見出し画像

ショートショート「勘当ガイドブック」※毎週ショートショートnote4/26お題



 昔から勘のいい方だった。
 雨やテスト、悪い予感までも。
 今回も、背中を指先でなぞるような、ゾワゾワとした快感と不快の狭間を行き来していた。
 やはりというか、宝くじに高額当選した。

 銀行でおっかなびっくり手続きを済ませると、担当者が冊子を手渡してきた。
 「勘当ガイドブック?」
 その折り畳まれた形状は、ハリセンに似ていた。
 「ええ。何故か、高額当選者の元に、身に覚えのない息子とか孫とかが発生するものでね。そんな不届者を勘当する心構えです」
 説明を聞いて、合点がいく。

 ある日、通帳を胸に抱いて帰宅すると、家の前に人だかりが出来ていた。
 悪い方の予感も当たっていた。
 「お兄さん!」「俺だよタケルだよ!」
 等と、全員が血縁者か何かを主張した。

 「生き別れの父さんだよ!」

 その中に、銀行の担当者の顔があった。

 「お前もかーい!」

 私は勘当ガイドブックを取り出し、笑顔で頭をはたいて勘当してやった。

 とても良い音が響いた。
 
 
 






こちらの企画に参加させていただきました。


いいなと思ったら応援しよう!

蜃気楼 お気持ちをいただければ、より頑張ります!