トヨタ生産方式はどのようにして生まれたのか?
要約
『リーン生産方式が、世界の自動車産業をこう変える。』は、トヨタが生み出した生産手法「リーン生産方式」の詳細を解説し、その効果を示している。生産のムダを徹底的に排除するこの方法は、自動車業界にとどまらず、世界中で広まった。本書を通じて、日本の自動車業界が世界を席巻した秘訣に迫る。
初めまして!シロマサルです。
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今回はジェームズ·P·ウォマックほか著『リーン生産方式が、世界の自動車産業をこう変える。』1990年発行をつまみ食いします。
まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。
著者:ジェームズ·P·ウォマック

マサチューゼッツ工科大学(MIT)教授、リーンエンタープライズ協会会長。ハーバード大学で修士、MIT で「日本、ドイン製造業比較研究」により博士の学位取得。MIT の常勤研究員として米国企業のマルチクライアント方式によるジャパンプログラムなどに参画。共著者のダニエル·ルースはMIT教授、ダニエル·T·ジョーンズは英サセックス大学研究員、英リーンエンタープライズ·アカデミー会長。
別の記事で紹介した
「ジャパンバッシング」につながる1970年代の日本企業の躍進。
これに対抗したハーバード・ビジネススクール精鋭の教授陣が本気でつくった教科書が上記の本である。
本書はMIT(マサチューセッツ工科大学)で研究プロジェクトから生まれた。
研究対象は日本の自動車会社:トヨタである。
その代表として取り上げられる生産方法が「トヨタ生産方式」である。
通称:TPS(Toyota Production Systemの略。)
「トヨタ生産方式」のすごさは、ひと言でいうとムダを徹底排除した点。
MIT(マサチューセッツ工科大学)は一般的な方法論にまとめて、”リーン生産方式”と名づけた。
リーンとは「Lean (ぜい肉がない、無駄がない)」という意味。
リーンFIREとかで聞いたことがあるかもしれない。
意味:贅沢しないで倹約に努める早期リタイアのこと。
この研究を一冊にまとめたのが本書である。
多くの日本人は意識していないが、「トヨタ生産方式」は海外で高く評価されている。
当時は、本気で日本を危険視していたのだ。🧐
リーン生産方式の誕生と進化
手作りから大量生産、そしてリーン生産へ
車の生産は次のように進化してきたと本書で語られる。

❶手づくり生産方式
❷大量生産方式
❸リーン生産方式
の順番で進化した。
❶手づくり生産方式

19世紀末まで車づくりの主流。
小さな工場で熟練職人が顧客の注文に合わせてつくっていた。
生産台数は年間50台程度。
車はすべて客の要望に合わせた特注品。
品質はバラバラで車は高価で裕福な人しか買えなかった。
❷大量生産方式

20世紀初頭、ヘンリー・フォードがT型フォードの生産で実現。
大工場で働く作業員はベルトコンベアーを流れる部品のネジを締めるという単純作業を繰り返す。
アダム・スミスの『国富論』のように部品をベルトコンベアーで流し、「ボルトにナットを付ける人」「ナットを締める人」と作業を徹底的に細分化。
これで作業員は数分間の単純作業の訓練を受けて、すぐラインに配置できる。
作業繰り返しによる「慣れ」で生産スピードが上がり、同じ車を大量生産できる。
結果、車の価格は一気に下がって庶民も買えるようになった。
とはいえ、問題は多かった。
働く環境は悪化する一方。😭
労働者の不満は溜まり、労働争議も起きた。😠😡😡
❸リーン生産方式

モノもカネもない状況で生まれたのが「トヨタ生産方式」
参考:トヨタ公式PDF
時は1950年代。
当時のトヨタは今とはまったく異なり、戦後に車の生産を始めたばかりの弱小自動車会社だった。

トヨタの若き技術者・豊田英二(のちのトヨタ自動車会長)は、当時世界一だった米国フォードの工場を視察。
3カ月間かけてすべてを学び尽くした。
出した結論が「米国の大量生産方式はムダだらけ。まだまだ改善できる」だった。
とはいえ、当時のトヨタは問題が山積みだった。
破産寸前に追い込まれ、苦渋の決断で社員の4分の1を解雇した直後。
車の生産経験は乏しく、国内市場は小さい。😱😱
日本経済は戦争で壊滅してお金もなく、最新設備導入はムリだった。
当然、大量生産方式の導入もムリ。
なので、徹底的に知恵を絞り出した。
車にはボンネットやドアなどさまざまな種類の部品がある。
現在では、1つの車に3万点あると言われている。
年間100万台以上つくる米国自動車会社の場合。
各部品の専用工作機械を数百台ズラッと並べて、各工作機械に作業員を置いていた。
補足:工作機械
さまざまな材料を加工して、所要の形状に作り上げる機械のこと
「母なる機械=機械を作る機械」ここから「マザーマシン」とも呼ばれる。
こうなると、「不良品は最後に見つけて直せばOK」と考えていた。
⇒ 作業員は品質を気にせず、同じ不良品が大量に出た。
当時、トヨタの生産台数は数千台。
お金がないので1台の工作機械を創意工夫をして使いこなし、車を組み立てなければならなかった。
つまり、必要な部品だけしか余裕がない。
組み立て前のつくる部品が少ないので、ミスもすぐに気がつく
⇒ 在庫コストはゼロ。
⇒ 不良部品が大量に出回ることもなくなった。

