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第60回理学療法士国家試験 午前41−45の解説

(41) 前十字靱帯損傷で正しいのはどれか。2つ選べ。(60回午前41)

1.単独損傷が8割以上である
2.Lachman testが陽性となる
3.再建術は受傷後1年以降が推奨されている
4.受傷前レベルのスポーツ復帰率は9割以上である
5.ハムストリングスの収縮により損傷部位の緊張は低下する


【答え】2と5
【解説】
1.単独損傷が8割以上である:×
→前十字靱帯損傷は下図で示すようにKnee-in、Toe outの姿勢で生じる事が多いので、39〜65%の割合で内側半月板損傷を合併する事が多いと言われています。


2.Lachman testが陽性となる:○
→前十字靱帯損傷の5つのテストは必ず覚えるようにしましょう。

3.再建術は受傷後1年以降が推奨されている:×
→前十字靭帯損傷の再建術は、受傷後3~4週で膝の伸展・屈曲が正常に近くなった時点で施行されます。受傷直後に行われないのは受傷早期に膝可動域制限が残存している時期に手術を施行すると、術後に、著しい可動域制限が生じる危険性があるからです。またACL 損傷診療ガイドライン2012では、受傷からの期間が6ヵ月以上では合併損傷としての半月板・関節軟骨損傷の発生率が高くなるため、合併損傷が起こりにくいとされる受傷 6 ヵ月以内に再建術を行うことを推奨しています。

4.受傷前レベルのスポーツ復帰率は9割以上である:×
→Clare*らによると術後1年でのスポーツ復帰率は33~92%とし、競技レベルが比較的高いアスリートでも44%の選手は損傷前のレベルでのスポーツ復帰が出来ていないと報告しています。
*Clare L Ardern:Am J Sports Med. 2011 Mar;39(3):538-43

5.ハムストリングスの収縮により損傷部位の緊張は低下する:○
→前十字靱帯は膝関節伸展を制限します(下腿が前方に振り出される時に緊張します)。ハムストリングスは下肢後面に位置するので、膝関節伸展を制限するので、損傷部位の緊張は低下します。

(42) 日本で最初の理学療法士養成機関が開設された時期はどれか。(60回午前42)

1.1950年代
2.1960年代
3.1970年代
4.1980年代
5.1990年代


【答え】2
【解説】なんて馬鹿らしい問題なのでしょう?国家試験ですよ?こんな知識必要ですか?馬鹿馬鹿しくて笑ってしまう、いや笑えませんでした。こんな事知ってどうなりますか?不適切問題としても良いでしょう

ちなみに日本で最初の理学療法士養成機関は、1963年(昭和38年)に開校した国立療養所東京病院附属リハビリテーション学院だそうです。あほらし。


(43) 脊髄小脳変性症・多系統萎縮症ガイドライン2018に示されている集中リハビリテーションの転帰指標はどれか。(60回午前43)

1.SARA
2.筋力
3,咳嗽力
4.深部感覚
5.関節可動域


【答え】1
【解説】
脊髄小脳変性症においてバランス・歩行練習を中心として短期集中リハビリテーションは、半年から1年にかけて小脳性運動失調や歩行障害を改善することが示唆されています。

脊髄小脳変性症・多系統萎縮症ガイドライン2018では、Clinical Question 7-1「理学療法としてどのような練習を行うのがよいか、その効果は」において、脊髄小脳変性症での集中リハに対する研究がドイツ 、日本から報告されており、転帰指標は SARA、歩行速度、バランス指標,ADL 指標(FunctionalIndependence Measure)などが用いられ,短期的には SARA、歩行速度の改善が得られ(エビデンスレベル Ⅱ)、長期的にも SARA、歩行速度とも改善が 6~12 ヵ月維持されていたと報告されています。
https://www.neurology-jp.org/guidelinem/sd_mst/sd_mst_2018.pdf

SARAはScale for the assessment and rating of Ataxia の略でAtaxiaは運動失調という意味です。


(44) 登はん性起立を示すのはどれか。(60回午前44)

1.筋強直性ジストロフィー
2.肢帯型筋ジストロフィー
3.先天型筋ジストロフィー
4.Duchenne型筋ジストロフィー
5.顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー


【答え】4
【解説】
設問が不適切です。「登はん性起立を示すのはどれか」の設問では、他のタイプでは「登はん性起立を示さない」という事が前提です。「示さない」は100%示さないです。99.9%ではありません。すなわち1万人に1人、いや100万人に1人でも示せば「示す」なのです。その意味で、この問題の答えは一つではありません。この問題では「登はん性起立を示すのが一番多いのはどれか」でなければなりません。多くの受験生が「もっとも多い」タイプを選んでいると思いますが、厳密にいえばこの問題は不適切問題です

Gower's 徴候は登はん性起立とも言われる徴候で、下肢近位筋である大腿四頭筋の筋力低下を補うように、起立時に膝を押さえる徴候です。その形からお相撲さんを連想し、「ごわす」から西郷隆盛と関連づけて覚えましょう。

