推しをスクリーンで拝むために命がけで一泊してきた話
今から5日前。
わたしは、窮地に立たされていた。
01公開日、レイトないじゃん!?!? pic.twitter.com/8AXhsnnMjl
— ⛩椎瑠⛩ (@siren_33) December 15, 2020
2020年12月18日。
『劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死身の剣士と破滅の本/劇場版 仮面ライダー ゼロワン REAL×TIME』が満を辞して公開となる。
命を救われたと日頃から豪語し推し続けている俳優・岡田龍太郎さんの出演作品であり、コロナ禍に巻き込まれ様々な試練を余儀なくされながらも大団円を迎えたゼロワンの最終回と、その試練に立ち向かうかの如く戦いを始めたセイバーの冒険譚が描かれた、この冬最大の期待作。
絶対に各種SNSでネタバレ(公開日に解禁される公式からの情報や特報映像を含む)を踏みたくないわたしは、何としてでも公開日にこの映画を見る必要があった。
終業時刻は17時15分。映画館までは車で約1時間。この日の最終上映時間は18時40分。定時を迎えた瞬間に秒速で退勤し車に乗り込めば、ギリギリ間に合う。
子供向け作品でレイトショーがないことは想定済みだった。要はさっさと仕事を終わらせればいいだけなのだ。
……この大雪さえなかったらなぁ!!!!
うんざりするほど報道されているので皆さんお分かりだと思うが、この1週間、日本列島を猛烈な寒波が襲っていた。
わたしの住む東北の辺境もまた然り。災害級の大雪ではないが、12月中旬に降る量を大きく凌駕する程の雪が降った。
映画館がある隣町から通勤しているわたしの同期は、死んだような顔で「ここまで2時間かかった」と言いながら職場に現れた。
……無理じゃん。
この寒波で1時間で辿り着くの、絶対無理じゃん。
退勤し、家に帰り、車を埋め尽くした雪を払い除け、真っ白に凍ったつるっつるの高速道路(超絶吹雪)を時速50kmで走らせて、1時間で済むわけがない。
だが上映時間は遅くなってくれない。今日を逃したら、きっと公開日に合わせて各方面からやってくる特報映像やら感想レポやら新規告知やらを真正面から受ける事になり、真っ新な気持ちで映画を拝むことなどきっとできなくなる……!!(超絶めんどくさいオタクであることは自覚しているが、きっと同じ気持ちを抱いている人はこの世界にいると信じております)
だったら、どんなに猛吹雪の中でも車を走らせるしかない。しかし、きっと帰りも猛吹雪である。
夜の雪道ほど怖いものはない。元々視界の悪い真っ暗闇に容赦なく降り注ぐ雪の中を、ヘッドライトの灯りだけを頼りに突き進むことのどれだけ恐ろしく孤独なことか。
事故ってもいいように遺書でも書こうかな……と虚無顔で立ち尽くしたわたしの耳に、容赦なく入ってくる「県内は明後日にかけて真冬日となり警戒級の大雪になります♡」との天気予報。ふざけんな。
そしてわたしは閃いた。
……死ぬ思いして映画館行くんだし、その日は帰らなくてもいいんじゃね?
刹那、わたしの指は楽天トラベルを開き。
映画館から車で10分ほどの距離にあるビジネスホテルの予約を取っていた。
――これは、推しを公開日に大スクリーンで拝むためだけに時間休とホテルとスノーダンプをもぎ取り、命がけて寒波と戦った、ひとりのオタクの物語である。
(とかなんとか言ってますがそんな大層なものではないです。とち狂ってんなあと思いながら見てください)
***
2020年12月18日、午後15時。
3日前に申し出て時間休をもぎ取り(快諾してくれてありがとう上司)、いざ帰宅。慌てて買ったスノーダンプで雪どもを蹴散らし、わたしはリュックひとつで車に乗り込んだ。
なお、宿泊のお供はこちら。

(リュック横、右上から)薬、ティッシュ、財布、マスクin ヒプマイローソンコラボのMTCケース、メイク道具(パウダーとリップだけ)、iPad、アイロン、ポーチ、AirPods、お茶(着替え類はすでにリュックに入れてある)。
宿泊を伴う遠征の時はいつも使っているスキンケア類を持っていくのだが、今回はアメニティに頼る事にした。遠征というほどのものでもないし。命守るための宿泊だし。
幸い、家を出る時は天候も落ち着いていた。「なんだよ〜こんな早く出なくてもよかったんじゃなぁ〜い?」と調子に乗りつつ高速を通過する。……が、段々とちらついてくる白い雪。
ええ、ものの30分で吹雪と化しました。ホワイトアウト待ったなしです。やっぱり命がけの大移動になりました。
なんやかんやあって、目的地である映画館には無事到着。

