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第61回理学療法士国家試験直前予想問題:肩腱板断裂

今回は肩の腱板断裂です。骨・関節障害の肩の分野で、肩腱板断裂が3点問題として出題された事はありません。科目別問題集の骨関節障害07肩の中で言及していますが、直前に注目していただくために、ここで紹介します。また、肩の分野で石灰沈着性腱板炎についても紹介します。

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(予想問題1)30歳の男性。スキーで転倒し、肩を打撲した後、疼痛が強く、肩も水平以上に上げられないため、受診した。X線とMRI写真を提示する。病態にもっとも可能性のあるものはどれか。

Dovemet: Rotator Cuff Tear (RCT)より引用
https://www.dovemed.com/diseases-conditions/rotator-cuff-tear-rct

1.肩関節捻挫
2.肩腱板断裂
3.石灰沈着性腱板炎
4.変形性肩関節症
5.上腕二頭筋炎

(予想問題2)肩腱板断裂手術後のリハビリで適切でないものはどれか。2つ選べ。
1.術後2週間で肩甲上腕関節の自動運動を開始する
2.術後固定について肩甲上腕関節は外転・内転中間位とする
3.手首の握り運動を早期から行う
4.前腕の回内・回外運動を想起から行う
5.肘の屈曲・伸展運動を早期から行う

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【問題1の解答】2
腱板断裂の事を知らないと、間違えてしまうかもしれません。腱板ってレントゲンに写らないから選択肢から除外してしまうかも?同様に石灰沈着性腱板炎や上腕二頭筋炎も除外してしまうかもしれません。X線で一見骨折などなく正常そうだから1か4で迷うかもしれませんね。

腱板断裂は腱板が損傷して断裂する病気です。明らかな外傷によるものは約半数で、原因不明(おそらく肩の使い過ぎ)が半分あります。男性の右肩に多いです。

三角筋の下の棘上筋が断裂する事が多いです(三角筋はしっかりしているので断裂しにくいです)。

棘上筋が断裂する結果、肩の外転ができなくなります(Drop arm test)

X線では、腱板は写りませんが、診断をする事はできます。正常では下図左のように肩峰と上腕骨骨頭の間に腱板が介在するので、ある程度の距離がありますが、腱板損傷の場合、損傷部から上腕骨骨頭が上方に偏位するため、この間隙が狭くなります。

MRI検査では腱板損傷が直接わかります。

最近ではエコーでも診断できます。理学療法士の先生が使えるエコーで診断できる所は出題されてもおかしくありませんね。

なごやEVTクリニック 
【50代:女性】夜間の痛み、起床時の痛みで苦しみ続けた右肩腱板損傷の症例より引用
https://evt-cl.com/case9/

画像診断以外はDrop arm testが有名ですね。

【問題2の解答】2
治療は手術(関節鏡という内視鏡手術で行われます)で、断裂した腱板を縫合して修復しますが、国試で問われる事はまずないでしょう。

問題は術後リハビリです。これって結構重要だと思うんですよね。

1.術後2週間で肩甲上腕関節の自動運動を開始する:×
→通常4〜6週はウルトラスリングという装具で固定します。修復した腱板の再断裂を防ぐためです。この時期は肩の状態を整えるプログラム(conditioning program)とし、筋収縮を伴わない愛護的な他動運動(おじぎ運動 <stooping>や振り子運動<pendulum>、crossover arm stretch)などは術後1〜2週間からゆっくりと開始しても良いです。筋収縮を伴う自動運動は術後8週以降に開始します。

たかなし整骨院: 五十肩ってなに?から引用
https://takanashi-s.com/五十肩
American Academy of Orthopedic surgery: Rotator Cuff and Shoulder Conditioning Programより
https://www.orthoinfo.org/globalassets/pdfs/rotator-cuff-and-shoulder-conditioning-program-2025.pdf



2.術後固定について肩甲上腕関節は外転・内転中間位とする
→内転すると棘上筋がストレッチされるため、肩関節は45°外転位とします。ウルトラスリングで保持するために、上腕から前腕は腹側に位置させるため、軽度屈曲位とします。

3.手首の握り運動を早期から行う:○
→肩と関係のない手首については早期から運動を行います。

4.前腕の回内・回外運動を想起から行う:○
→前腕も同様です。

5.肘の屈曲・伸展運動を早期から行う:○
→肘も同様です。

(おまけ)
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50歳の女性。最近、右肩の痛みを主訴に来院した。外傷のエピソードはない。右肩のX線写真を以下に示す。考えられる疾患はどれか。

1.肩関節周囲炎
2.上腕二頭筋腱炎
3.石灰沈着性腱板炎
4.腱板断裂
5.変形性肩関節症
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【答え】3
【解説】X線では赤矢印のように腱板に石灰が沈着しています。これから、石灰沈着性腱板炎とわかります。

石灰沈着性腱板炎
まだ国家試験では出題がありません。なにを隠そう私もこれを患っています…。患側を下にして寝ると激痛となります。また右肩なので、ゴルフのバックスイングが十分できないので、最近やってません。

石灰沈着性腱板炎とは肩腱板内に沈着したリン酸カルシウム結晶によって急性の炎症が生じ、肩の疼痛・運動制限をきたすものです。
40〜50歳代の女性に多く見られます。
 
夜間に突然生じる激烈な肩関節の疼痛で始まる事が多いです。痛みで睡眠が妨げられ、関節を動かすことが出来なくなります。
 
発症後1~4週、強い症状を呈する急性型、中等度の症状が1~6ヵ月続く亜急性型、運動時痛などが6ヵ月以上続く慢性型があります。
 
いわゆる五十肩(肩関節周囲炎)の症状と良く似ており、X線で腱板部分に石灰沈着を認める。
 
五十肩(肩関節周囲炎)
関節を構成する骨、軟骨、靱帯や腱などが老化して肩関節の周囲に組織に炎症が起きることが主な原因。


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