筋ジストロフィーの6つのタイプを下にまとめました。

1.筋強直性ジストロフィー:×
→筋強直型は遠位優位の筋障害をきたします。登はん性起立は近位優位の下肢筋力低下で生じます。

2.肢帯型筋ジストロフィー:△
→肢帯型は上肢あるいは下肢の筋力低下をきたします。デュシェンヌ型と変わらぬ重症の経過をとる場合もありますが、デュシェンヌ型よりも臨床経過は軽く、進行も遅いことが多いです。下肢帯筋が好んで侵されるので、走れない、転びやすい、階段昇降困難などが初発症状となり、Gowers徴候が陽性となります。下腿の仮性肥大はないかあっても軽度です。
上記は小児慢性特定疾患情報センターHP: 肢帯型筋ジストロフィーより引用です。
https://www.shouman.jp/disease/details/11_20_047/

3.先天型筋ジストロフィー:△
→先天性筋ジストロフィーとは、出生時期から筋力・筋緊張が低下している筋ジストロフィーの総称です。福山型が代表的です。福山型は乳児期に発症し、知力低下を伴います。福山型では多くの子がおすわりでの移動が中心で、つかまり立ち以上の起立歩行機能を獲得できる例は1割前後と少ないです。歩ける子では登はん性起立をする場合もあります(ないとは言い切れません)。

4.Duchenne型筋ジストロフィー:○
→近位優位の筋障害をきたし、登はん性起立がみられます。

5.顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー:×
→顔面:顔面神経麻痺、肩甲:翼状肩甲がみられます。また四肢では上腕の筋力低下・筋萎縮がみられます。


(45) 正常歩行周期で膝関節伸展モーメントが最も作用するのはどれか。(60回午前45)

1.初期接地
2.荷重応答期
3.立脚終期
4.前遊脚期
5.遊脚中期


【答え】2
(参考)ワニベ1 三輪2 リハアカデミー2
【解説】
歩行周期における関節モーメントについて問われています。関節モーメントと言われてちょっと戸惑いました。
モーメントとは以下の式で表されるものです。
 モーメント(M)=力(N)×距離(m)

そして歩行周期において、関節にかかる力は2つの力を考える必要があり、それぞれモーメントを発生させます。
①重力や床反力から生じるのは外部関節モーメント
②筋の張力から生じるのは内部関節モーメント
と呼ばれます。

両方関節モーメントで、問題文では厳密にどちらを指しているかはわかりませんが、ここでは②の筋の張力から生じる内部モーメントを聞かれているものとして考えます。

下図は、歩行周期の中で膝伸展の主作動筋の大腿四頭筋と、膝屈曲の主作動筋のハムストリングスの活動をグラフ化したものです。それぞれ、歩行周期の中でずっと活動しているわけではありません。モーメントは筋の張力がかかった状態でしか発生しませんので、グラフの山の部分でしか発生しません。

膝伸展モーメントは大腿四頭筋の活動により生じます。グラフをみてわかるように一番大きな活動は荷重応答期です。踵接地からの衝撃吸収のために大腿四頭筋が遠心性収縮をする時に一番大きな活動をします。この時に最も大きな伸展モーメントを発生します。

この時に床反力から外部関節モーメントとして大きな屈曲モーメントを生じていますが、それに対抗する大きな伸展モーメントが発生しているからこそ、膝折れせずに衝撃を吸収できるのです。

歩行時の関節モーメントについては以下のサイトが詳しいです。

この中で、歩行時の伸展モーメントは荷重応答期で最大になるとグラフ付きで記載されています。今後のために股関節や足関節についても見ておいた方が良いですね。

Movement Analysis for rehabilitaiton 歩行分析(運動力学)
http://square.umin.ac.jp/haru-labo/kine/gait_kinetics.html より引用



ただ、関節モーメントの解釈の仕方によって、アプローチが全然異なる場合があります。
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正常歩行における関節運動の説明で正しいのはどれか。(47回午前28)
1.着床初期には、足関節が最大背屈位となる。
2.荷重応答期には、膝関節に伸展モーメントが働く。
3.立脚終期には、足関節に底屈モーメントが働く。
4.前遊脚期には、股関節に伸展モーメントが働く。
5.遊脚初期には、膝関節に伸展モーメントが働く。
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この問題では、厚労省発表では答えは3となっており、荷重応答期には膝関節に伸展モーメントではなく、屈曲モーメントが働くという解釈になります。この場合、床反力により屈曲モーメントが働いているという解釈なのではないでしょうか?単純に関節が屈曲に向かうか、伸展に向かうかでモーメントの種類を決めているようです。うーん、次に関節モーメント問題が出たらどうしようという感じですが、今回はモーメントの大小が問題になっているので、筋張力との関係で考えるべきだと考えました。



Dr. Sixty_valleyの第61回理学療法士国家試験対策のポータルサイトページは以下です。






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