リーン生産方式の出発点は、モノもカネもない状況でムダ削減のために知恵を絞ることだった。
⇒ 生産効率が向上し、コストを削減できる。
⇒ 少ない投資で生産性が劇的に向上した。
蛇足 工作機械業界
工作機械は業種が業種なので、国内はお爺ちゃん企業が多い。
つまり、配当金がそれなりに出る企業が多い。
JIMTOF2024(第32回日本国際工作機械見本市)に並ぶ、大きな顔は大体そんな感じ。
設備投資の代表格なので、輸出入の影響を受けやすい。
自動車の景気が悪ければ、当然悪くなる。
半導体産業で設備投資が増えれば、良くなる。
景気に敏感な業種である。
なんの話だったっけ🤔
次はリーン生産方式の凄さとは何かについて語ろう。
リーン生産方式の実践例とその効果
登場人物

日本の技術者、経営者である。トヨタ自動車工業の元副社長。
米国の自動車会社は同じ不良品が大量につくられていた。
大野は「コレはムダが多い」と考え、「問題が起きたら即ラインを止めよ」と指示を出した。
参考 外部サイト
PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
本書刊行時点で米国のみに生産拠点をつくっていたトヨタ。
現在では、海外27の国や地域にも工場がある。
トヨタ生産方式:(以後はTPS)は日本だけでなく、現地従業員がTPSを実践している。
私たちは「TPSを実践できるのは、日本人が勤勉だから」と考えがちだが、それは違う。
国民性などに関係なく実施できるということだ。
参考 外部サイト
トヨタ公式サイト「クルマは世界中でつくられています」
マサチューセッツ工科大学教授はTPSを普遍的な「リーン生産方式」という方法論にまとめた。
方法論ができたことにより、チェット・リチャーズ著「OODAループの戦略」2019年発行にも利用された。
TPSはOODAループの代表として知られる。
「トヨタの作業員は特に並外れた激務を行っているようには見えないが、工場のラインスピードは競合他社のどこよりも速い。……このシステムが機能するのは、トヨタの作業員がもつ感知力・改善業務における直観的能力の高さがあるからにほかならない」
GM(ゼネラルモーター)との比較調査
著者らは米国GMフレミンハム工場(大量生産方式)とトヨタ高岡工場(リーン生産方式)の生産性と品質を調査し、比較した。
結果は、高岡工場のほうが組み立て時間は半分以下、欠陥は3分の1、在庫はGMの"2週間"分に対し、"2時間"分だった。
作業員の脇には最低限の1〜2時間分の在庫品があるのみ。
GMフレミンハム工場はまさにムダだらけ。
各作業場の横には在庫が山積み。🤔
生産ライン最後部では欠陥がある完成車が大量に置かれ、出荷前の手直しをしていた。
作業員はやる気のなさが目立った。
これの原因はレイオフ(一時解雇)を6回も行ったことだが。😅
トヨタは終身雇用で職が保障されている。
また、GMではライン停止権限をもつのは上級幹部だけだが、トヨタの作業員は誰でも問題を発見するとラインを止めていた。🧐
現場で「5つのなぜ」(通称:なぜなぜ分析)を繰り返し、原因を徹底究明する。
大野は、この仕組みを豊田市の自社工場で実験していた。
当初、生産ラインは再三再四止まったが、根本原因を追い続けるうちに不良箇所は大幅に減少。
そして出荷する完成車の品質も向上し始めた。
個の積み重ねで、トヨタは効率性と品質で圧倒的な優位を持っていた。
リーン生産方式は大量生産方式と比べて、圧倒的に低コスト、かつ高品質だった。

リーン生産方式の本質は次の3点。
これらを実践できるか否かがカギ。
❶作業の責任を、車に価値を付与する現場作業員にできる限り委譲する
❷欠陥を発見したら、原因を徹底究明するシステムをもつ
❸ダイナミックなチームワークをもつ
(作業員は「いい車をつくる」という目的意識がある)
⇒ トヨタの現場主義が成功を生んだ。
部品メーカーとの共存共栄
米国の自動車会社は部品設計図をつくって部品メーカーに渡し、期限を示して競争入札させた上で、最安値メーカーに発注していた。
「部品メーカーの改善や提案意欲を削いでしまう。長期的なお互いの利益も考えなくなり、短期的な儲けを追求するようになる。私たちは共存共栄の仕組みをつくる必要がある」
トヨタは競争入札ではなく、部品メーカーとの関係を改善し、共同で効率的な生産を目指すべきだと考えた。
大野は部品メーカーをグループに分けて別々の役割を割り振り、具体的な目標を与えた。
例 ブレーキの具体的な目標
時速100キロで走る車を60m以内で止めるブレーキ。
コストは1個1万5000円で作ること。
そして、部品メーカー同士で協力して改善策を探るようにさせる。
ブレーキとひと言でいっても、ネジ、パッドとブレーキにもそれぞれ部品が存在する。
グループの部品メーカー同士は、お互い別々の部品をつくっていて競合しないので、積極的に協業できる。
⇒ 協力関係によりコストと品質が向上した。
リーン生産方式のグローバル化
TPSは自動車産業にとどまらず、製造業全体に大きな影響を与えた。
著者らは、トヨタとGMの合弁企業の工場(NUMMI)でも同じ調査をした。
NUMMIはGMの古い工場を使い、元GM従業員が80%。
トヨタから来た上級幹部がトヨタ流で工場を運営した。
⇒ 他業界にも応用され、効率化が進んだ。
参考:トヨタ公式サイト
ほぼ同じメンバーでも、やりようによってチーム力は何倍にも増幅するし、逆に間違えると何分の一にも低下するのだ。
まとめ

⇒ 「無駄を省き、効率を追求することが成功の鍵」
⇒ ムダを排除し、現場主導の改善を徹底すれば、圧倒的な成果が得られる。
⇒ 徹底した無駄の排除は恐るべし。
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆

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