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t_and_s_coach
ポンと過ごす休日
リビングの窓から差し込む朝の光が、フローリングの木目を優しく照らしている。コーヒーの香りが部屋を満たし、静かな時間が流れていた。
ソファーに腰掛け、マグカップを手に取る。隣には、丸まって眠るポメラニアンのポン。妻が単身赴任中の私の寂しさを紛らわせるために飼い始めた、小さな家族だ。
製薬会社のマーケティングという仕事柄、国内外への出張が多く、家にいる時間は決して多くはない。それでも、この小さな命がそばにいることで、どれほど心が安らいだことか。
激務が祟り、体調を崩して自宅療養を始めてから、早一週間が過ぎた。普段であれば、病院と会社を往復する毎日だが、今はこうしてポンとゆっくり過ごす時間が持てている。
ポンは、私が動く度に、その小さな体を起こし、心配そうにこちらを見つめる。その姿が、まるで妻のようだと思った。
今春、15年にも及ぶ単身赴任生活が終わり、ようやく自宅に戻れることになった。しかし、息子は既に社会人となり家を出ており、妻とポンとの3人暮らしではなくなってしまった。少し寂しい気もするが、最愛の妻と二人、そしてポンと、穏やかな日々を送れることを心待ちにしている。
窓の外では、新緑が眩しい光を浴びている。鳥のさえずりが聞こえ、心地よい風がカーテンを揺らした。
「もうすぐ、家に帰るからな」
ポンにそう話しかけると、尻尾が小さく揺れた。
この小さな命と共に、これからの時間をゆっくりと、大切に過ごしていきたい。そんなことを考えながら、私は静かに目を閉じた。
