G24_共通テスト数学は「読む力」で9割決まる——現場でわかった“伸びる生徒の秘密”
「問題を解く力が点数に結びつかない」——。
そんな場面が、この数年で目立ってきました。
理由はシンプルで、読んで整理する力が不足しているからです。
しかもこの “読解の壁” は、ただ問題演習を増やすだけでは越えられません。
私はここ数年、3年生の共通テスト数学を指導してきましたが、
伸びる生徒と伸びない生徒の差は、最初の3分で決まることが分かってきました。
では、何をどう教えれば “読める生徒” になるのか?
この記事では、現場で成果が出た 「再演型×読解型の授業デザイン」 を公開します。
共通テスト数学では、読む力の比重が大きく増しています。
教科書で身につけた「知識・技能」と「思考力・判断力・表現力」を、どう文章問題の解釈と解法へ使えるか。その使い方の巧拙が、得点を左右します。
2021年の共通テスト開始から、2023年、2025年の3年生の指導を経験し、いま2026年受験生を指導中です。強く感じるのは、昔のように「二次力をつけてマーク慣れ」では通用しないということ。
共通テスト数学は、読んで変換する力が鍵です。
1.授業を「読む力中心」に組み替える(核となるのは“再演型”)
※ここでいう「問題を解く力」とは、短い条件文に基づいて処理する従来型の問題を指します。
私はこの6年間で、3年生の共通テスト対策授業を試行錯誤してきました。ねらいは、“教科書知識を使える状態”にすること。
具体的には、教科書終了後の受験用問題集と並行して、次を取り入れています:
一度扱ったマーク形式文章問題を、時間をあけて再度解かせる
週1回の朝学習で、マーク模試問題1題の解き直し
教科書知識を文章問題で使うときのアレンジ方法を指導
最高の教材は、マーク模試問題と予想パック問題です。これを「解く→解説→時間をおいて再演→再説明」の形で授業計画に組み込みました。
2回目の実践では、生徒の変化が明確です。初回は「どこから手をつければいいか分からない」と迷っていた生徒が、再演では文章を読み、「何をどう整理すればいいか」が分かるようになります。
これは、文章を読み取り数式化する経験の積み重ねです。共通テスト型数学は、再演による慣れで伸びる科目だと感じます。
■ 現場で気づいた“もうひとつの変化”
実践形式の文章問題を繰り返していると、教科書で学んだ数学の知識が “日常に使う感覚” として体に染みてくる――そんな瞬間が増えていく気がしています。
昔のセンター試験は、公式や計算を正確に処理でき、問題演習を積んで定型問題をマスターすれば点が取れました。
そのため「数学を学んでも社会で使わない」という声が一般の人に多かったのも事実です。
しかし今の共通テストの文章問題は、
「数学の知識をどう日常の場面に接続するか」
を繰り返し問う構造になっています。
同じ問題を2回、3回と解くと、
最初はただの長文にしか見えなかった設定が、
少しずつ “数学で読み解ける情報” として見えてくる。
再演を積み重ねることで、
教科書の内容が自分の生活感覚につながる “深み” が生まれる。
これは、現場で実感している変化です。
2.読む力の鍛え方はレベルで変わる
※この記事は、共通テスト数学ⅠA・ⅡB(新課程ⅡBC)を主に扱っています。
※指導方針は「基礎の穴をふさぎながら、読解力で伸ばす」です。
※対象は偏差値40〜60の受験生の指導者層です。
この層では、教科書知識をどう「読解→式化」へつなげるか、その練習が最重要です。
「何を聞かれているのか」を声に出して整理するだけで、条件の取り違えが減る
偏差値50〜60台の層では、70分の中で“どこに時間を使うか”を意識させる
長文の「どこを読めば要点を掴めるか」を繰り返し体験させる
どの層でも大切なのは、
読解力 × 式化力 × 計算力 × 時間感覚 = 共通テスト力。
的確な情報を読み取るだけでは点は取れません。
それを式化して、適切な計算をする。
タイムマネジメントを繰り返し体験する。
これらの力が備わってきたとき、読解型問題へ対応できるようになります。
3.読むときの6ステップ・チェックリスト
授業中に配布している、読解の型づくりのためのミニツールです。
B5一枚にまとめ、生徒が手元で確認できるようにしています。
設問先読み:何を求めている?(値・単位・選択肢)
条件マーキング:数値・定義域・関係式・前提に線を引く
図にする:グラフ・図などを大きめにかく
式化の見通し:使う公式・方針が頭に浮かぶかチェック
ここでアイディアが足りなかったら、何度でも教科書に立ち返って確認する設問の流れを活用:マーク箇所の直前の言葉による誘導で何をするか考える
設問間の誘導利用:前の設問が “次を解く鍵” になっている(共通テスト最大の特徴)
共通テスト型は文章が長い分、何をしたらよいか方向性が書かれている。さらに、前の設問を利用して次の設問を解けることを文章で示唆している。
「家で復習してね」という指示だけで終わらせず、目の届く授業中に実際に1回目、2回目と実際にやらせる理由はこの指導をするためです。
上記のことを言語化して配付するだけでなく、生徒がやっているところを直接みて、状況に応じた指導をしたほうがいいと思っています。
4.現場で見えた変化
読める生徒と読めない生徒の差は、最初の3分で見えます。文章の意図を整理できれば方向性をつかめますが、迷う生徒はこの6ステップを何度も繰り返す必要があります。
だから授業では、次の3つを反復して伝えています。
① アイディアが足りなければ教科書へ戻ること
② 回答欄前の文章に“方向性が書いてある”こと
③ 前の設問が“次を解く鍵”になっていること
そして、こちらが見ている前で実践させます。復習任せにはしません。
5.まとめ:「読む」は“考える”の入口
共通テスト数学では、
読む → 整理する → 考える → 解く
という流れが以前より重要です。
短い条件文があって解答するタイプのいわゆる「通常の数学の問題」を解く力は依然として必要です。しかし、その力を発揮するにはまず正しく読むこと。
読む力がつくと構造が見え、考えるスピードも上がります。読む力が数学力になる。これは現場での確かな実感です。
6.参考:試験構造の変化(ざっくり年表)
センター期(〜2020):知識中心。二次対策+マーク演習で十分対応。
移行期(2021〜2023):読ませる数学が始まり、従来型の努力が点数につながりづらくなる
2024年:試行から定着への橋渡し。文章量と構造が新課程へ接近。
2025年〜新課程版:読解と判断が得点差を生む試験へ完全移行
この流れを踏まえると、
「公式を覚えて使える」だけではなく「読んで整理する力」を育てる授業が必要です
人生の限りある時間を大切に。シンパクト和 でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。スキやコメントをいただけると励みになります。
💡編集後記
この記事は、現場での経験をもとに「共通テスト数学=読む力の時代」を整理したものです。授業づくりや家庭学習に活かせる実践例を交えて書きました。共通テストの本質は“情報を数式に変える力”。読むことがその第一歩です。
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