協力者2人から始める、見積もりAI化という計画
見積もり作業に消えていく、三割の時間
ある日、ある企業の情シス担当者は、隣の営業部署を見ていて、あることに気づきました。
担当者の一人が、頻繁に残業をしていたのです。そしてその時間の多くが、見積もり作成に費やされていました。
責める気持ちはなかったそうです。ただ、「もっと効率よくやれる方法があるのでは」という感覚があったといいます。
情シス担当者は最初、原因を「仕組みが悪い」と考えました。そこで、見積もりの書式をそろえる取り組みを、以前に行っています。
けれど、期待したほどの効果は感じられませんでした。効果を数字で測っていなかったため、実際どうだったかも、はっきりしないままでした。
書式をそろえても、変わらなかった理由
書式の統一は、間違った対策ではありません。ただ、それだけでは足りなかったのだと思います。
顧客からの要望は、一件ごとに違います。複雑な条件が絡むこともあります。書式をそろえても、その中身を埋めていく作業そのものは、手作業のままでした。
つまり、問題は「型がない」ことではなく、「型を埋める手間が減っていない」ことにあったのだと思います。
体感では、労働時間の三割ほどが、この作業に使われているそうです。三割というのは、決して小さな数字ではありません。
仕組みの案:埋める作業を、AIに任せる
そこで情シス担当者が描いているのが、見積もり作業そのものをAIに任せる仕組みです。
書式を整えることよりも、入力から作成までの工程を減らすこと。これが目的になります。人が本来やるべきなのは、書式に沿って埋める作業ではなく、顧客の要望を読み取って判断する部分だと思うからです。
まだ構想の段階ですが、いきなり部署全体に広げるのではなく、まず一人か二人の業務で試してみる。そんな設計を考えているそうです。
定着のために、今考えていること
仕組みは、作っただけでは根付きません。担当者ごとに、これまでのやり方への慣れやこだわりもあります。それは、決して悪いことではなく、それぞれに理由のあることだと思います。
だからこそ、全員を一度に説得しようとはしないつもりだそうです。話を聞くと、AIの活用に前向きな人が、すでに二人ほどいるとのこと。まずはその人たちと一緒に試し、うまくいった形を、周りに見てもらう。そんな進め方を考えているといいます。
効果を測る指標としては、見積もり一件あたりにかかる時間や、残業時間の変化が使えるのではないか、と情シス担当者は話していました。
これから、そして次に書くこと
まだ何も実施していません。だから、「効果があった」とは言えません。
ただ、三割という数字は、担当者の中で消えていません。この数字が、どこまで動くのか。それを、これから試してみようと思います。
結果はまた、この研究所で書きます。
