見出し画像

ショートショート「合格奇岩」※毎週ショートショートnote1/18お題


 削る、という行為は字面以上に複雑で、奥深い行為だ。
 世界には黄金比というものがあり、見る人を惹きつけてやまない、美しい計算や神の奇跡が、そこにある。
 不要なものを見極め、慎重かつ大胆に削る。
 3次元的に、あるいは4次元的に物体を観察し、寸分の狂いなく削り続ける。
 私はノミを好んで使って、削る。
 ノミを、狙い定めた一点に命中させたとき、空気を割るような美しい音が響くのだ。
 ミスした時には、雑音が混ざり、非常に耳障りに感じられる。

 キン――――――

 ああ、この美しい音を、いつまでも聞いていたい。
 しかし、最初は無骨な岩だったそれは、やがて形を帯び始める。
 目が離せない、美しい奇岩となる。
 コレならば……

***

 『さぁ、優勝候補の一角、剛田雁山先生の作品だ!おっと………評価は……何と89点が出ました!素晴らしい!文句なしの「イギリス、ストーンヘンジ」陳列に合格しました!さぁ、続いてはカッパドギア部門…………』
 世界各所に散らばる、奇岩の名所。
 自然の前に、風化は免れない。
 だが、今日も変わらぬ奇岩が、そこにあり続ける。
 多くの人が、世界の遺産を楽しんでいる。






こちらの企画に参加させていただきました。

 

いいなと思ったら応援しよう!

蜃気楼 お気持ちをいただければ、より頑張ります!