無事上映時間にも間に合い、大スクリーンで推しを拝むことができました。
いや今回も推しは最高のご活躍を見せてくださいました。
ライダー冬映画感想 https://t.co/I47rXLr62F
— ⛩椎瑠⛩ (@siren_33) December 18, 2020
映画の怪文書ができました!!!ネタバレてんこ盛りなので心の強い方だけ見てください パス入力して読んでね!!!
(映画の感想はここにまとめてあるので是非どうぞ。ネタバレしかないです)
感動で泣かされ、ほくほくした思いで映画館を出て、どこまでも続く白銀の世界(という名のとめどなく振り続ける雪の中)を車で駆け抜け、無事ホテルへ到着。
心は激アツだが体はひえっひえのわたしを待っていたのは、

綺麗に整えられたツインルームであった(もちろん1人予約だしわたしは1人でここまで来ている)。
あとで調べてみたところ、このホテルは全室ツインだったようだ。よかった。ぼっちでこの寒波の中命がけでやってきたわたしに向けられた、哀れみによる何かではなかったのか(考えすぎである)。
まあ、ひとりでふたつのベッドはやっぱり持て余してしまうので、

一緒に連れてきたぬいとねん達の遊び場にさせてもらった(上の写真でもちゃっかりふたりで寝かせてます)。
一通り遊び尽くしたら流石に疲れてきた。そういえばご飯を食べていない。
というわけで。

ホテルの1階にあった居酒屋で、人生初のひとり酒を試みてしまった。
写真はもつ煮とカマンベールフライと、梅酒のソーダ割り。この後豚串の盛り合わせが来て、わたしは目を輝かせながら黙々と食べる事になる。
いや、ひとり酒楽しいな。好きな酒と好きな食べ物を頼んで、誰にも邪魔されずにマイペースに飲んで食す。最高の時間じゃないか。ハマる人が出るのもわかる。
わたしの場合酒に弱いので、誰かに合わせてアルコール摂取を続けているとすぐにトイレとお友達になってしまう。乾杯の1杯だけは自分に合った酒でなんとか付き合うけど、それ以降は延々と烏龍茶を飲ませて欲しい。
……まあ烏龍茶どころか、乾杯ですらわたしの意向を汲ませてくれないことが多いので、基本的に飲み会の類は苦手なのだけれど。
ひとり酒だとそれがない。お酒が嫌いなわけじゃないので、潰れない程度に楽しみたい。その境目を知らぬうちに超えてしまう前に自分でブレーキをかけることを、誰に咎められることもない。もう飲みニケーションの文化なんてなくていいよ、マジで。
いい感じでお腹も膨れたので、部屋へ戻る。

用意されていたアメニティの多さにめちゃくちゃ感謝した。本当に何も持ってきてなかったから……
ついでにフロントから加湿器もお借りして、シャワーのお湯を頭から被って心も体もぽっかぽかにしたところで、ねん達の遊び場たるダブルベッドに飛び込んで眠りについたのだった。
ダブルベッドを独り占めするとは、何たる贅沢か。ぼっちで横たわるダブルベッドは予想以上に広かった。
そして迎えた朝、やっぱり車は雪に埋もれていたので蹴散らすところから始まり、明るい昼間でも容赦なく視界はホワイトアウトしたので帰りも命がけの大移動となったわけだが。
終わってみて思う。
楽しかった。
思えば今年、遠征というものを全くしなかった。つまりひとりで宿泊をしていない。友達や家族とどこかに行く、などはあったけど。
遠征に行く感じる高揚感とか、終わったときに体を満たす余韻とか、そういうオタク特有の感情に浸ったまま、ひとりで好きなように過ごす時間が、今年はなかったから。
県内どころか隣町の、平常なら車で1時間あれば辿り着くような場所でわざわざ一泊二日する必要あるか?なんて思ったけれど、ちょっとした遠征気分を1年の終わりに味わえたのなら、それはそれでいいのかなあなんて。
ちょっと贅沢な週末の過ごし方をしてしまった。
ありがとう仮面ライダーゼロワン。これからもよろしく仮面ライダーセイバー。皆さん映画を見てください。不破諫をよろしくお願いいたします。
