見出し画像

「虹色創作部」          ショートショート「離岸流」


 「うわっぷ!」
 波が四方から襲ってくる。
 色とりどりの魚達は、俺のことなどお構い無しに優雅に泳いでいる。 
 海は透きとおっていて、太陽の光をふんだんに取り込んで少しあったかい。
 今、俺は少しマズイ状況にあった。
 ビーチにほど近いところで泳いでいただけなのに。
 そんなに泳ぎが得意ではないのに、離岸流に捕まってしまった。
 離岸流は、俺をどんどん沖へと運んでいく。
 泳げど泳げど、その強い流れに抗えず、岸が遠くなる。
 嫌だ、このままでは溺れてしまう。
 俺は、もう溺れたくないんだ!

 「ねぇ、いいじゃない。ちょっとくらい私と遊んじゃおうよ」
 潮騒に紛れて、魅惑的な声が聞こえる。
 妖艶な美女の長い手足が俺に絡みつく。
 やめてくれ、俺はもう危険な恋に溺れるわけにはいかないんだ!
 「旦那が出張中で寂しいの。ねぇ、今夜だけ♡」

 俺は抵抗虚しく、恋の離岸流に流される。
 危険だと分かっていながら、情欲に溺れるのに抗えなかった。



↓こちらに参加させていただきました。
 美しいイラストに、こんな内容でスミマセン。




いいなと思ったら応援しよう!

蜃気楼 お気持ちをいただければ、より頑張ります!