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森の中を歩く|53.5kmをゆくミルフォード・トラックの旅 in New Zealand 🇳🇿

8年ぶりの海外へ、目的は「歩く」

2月に8年ぶりの海外旅行ができるとなったとき、寒くない行き先を探していて出会ったのがニュージーランド。その中でも、ミルフォード・トラックというフィヨルド地帯を歩く道があるらしいと知り、急いで調べる。残り数枠しかないことに案外後押しされてしまい、半分勢いで予約した。普段リモートワークでほとんど運動もしていないわたしが33マイル(53.5km)もある道を歩ききれるのだろうか。正直なところ結構不安だった。

ミルフォード・トラックとは

ニュージーランド南島のFiordland National Parkの中を通る、Te AnauとMilford Soundをつなぐ33マイル(53.5km)の道のりであり、1880年代に観光用に開通された歴史あるトラックである。"Finest walk in the world" とも評される道には世界からトレッキングで人が訪れる。

個人として山小屋を利用して歩く方法と、ガイド付きのグループツアーに参加して歩く方法がある。今回は4泊5日のグループツアーに参加した。

自然の中を歩く、ここでしかできない体験

旅行をするのには人それぞれ、さまざまな目的がある。
わたしはとにかく、その土地でしかできないこと、感じられないもの、その土地の暮らしを存分に感じたいと思って旅をしているが、まさにそのとおりの体験だった。

長年をかけて形作られた自然の風景は、どこを探しても出会えない、まさにそこだけのもの。氷河によって削られたフィヨルド、そこに育まれた森、豊かな鳥や植物などの生態系など、その土地ならではの自然に完全に没入できる体験だった。

普段東京に住む私は、旅が始まる前にトレーニングとして東京の川沿いなどを歩いていた。歩くことは好きだったけれど、さすがに冬の寒空の下を歩くのは代わり映えしなくて、ポッドキャストやラジオ、オーディオブックを聞きながら歩くのが恒例だった。

しかし、このトラックは違う。
ダイナミックな木々の生え方、岩に張り付く苔の表情、少し遠くを流れる川の水音、鳥の鳴き声、木々が晴れて見えた山々の景色。毎日15-20km近く歩くが、ひとつとして同じ景色はなく、とにかく飽きが来ないのだ。

グループツアーとはいえ、長い道のり、人と一緒に歩くこともあれば、自分ひとりで歩くこともある。それでも、決して孤独を感じることはなかった。ずっと自然を全身で感じながら、自然の中にいる自分を受け入れることができる不思議な時間だった。

いつしか不安は消えていた

総長53km、3日間毎日15km歩くような体験は今までしたことがなかった。平坦なところを歩くのは大丈夫だと思っていたが、3日目には800メートル前後のアップダウンがある。それをずっと不安に思っていた。

結果的には、危惧していたほど大変ではなかった。特に天候にも恵まれたことも大きかったが、少しずつ登るたびに見える景色にその旅立ち止まって感激し、頂上にたどり着いて、歩いてきた谷の道のりを見下ろして、また感動した。見事だった。人間の足ってすごい。ここまで来られるのかと思った。

そして、ひとりではなかったことにもまた背中を押された。世界中から集まった50人ほどの人たちとのグループで、3日目ともなれば話したことがある人も増え、声を掛け合ったり、写真を取り合ったりしながら、「あともう少しだ〜」「大丈夫?」「きれいだね〜」と言いながら、登って降りた。

同じ道を歩く、という目的のために集まった人たち。年代もバックグラウンドもばらばらでもなんだか親近感が湧いていたし、ひとりで参加していてもひとりじゃなかった。

写真には収まらない美しい風景

これだけ景色のことを綴っておきながら、写真を載せないなど反則かもしれない。ただし、どれだけ自分が取ってきた写真を眺めても、実際に見て感じた風景を十分に切り取れていないのである。だからまずはここまでは自分の感じたことを文字で残した。

そのうえで、記念に写真を数枚載せておこうと思う。想像しながら見てほしい。水の流れる音、鳥のさえずり、風によって木々が揺れる音、自分の足とストックの音、、、。

ダイナミックな木、苔むした森の中を進む
開けたところには滝と池
トラックの最も高い地点に向けて登る途中
McKinnon Pass と呼ばれる頂上は雲に覆われていた
この谷を向こうから歩いてここまで登ってきたのかと感激
躍動感ある自然の姿
ニュージーランド最大の滝Sutherland Falls
すぐ近くまで行ったが嵐のような迫力
あー好きな景色
道のりには1マイルごとにマーカーが立っています
これは最後の33マイルマーカー

唯一の葛藤は、豊かな自然の中でこんな贅沢をしてよいのかという思い

とにかく快適に歩くことに集中して、自然を堪能することができた。食料を運ぶ必要もなく、毎日ロッジでは3種類からメイン料理を選べる3品のコース料理が出た。相部屋ではあるが、部屋は広くて清潔で、ベッドがあり、洗濯・乾燥設備も揃っていて、洋服も替えをたくさん持っていく必要がなかった。そのため、もちろんリュックは背負うが、荷物は最小限で済む。聞けば、食料などはロッジにヘリコプターで輸送されるなど、裏でとても「非」自然な営みによって支えられていた。

そのような環境もあり、グループツアーはお値段もかなりお高い。観光を目的として作られた道であるゆえ、そうして観光を楽しみ、自然を尊び、自然の保護活動などに還元されればそれで良いのだ、と思いつつ、なんて高貴で不自然な遊びなのか!と冷静に考えて思ったりもした。

しかし、わたしは登山経験者ではない。すべての備品や食料を担いで、個人で歩く道だったとしたら、参加は考えられなかったと思う。このようなツアーがあってこそ飛び込んでみる決心ができたのだなとも思い、この葛藤も受け入れてかけがえのない経験だったなと振り返っている。

自然に没入する旅を

わたしは旅行をしようと思い立って、初めてこのトラックのことを知ったが、一方でツアー参加者の多くは長年参加したいと夢見て、予約が解放される1年前から予約をしていたらしい。

だから自然に没入する旅をしたい人には、ぜひ選択肢として知ってほしい。
そして、もし参加を迷っている人がいるなら、ぜひ背中を押したい。必ずやここでしかできない経験ができると思う。

今回参加した現地のツアーはこちら
https://www.ultimatehikes.co.nz/multi-day-guided-walks/milford-track

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