海は、自己否定を知らない―心が3センチ軽くなる話―
ある日気づいた。
海の生き物に、自己否定はない。
足りないと思うこと。
遅いと感じること。
変わりすぎて怖くなること。
ひとりでいることが寂しいこと。
普通じゃないと恥じること。
それは全部、陸の話 だった。
海に潜るとき、 答えを探さなくていい。
ただ、少しだけ 深く息を吸って。
10の生き物が、 静かに教えてくれる。
足りないは、軽いこと
クラゲに、脳はない。
心臓も、血液も、骨も、ない。
脳が生まれるより前から。
心臓が生まれるより前から。
骨が生まれるより前から。
それでも、5億年前から
ほどけるように海を漂い、
触れるものすべてを光に変えた。
「わたしはこれでいいのか」と立ち止まらない。
脳がないから、ではない。
そもそも、その問いが存在しない。
わたしたちは、何かを持っていないとき
「足りない」と呼ぶ。
でも海は、それを
「軽い」と呼んでいる。
◇ ◇ ◇
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