あなたに会いたい
インターネットで発信される情報が、事象の全てに思えたり、それ以上の大きなことのように見える世の中。別に、リアルだからといって事象の全てが認識できたり、正確に見えるとも限らないが。情報の入れ替わりのスピードは恐ろしく速く、賞味期限が恐ろしく早い。知らない誰かの人生が一瞬で持て囃されては、一瞬で忘れ去られていく。
実は未だ、シンギュラリティが訪れていないらしい。嘘だろ、すでに正気を保つのがギリギリじゃないか、そう思わないか、あまりそう思わないか、深く息を吸って吐けていますか、最近はよく眠れていますか、悩みを相談できる親しい人は身近にいますか。目の前に起こる大小色んな事実と向き合い、受け止めたり、受け止めきれなかったりすることが、人間らしさだと思う。AIが1秒で出す答えを、不器用で非効率な人間は、何時間も何日も何年も時間をかけて、考えたり、味わったり、分からなかったりするから面白い。そう思わないと、私たちの存在意義を、私たちが殺していく。どうかみんな、時間がかかっていい、自分の脳味噌を使って、最後は自分の肉体で、自力で生きていくんだ。スマホの中にある脳味噌みたいなものは、ただのブースターだ、お前のオールを任せるな。
生身の人と会えるときに会わないといけない。私たちは不完全なまま、ふとした瞬間にどこかへいってしまうかもしれない。あなたが急にどこかへいってしまったら、あなたの残像を追いかけて、途方もなく彷徨った末に迷子になって、目の前が真っ暗になってしまいそう。魂をひとつ、ふたつ、いくらかけても解けない、あなたに会えない無理難題、AIには分かりっこない。分かられてたまるか。
だから、会えるときに会って、たわいもない話をしようね。
夏になったらビアガーデンに飲みに行こうね。
子どもが産まれたらお祝いしに行くね。
9月はあなたに会いに東京に遊びに行くね。
また会う約束ができていれば、迷子にならずにその先で待ち合わせできる気がする。会えるといいなという希望的観測が、私たちを繋ぎ止める。
私はあなたに会いたい。
