見出し画像

第60回理学療法士国家試験 午後66−70の解説

(66) アルカローシスをきたすのはどれか。(60回午後66)

1.嘔吐
2.飢餓
3.下痢
4.重症の喘息
5.CO2ナルコーシス


【答え】1
【解説】
1.嘔吐:○
→酸性である胃酸を喪失するため、代謝性アルカローシスとなります。

2.飢餓:×
→飢餓状態では、ブドウ糖が摂取不足になります。細胞がブドウ糖をエネルギー源としてうまく利用することができないと、体に蓄積された栄養分を消費し始めます。最初のうちは肝臓や筋肉で蓄積されたグリコーゲンを消費しますが、一日ももたないうちに枯渇してしまいます。次に脂肪組織で蓄積された脂肪を分解して末梢組織で重要なエネルギー源として利用しだします。この際、脂肪の分解産物であるケトン体が増加し血液中に放出されるとケトーシスとなり、ケトン体は酸性なのでケトアシドーシス(代謝性アシドーシス)となります。

3.下痢:×
→重炭酸イオンを豊富に含む腸管および膵分泌物が、消化管に急速に排出され、再吸収が追いつかなくなることで代謝性アシドーシスとなります。

4.重症の喘息:×
→重症の喘息では呼吸不全のため、体内にCO2が蓄積し、呼吸性アシドーシスとなります。

5.CO2ナルコーシス:×
→COPDなど慢性呼吸不全患者ではPaCO2は慢性的に高くなっておいて、換気を刺激するのは低いPaO2となっています。このような患者に急に高濃度のO2を吸入させると、換気を刺激するものがなくなり、換気が抑制されて、PaCO2が高くなってしまい、呼吸性アシドーシスとなります。


(67) 体液性免疫で作動するのはどれか。(60回午後67)

1.単球
2.B細胞
3.好中球
4.NK細胞
5.マクロファージ


【答え】2
【解説】
免疫には生体がもともと持っている自然免疫と異物と戦った経験をもとに免疫を行う獲得免疫があり、獲得免疫には細胞性免疫体液性免疫の2つがあります。

・自然免疫は下図に示す4つの細胞が異物を自ら貪食します。

獲得免疫のうち、体液性免疫は異物に対して抗体を作って対応する免疫です。抗体を作るのは、B細胞(Bリンパ球)が分化してできる形質細胞です。貪食細胞が異物を取り込みTリンパ球に抗原提示します。Tリンパ球はB細胞に指令を出し、指令を出されたBリンパ球は形質細胞に分化して、抗原に応じた抗体を作ります。

一方、抗体を作らずに、異物を処理しようとするのが細胞性免疫です。貪食細胞からT細胞が抗原提示を受けるまでは液性免疫と同じです。T細胞からキラーT細胞・好中球などに指令を出して、これらが異物を攻撃します。

1.単球:△
→単球は血管内で異物の貪食作用があり、貪食した異物の情報をTリンパ球に提示します。自然免疫ですが、厳密に言うと獲得免疫である液性免疫でも細胞性免疫でも働きます。

2.B細胞:○
→B細胞は貪食細胞から抗原提示を受けたTリンパ球からの情報提示・指令によって、形質細胞に分化します。分化した形質細胞は異物に対する抗体を生成し、異物を除去します。

3.好中球:×
→自然免疫で、貪食細胞による抗原提示を必要とせず、異物を貪食し除去します。

4.NK細胞:×
→NK細胞はNatural Killer細胞といって、好中球と同様に元々貪食細胞による抗原提示を必要とせず異物を攻撃する性質をもったリンパ球です。自然免疫に働きます。一方キラー細T細胞というリンパ球もあって、こちらはT細胞から指令を受けないと、異物に攻撃を仕掛けません。キラーT細胞は細胞性免疫に働きます。

5.マクロファージ:△
→単球が血管外に出たものをマクロファージと呼びます(マクロファージに形を変えます)。マクロファージは血管外の組織で異物の貪食作用があり、貪食した異物の情報をTリンパ球に提示します。自然免疫ですが、獲得免疫である液性免疫でも細胞性免疫でも働きます。


(68) 排便中枢はどれか。(60回午後68)

1.第1〜第3胸髄
2.第5〜第7胸髄
3.第10〜第12胸髄
4.第3〜第5腰髄
5.第2〜第4仙随


【答え】 5
【解説】
1.第1〜第3胸髄:×
2.第5〜第7胸髄:×
3.第10〜第12胸髄:×
4.第3〜第5腰髄:×
5.第2〜第4仙随:○

蓄便を司るのは下腹神経 (Th12〜L2)
排便を司るのは骨盤神経(L2〜L4)と陰部神経(L2〜L4)です。
以下、排便調節についてまとめました。



(69) 肩甲骨の筋を運動の組合せで正しいのはどれか。(60回午後69)

1.僧帽筋上部線維 ー 外転
2.僧帽筋下部線維 ー 上方回旋
3.菱形筋 ーーーーー 下制
4.前鋸筋 ーーーーー 下方回旋
5.小胸筋 ーーーーー 挙上


【答え】2
【解説】
肩甲骨に対する作用はイメージしづらいので、国試頻出です。しっかり国試までに勉強しておきましょう。

1.僧帽筋上部線維 ー 外転:×
→僧帽筋上部線維は肩甲骨挙上作用と上方回旋、中部線維は肩甲骨の内転と上方回旋作用があります。


2.僧帽筋下部線維 ー 上方回旋:○
→僧帽筋下部線維は肩甲骨下制と内転作用があります。また、選択肢1の解説図のように下部線維も反時計回りに作用するため、上方回旋します。


3.菱形筋 ーーーーー 下制:×
→菱形筋の作用は肩甲骨の内転・下方回旋・挙上です。

4.前鋸筋 ーーーーー 下方回旋:×
→前鋸筋の作用は肩甲骨外転と上方回旋です【重要】

5.小胸筋 ーーーーー 挙上:×
→小胸筋の作用は肩甲骨の下制・下方回旋・外転です。



(70) 膝関節で正しいのはどれか。(60回午後70)

1.関節面は内側顆より外側顆が広い
2.前十字靱帯は屈曲運動の制限となる
3.屈曲位から伸展すると下腿は内旋する
4.大腿骨と脛骨の長軸は一直線上にある
5.屈曲の最終可動域に近づくにつれ滑り運動となる


【答え】5
【解説】
1.関節面は内側顆より外側顆が広い:×
→半月板は内側がC型、外側がO型となっており、半月板は内側が大きくなっており、外側は小さくなっています。関節面も内側が大きく、外側が小さくなっています。内側からCO2として、外側のO型の半月板が小さい(2が小さくなるから)と覚えました。

2.前十字靱帯は屈曲運動の制限となる:×
→前十字靱帯は主に伸展運動の制限となります。屈曲運動の制限となるのは後十字靱帯です。

3.屈曲位から伸展すると下腿は内旋する:×
→膝関節は伸展にともない下腿(脛骨)が外旋してロックがかかります。この動きをscrew home movementと呼びます【重要】。

4.大腿骨と脛骨の長軸は一直線上にある:×
→大腿骨と脛骨のなす角度 (FTA)は175°で、生理的にわずかに5°外反しています。

5.屈曲の最終可動域に近づくにつれ滑り運動となる:○
→最初はころがり運動で、後半は滑り運動となります。


Dr. Sixty_valleyの第61回理学療法士国家試験対策のポータルサイトページは以下です。











いいなと思ったら応援しよう!