秘密のプレゼント
Day 29: 宝探し / 見つけたもの
家に帰ってくるとテーブルの上に文字の書かれたトイレットペーパーが置かれていた。
パパへ
これヒントだよ。
そう言って横にはコピー用紙に書かれたメッセージと野球ボール野球ボール。
ははぁ、そういえばこの間 子供番組でやっていた。
棒状のものに紙を巻いてそこにメッセージを書いて別々で保管し紙だけを相手に届ける。大昔の暗号のやり方だ。
野球ボールということは 巻きつける棒状のものはきっと バットだ。
玄関先の息子のバットを取りに行く。
くるくると巻きつけてゆくと、ひらがなのメッセージ。
パパへ
アルバムみてね。
俺は本棚へ向かった。
家族のアルバムを開いてゆく。そうすると中に数字とハートや星のマークが書かれた紙が4枚。
『かいどくひょう』と書かれたひらがなの表が1枚。
ひらがなの表の上に数字が並んでいて縦向きに記号が並んでいる。これは数字と記号を組み合わせてアルファベットのように読んでいくタイプの暗号だ。
解読表を見ながら少しずつ解読をしてゆく。
れいぞうこのうえ
ほんだなのうえ
てれびのうら
ぱぱのつくえのひきだし
4枚の紙にはそう書かれていた。
1つずつ調べてゆく。
冷蔵庫の上にラップをかけた大きなクッキーが一枚。
本棚の上にも、テレビの上にも、俺の書斎の机の引き出しにも。
クッキーにはそれぞれアイジングで文字が書かれていた。
「だ」「い」「す」「き」
そしてそれぞれのクッキーのラップの上に紙が置かれていた。
パパいつもおつかれさま。
パパといっぱいおはなししたいよ。
パパまたいっしょにやきゅうやろうね。
おたんじょうびおめでとう。
学校から帰ってきてこれを用意してくれたんだろう。
胸がほろりと熱くなる。
そっと寝室を覗きに行って寝顔を見る。
ありがとうの言葉を伝えたいけれど、また明日息子が起きてからにしよう。
「今日も仕事が遅くなるって言ったらね、どうしても用意したいって」
妻が笑いながらそう言った。
「お誕生日おめでとう」
「君と一緒に作ったのかい」
「絶対に自分で作るんだって言って聞かなくて」
「そうなんだ」
「最近暗号ごっこにはまってるのよ。張り切って準備してたわ」
テーブルの上には暗号のトイレットペーパーと野球のバット、メッセージの紙とアイジングクッキー。
一生懸命頑張って書いたのだろう。そう思うと愛おしくてたまらなかった。
甘いクッキーの味が口の中に広がってゆく。
ありがとう最高の誕生日を。
週末お天気がいいから、一緒にキャッチボールしような。
