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ショートショート「浮気清浄機」※毎週ショートショートnote4/19お題




 「浮気清浄機?」
 「そう。ばっちゃが、そんなこと言ってた」
 むせるような濃い空気が、身体にまとわりつく。
 
 『お山には、浮ついた不埒な気を喰らってくださる神様が住んどる。清浄なる気を取り戻し、真人間となっテ山を下りる』

 そんな話を聞かされた子どもは、好奇心の向くままに、大人も音を上げる山道を、息切れしながら登っていた。
 (そんな神様なら、きっとお父の浮気も止めてくださる)
 食べてもらえなかった食事に涙するお母の姿を、これ以上見たくなかった。

 「あ、祠。あれか?」
 「うん。きっと、そう」

 崩れかけた古い祠に、2人の幼なじみが入っていった。

 「「うわああああああ!!」」

 やがて、絶叫しながら飛び出してくる。
 息の続く限り走り続ける。
 足がもつれて、二人で倒れ込んだ。
 「な、何が浮気清浄機だよ!」
 「知らない知らない!」
 アレが、何を喰らうと言うのか。
 食らわれた後、山を下りてきた人間は、何だと言うのか。
 そんな、およそ生物とは言えない『何か』が、祠に鎮座していた。
 そして。

 「あ」

 呆ける子どもの背後に、巨大な顎が見えた。
 

***

 
 2人の子どもが、笑いながら歩いてくる。
 「こンにちは」
 農夫が挨拶をする。
 『こんにチは』

 何ということもない、田舎のやりとりだった。
 

 





こちらの企画に参加させていただきました。


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