ショートショート「どこにでもある、ありふれたお話」通話記録⑤
「もしもし」
「あー、俺、俺。ごめん、急に飲み会入っちゃって」
「ええ?もう、ご飯作っちゃったんだけど」
「ホントごめん!どうしても断れなくて」
「いつもそれじゃん!作る側の気持ち考えたことある?」
「だから、悪いって」
「毎日毎日、家事と子どもの世話でヘトヘトになったあとで、バランス良くなるように献立を考えて、あなたが帰る時間に合わせて完成させて、それが無駄になった時の私の気持ちが分かる?」
「あー…ホントごめん。でも、俺だって仕事頑張ってんだよ?飲み会だって仕事の内だし、断れば社内での立場なくなるし。そんな針のムシロみたいな職場にしろって言うの?」
「そんなこと言ってない。仕事だって言うのも分かってる。でも、私は家政婦じゃないよ」
「あん?分かってるよ、そんなこと」
「分かってない」
「何なんだよ。どうすればいいんだよ」
「その考えることを放棄するの、やめて」
「ああ!もう、いいよ!」
「うん、もういいよ。飲み会楽しんで」
「気分悪くしてくれて、ありがとうよ!……誰の稼ぎで食べてると思ってんだ」
「……………それ言っちゃうんだ」
「………言い過ぎた、悪い」
「…………」
「帰りにケーキ買って帰るよ」
「…………………」
「なぁ、悪いって」
プツッ
通話記録:2019.12.05 19:11:25-19:14:59
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