🌕 満月の夜、クジラは歌う ― 夜、孤独が深くなる人へ。静かに整う10の物語 ―
この物語は前向きになれない夜のために。
あなたに、そっと贈る言葉です。
クジラたちは何百万年も前から、
私たちが忘れてしまった「生きる知恵」を
海の中で実践してきました。
心がざわついて眠れない夜に、
できれば、ひとりで読んでください。
クジラと一緒に、深く沈む10の物語。
1|歌は、準備が整った者だけに届く
海が、星を飲み込んだような満月の夜。
クジラの歌は、3,000km先まで届く。
交配期、オスのザトウクジラは 何時間も、
同じ歌を繰り返す。
力を誇示するためでもない。
相手を打ち負かすためでもない。
ただ、
整った周波数で 呼びかけ続ける。
クジラは、愛を告げるために 声を荒げたりしない。
海に放つのは、「ここにいる」という、存在の報告。
それは求愛というより、生存のログ。
命が今日も途切れていないという、淡々とした記録だ。
そして、メスが聴いているのは、音量でも、技巧でもない。
途切れない持続力。
「自分を失わず、生き延びている」という、確かな証。
返事がなくても、歌うことをやめない。
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