ショートショート「ほんわか台風」※毎週ショートショートnote10/26お題
朝の空気はめっきり冷え込むようになって、布団が中々、私を離してくれなくなった。
それでも、街の中心に鎮座する大塔楼から響く鐘の音が、私を否応なしに覚醒へといざなう。
低血圧でハッキリしない頭を抱えながら、カーテンを開け放つ。
温かな光が闇を払い、私を優しく包み込む。
窓を開けて、街を見下ろす。
「まてまてー」
「あ、ちょうちょ」
「あのね、うんとね、きのうね。こーんなおっきなトリさん見たの」
そこかしこを小さな子ども達が動き回り、身振り手振りで出来事を報告している。
見守る親たちは破顔する。
かくいう私も、この小さな癒やしに顔をニヤけさせている。
この街には、何故か子どもが多い。
加えて、心根の優しい住民ばかりなので、穏やかで温かな時間が流れている。
ここは、通称「ほんわか台」。
都会で、時間に追われて心を壊しかけた私は、この街に引っ越してきた。
冷えた心が、あったまっていく。
人を想うことを思い出していく。
冷えた空気は、太陽に温められて、風となって私の髪を揺らしていった。
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