ショートショート「惑星総転居」※毎週ショートショートnoteお題チャレンジ
暗く、暗く、どこまでも黒に染まる。
ヴォイドと呼ばれる、宇宙の中でも真の「無」がある場所を進む。
進む、という表現はそぐわないだろうか。
何故なら、地球は、太陽系の鎖から解き放たれ、孤独に、当てもなく漂流していたから。
あの日、といっても、それが幾億年前のことだったか、昨日のことだったかすら、今となっては分からない。
太陽が消失した。
太陽系の根幹たる恒星が、突如として失われた。
結果、太陽の重力に縛られ、美しい螺旋を描いていた惑星達は、瞬間的に散り散りに宇宙の果てに向かって飛ばされた。
こうなってみると、いかに太陽が偉大だったのか分かる。
かつて地球だったモノは、美しい海と緑を失った。
公転と自転と地軸のバランスは狂い、海は蒸発し、地表に張り付いていた緑は地殻ごと崩れて宇宙の藻屑と化した。
さらに小さな生き物達は、なす術もなく消滅した。
自分達に何が起こったのか、知る由もなく。
観測する者がいなくなれば、あらゆる事象は存在が揺らぎ、意味を消失していく。
地球だったモノは、もはや小惑星と区別がつかなかった。
存在を存在たらしめるものとは、一体何なのだろうか。
太陽系の他の惑星は、一体どこに飛んで行ったたんだろう。
(まるで、惑星の総転居だな)
次元の隙間から、戯れに太陽をつまみ上げた巨大な観測者は呟く。
その呟きを伝える大気すらない宇宙で、観測者はため息をついた。
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