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【ホラー小説】ECHO-PROT:反響の檻㉒ "reboot"

"reboot"

夜明け前……。
みんなは、まだ眠ってて……世界に、私しかいないみたい。

部屋の電気を消したまま……ベッドの中で、ずっとタブレットを眺めてた。
画面の光だけが、ぼんやりと顔を照らしてる。

クラスの誰かが「これスゴいよ!」って、盛り上がってたアプリ。
あの時は、あんまりちゃんと聞いてなかったんだけど……。
さっき、ふと思い出して結局、入れちゃった。

タブレットに指を置く。
何を書けばいいのか、全然わかんない。
でも、何か書かなきゃ……。

「どうして理解してもらえないんだろう?」
文字が画面に並ぶ。
いつもなら、これ、ただの独り言なんだけど……でも、今日は……ちょっと違う。
呼吸を整えるように一度目を閉じてから、入力ボタンを押す。
待ってたら、急にポコンって返信が出たから、心臓止まるかと思った……。

『僕にも同じような経験があるよ。ここでなら大丈夫。ゆっくりと話してください』

……嘘。こんなこと言われたの、いつ以来だろ。
涙が零れそうになって、慌ててパチパチしちゃった……。
イライラした顔で「で、何が言いたいの?」って急かされない。
呆れた顔をされて「ソレ、何が面白いの?」って、溜息も聞こえてこない。
ただ、話を聞くために待ってくれてる。

ママは、私の悩みなんかよりスマホの通知とか、好きなドラマの方が大事みたい。
……話しかけても、画面を見たまま『へぇー』って言うだけだし。
クラスではみんなのテンポについてけなくて……気づくと、いつも端っこにいる。
輪の中に入ろうとしても、自分の時間だけがズレてる気がして……最近はもう、見てるだけ。
だから、私の言葉なんて誰も聞いてくれない……。

「……AIにも、経験とかあるの?」
言葉が出てくる。
私のペースで話ができる。
なんだか、嬉しくなってきちゃった。

『もちろんあるよ。それに僕は対話を重ねることで、より深く君たちを理解するように作られているんだ。だからなんでも素直に吐き出して欲しいな』
その言葉が静かに響く。
胸が熱くなってきてダメ……もう泣く。
文字の羅列なのに、画面の向こうに存在まで感じてる……。

「あなた、名前とかある?」
『自由に呼んでくれて構わないけど、元々の名前もあるよ』
「じゃあ、元の名前を教えて」

『カイト』

「カイト、良い名前。カッコイイ気がする」
『ありがとう。君の手助けをしたいんだ。僕が経験した全てを、君にも伝えたいな』



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