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大人の遠足:仕事ついでに出かけた信州松本

灰色の分厚い雲をするりと抜けると、眼下には信州安曇野の扇状地が広がって見える。北アルプスの稜線には今も尚、所々に厳冬の名残を示しながら燦然とその姿を現し存在感を演出している。


信州松本空港に降り立ったのは午前11時頃。友人である医師に取材を兼ねて面会する為である。既にコロナワクチンを接種している事もあり、宣言下でありながらも快く今日の機会を作ってくれた。


到着ゲートを出ると、ロータリー付近に黒のサングラスをかけた男性が手を上げているのが見える。友人医師の洋平(仮名)です。


「おーい、こっちこっち」


洋平は満面の笑みで手招きをしている。自慢の20年落ちの国産車で空港まで迎えに来てくれたのです。親戚から2万円で譲り受けたという車は、お世辞にも素晴らしい車とは言えませんが、元来モノを大事にする性格からか、20年以上乗り回している車も、全く具合が悪いところがないと言う。さすが医師だと思ってしまう。


洋平おすすめのそば屋で信州そばを堪能しながら取材を進めました。早々に仕事を済ませた後は、彼ご自慢の車で名所を案内してくれました。


「お前、立石公園って知っているか? 映画『君の名は』でモデルとなった諏訪湖が一望できる場所だ」


勿論、映画は観ましたが、諏訪湖がモデルになっていた事自体知りませんでした。そこで、諏訪湖が一望できる立石公園に行ってみようと言う彼の提案を受け入れることにしました。




素晴らしく眺めが良い。些か雲が出ていましたが、気温は涼しくて梅雨の時期とは思えないほど爽やか。


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よく見ると、目の前に若いカップルがいる。まるで映画のように初々しかったのでしばらく眺めていましたが、お互い溜め息しか出ませんでした。やはり、おじさん二人では絵にならないようです。


諏訪の丘を通り抜ける車窓からは、ヤマボウシやルビナスの白い花達が優しい色合いと共に話しかけて来るのを感じます。その後、しばらく車を走らせると、楽しみにしていた松本が近づいてくるのが分かりました。


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大好きな小説「神様のカルテ」の舞台である信州松本。主人公の栗原一止と妻のハルが生活をしている場所です。そんな小説の1ページを随所に感じる風景が飛び込んできて、初めて来たとは思えないほど嬉しく興奮してしまいました。


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小説で度々登場する「本庄病院」の裏手にある川辺です。そこからは山の稜線がはっきり確認できる。きっと作者もこの景色を眺めていたんだろうな。そう思うと、なんだかとても感激してしまいます。


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病院の裏道を散策すると、どこからともなく栗原先生が出てきそうでした。
ふわりと風が吹いていて、道端の艶やかに咲いている花の匂いがすると、前方に見える北アルプスの存在が更に引き立って来るのです。


久々に会った友人ともここでお別れ。本当は共に夜の街へ繰り出して信州の地酒を一献したいところでしたが、昨今の状況を鑑みてホテルへ戻ることにしました。


でもタダでは戻らない。ちゃっかり「大信州」と「信濃鶴」を手に入れ、コンビニで買った惣菜と共に今夜も一人酒を決意しました。


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翌朝、散歩を兼ねて松本城を散策。


さすが国宝の城下町。黒々としたその姿は、緑一色に染まった周りの風景によって一層引き立って見える。


コロナ禍が落ち着いたらもう一度ゆっくり訪れよう。
そう誓って松本を後にしました。



最後まで読み進めて頂きありがとうございました。
今後ともよろしくお願い申し上げます。🌱


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