本文を作る
4. 手動でOutlook送信して確認する
5. Power Automate Desktopで一部を自動化する
6. 深夜実行にする
7. 失敗時の通知や確認方法を整える最初から全部を自動化しようとすると、どこでエラーが起きているか分かりにくくなります。
まずは、Excel更新だけ、PDF出力だけ、メール作成だけ、というように分けて確認すると安定します。
この仕組みが向いている業務
今回の考え方は、入金確認以外にも使えます。
たとえば、次のような業務です。
未対応案件の一覧配信
当日訪問予定の配信
請求予定リストの配信
入金遅れ・対応遅れのアラート
契約更新期限の通知
毎朝の営業管理レポート
共通しているのは、「誰かが毎回見に行っている一覧」があることです。
もし毎日・毎週、同じ条件で一覧を確認しているなら、その作業は自動配信にできる可能性があります。
まとめ
今回は、入金予定リストを自動配信する仕組みを紹介しました。
流れは、次のとおりです。
社内システムから案件情報と入金予定データを出力する
Power Queryで当月入金予定と入金遅れ案件を整理する
Excelで確認用リストを作る
HTMLメールとPDFを作成する
Outlookで関係者へ配信する
Power Automate Desktopで深夜に自動実行する
この仕組みのポイントは、単なる時短ではありません。
「確認してから動く」状態を、「届いた情報を見てすぐ動く」状態に変えたことです。
精査までは自動化し、人は実行から始める。
この考え方は、経理や営業管理だけでなく、多くの管理業務に応用できます。
Excel・Power Query・Power Automate Desktop・Outlookを組み合わせた、小さな業務改善の事例や方法を発信しています。
たとえば、
毎朝確認しているリストを自動配信したい
Excel更新からメール送信までを自動化したい
入金予定や未対応案件を見える化したい
今の確認作業をどこまで自動化できるか整理したい
こういった内容であれば、現在の作業手順やファイル構成をもとに整理できます。
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