『サピエンス異変』の感想は「ヒトは歩かなければならない」ということ。
このたび『サピエンス異変 新たな時代「人新世」の衝撃』(ヴァイバー・クリガン=リード 著 水谷淳 鍛原多惠子 訳 飛鳥新社 2018年)という本を読み、21世紀の健康を考えるうえで興味深い内容だったので、自分のブログに記事を書き、「ヒトは歩かなければならない」という感想を持った。
現代文明の急速な環境の変化に私たちの身体が追いついていない、もしくは適応できていない、というのが本書『サピエンス異変』の主旨だと思われるが、通読して圧倒的に伝わってきたのは、足で始まり、移動で進化した初期人類に比べて、現代人の多くは長距離を歩く機会が失われ、長時間労働などで座り続けることが(いずれ誰もが抱えるリスクがある)腰痛の悩みとも関係しているということだ。
一九六〇年代から七〇年代、機械自動化の明るい未来に踏み出したオフィスワーカーの身体を、座ってばかりの仕事がむしばみはじめて、いまでも私たちに悪影響を与えつづけている。その一部は間違いなく骨盤前傾と下部脊椎の前彎が原因だが、真犯人は座りつづけていることである。座ること自体ではない。座り方でもない(長時間座りつづけるのに適した正しい姿勢などというものはない)。じっと座りつづけていることこそが、身体全体の健康にもっとも大きな影響を及ぼしているのだ。
(ヴァイバー・クリガン=リード『サピエンス異変 新たな時代「人新世」の衝撃』 水谷淳、鍛原多惠子 訳 p202ー203)
この座り続けることの弊害については他人事ではなく、私自身も、パソコンの前に座ってブログを書いたり、読書に没頭したりすることによって、気づいたら何時間もイスに座り続けている。
そして、長時間座り続けた後に外に出て歩くと、歩いている間に、身体全体のバランスが崩れ、歪んでいるのを感じる。
ちなみに本書『サピエンス異変』の著者、ヴァイバー・クリガン=リードは、長時間座り続けることの主な解決策として、主にウォーキングと仕事の仕方を徹底的に見直すことを挙げている。
ウォーキングはつねに魔法の特効薬である。何百年も昔に草原で暮らしていた人たちとのつながりを感じ、人間であることのあらゆる側面に効く。(p215)
解決策は、ヨガや立ち机、アレクサンダー式療法やストレッチではない。本当に必要なのは、仕事のしかたを徹底的に見直して、生きるために必要な方法に合わせることだ。(p303)
私の移動手段はもっぱら自転車だが、この本を読んで、健康と身体のバランス維持のためにはもっと歩く必要があると感じた。
また、現代人は運動不足の傾向にあるといっても、個人的には運動を目的化するのは好まないため、座りっぱなしを避けてこまめに動くようにする、蹲踞(そんきょ)のようなしゃがむ姿勢をとるようにするなど、日常生活のなかで身体感覚(特に下半身)を甦らせる方法を、本書を読んでから模索するようになった。
ポケットに入れて持ち歩いているさまざまなテクノロジーのせいで、私たちは二三〇万年におよぶ人類史のなかでかつてなかったほど座りっぱなしの生活を送っている。スマートフォン、ノートパソコン、デスクトップパソコン、インターネットは、新たな消費の可能性を開いて私たちの行動を変えただけでなく、身体やライフスタイルや寿命をも変えようとしている。これらのテクノロジーが人類という動物種を変えようとしているといっても大げさではない。
人類はすでに進化の次の段階に入っている。これからも身体を手放したくないのであれば、身体をケアしてやらなければならない。身体が何を望んでいるかを理解するだけでなく、身体を本来の形で働かせて、身体に役立つことをするための、新たな方法を見つけなければならない。
(ヴァイバー・クリガン=リード『サピエンス異変 新たな時代「人新世」の衝撃』 水谷淳、鍛原多惠子 訳 p308)
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