A30_「引っ張らなきゃ」が、リーダー最初の誤解です
リーダーになると、なぜか前に出たくなります。
でも、それが最初の誤解です。
リーダーシップを特別に学んだことはない。
でも春から、チームを任されることになった。
そんな人に向けて書いています。
なぜ誤解が生まれるのか。
それは、リーダーシップについて学ぶ機会がないまま、役割だけが渡されるからです。
「リーダーってこういうものだろう」という空気感で仕事に入っていく。
その正体は、社会のいたるところにある「引っ張るリーダー像」です。
それが、最初の誤解の入口になっています。
誤解①
リーダーは前に出て、チームを引っ張るものだ
リーダーになった瞬間、多くの人がこう感じます。
「自分がチームを引っ張らなければいけない」
旗を立てて、先頭を歩いて、みんなをついてこさせる。
そんなイメージを、誰に教わったわけでもなく、自然に持っている。
映画やドラマに出てくるリーダーは、だいたいそうです。
力強い言葉でメンバーを動かし、難局を乗り越えていく。
かっこいいシーンです。でも、日常のチームとは少し違う。
リアルなチームで起きているのは、もっと地味なことです。
予定通りに進まない仕事がある
コミュニケーションがうまくいかない場面がある
誰かの業務が詰まっていて、全体が止まりかけている
こういうときに求められるのは、前に出て引っ張ることではありません。
その状態を見つけて、静かに整えることです。
リーダーの仕事は「自分の強みを活かすこと」ではない。
「チームとして何が足りていないか」を見て、そこに入ることです。
たとえば、営業が得意なメンバーが入ってきたら、リーダーがそこを担う必要はなくなります。
次は数字の管理が弱いなら、そこに入る。
採用や育成が後回しになっているなら、そこに入る。
リーダーは常に「チームの中で浮いているところ」を探して、そこに入っていく存在です。
「自分が何をするか」より先に「チームに何が足りないか」を考える。
この順番を変えるだけで、リーダーとしての動き方はまったく変わってきます。
前に出る必要はありません。
整えることが、リーダーの仕事です。
誤解②
役割を渡したら、自分の仕事は終わりだ
「整える」ことをしていないリーダーの現場は、こんな状態になっています。
担当を決めて、渡して、あとは待つ。
締め切りになって、「なんで終わっていないの?」となる。
学校の現場を見ていると、この構図がとくによく見えます。
各チームにはリーダーがいて、メンバーに仕事を割り振ります。
年度のはじめに担当を決めて、役割を渡す。
一見、組織として正しく動いているように見えます。
でも問題は、その後です。
割り当てた後、リーダーの目はどこに向いているか。
「あの人、ちゃんとやれているかな」
「締め切りまでに終わるかな」
この視点は、すべて「メンバーがやりきるかどうか」だけを見ています。
つまり、仕事の完成をメンバー個人に委ねている状態です。
もし締め切りまでに仕事が終わらなかったとき、多くのリーダーはこう思います。
「なんでこの人は終わらせられなかったのか」
でも本来、そこで問われるべきは別のことです。
任された人が業務を完遂できなかったとき、それはリーダーのサポートが足りなかったということです。
やり方が伝わっていなかったかもしれない
途中で詰まっているのに、気づけなかったかもしれない
そもそも、その仕事の量や難易度がその人に合っていなかったかもしれない
仕事を渡した時点で、リーダーの仕事が終わったわけではありません。
渡した仕事が完成するまでの責任は、リーダーが持ち続けます。
「任せた」と「丸投げした」は、まったく別のことです。
任せるとは、完遂できる状態をつくることまで含む。
進捗を確認する
詰まっている場所を一緒に考える
メンバーにできないことは自分がやる
渡した後こそ、リーダーの仕事が始まります。
誤解③
リーダーはチームを動かす、格好いい存在だ
「リーダー=決断する人」
「リーダー=チームを鼓舞する人」
そういうイメージも、正直、半分は誤解です。
本当のリーダーが日常的にやっていることは、地味です。
取りこぼしを、黙って拾う
誰もやりたがらない仕事を、率先してやる
トラブルが起きたとき、自分が引き受ける
「縁の下の力持ち」という言葉がありますが、これがリーダーの実態に一番近い。
会議の後に議事録が宙に浮いていたら書く。
締め切り直前に仕事が詰まっていたら、一緒に入る。
メンバー同士の摩擦が起きていたら、静かに間に入る。
格好いい場面はほとんどありません。
でも、こういう動きをするリーダーがいるチームは、じわじわと強くなります。
逆に、こういう動きをしないリーダーがいるチームはどうなるか。
取りこぼしが誰にも拾われず、放置される
嫌な仕事は、全員が避けるようになる
トラブルが起きたとき、誰も引き受けようとしない
チームの空気は、リーダーの動き方でつくられます。
派手な采配より、静かなサポート。
目立つ決断より、地味な穴埋め。
チームが「なんとなくうまく回っている」状態をつくるのが、リーダーの仕事です。
誰も気づかないところで動いているリーダーほど、チームは安定しています。
格好悪くていい。
目立たなくていい。
縁の下にいることが、チームへの最大の貢献です。
最後に、少し厳しいことを書きます。
部下は、上司の悪い部分にそろっていきます。
リーダーが約束を守らなければ、チームも守らなくなる
リーダーが責任を他人に押しつければ、チームも同じことをする
リーダーが地味な仕事を避ければ、チームも避けるようになる
意図的に真似るのではありません。
空気として伝わるのです。
リーダーの行動は、気づかないうちにチームの基準になっていく。
だからこそ、リーダーの責任は重い。
格好いいリーダーになる必要はありません。
ただ、自分の行動がチームに映ることを、忘れないでほしいと思います。
引っ張るリーダーより、整えるリーダーの方が、チームは静かに強くなる。
人生の限りある時間を大切に。シンパクト和 でした。
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